醤油手帖

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日本酒「"添加物"で伝統的造り方が減少」していると嘆く人は、山廃を飲まない方がいい

東洋経済ONLINEに2月11日より掲載されている、『食品の裏側』著者である安部司さんの日本酒記事が、非常に悪い意味で話題になっております。

ここから3回分あるのかな

toyokeizai.net

『悪い意味で』と言っているのは、間違いが非常に多く、また一見すると合っているように見える意見でも、著者の思い込みだけの話であったり、知識が古いということが多いためです。

著者の方は、第二回のところで

「昔ながらのじっくり発酵させた酒がうまい」という私の意見に賛同してくれる声も多かった一方で、酒を速く作る技法である「速醸派」からはお叱りの声もいただきました。

繰り返しになりますが、あくまで酒は嗜好品です。

あくまで私の見解、昭和の古オヤジの一意見として受け止めていただければと思います。

と仰っているので、おそらく自分の知識が古い(アップデートできていない部分がある)ということに気づいておられないのでしょう。

もしくは、知っていて「あえて」食品の裏側を書くという著書の主張のためだったり、添加物を悪者としたいがために、このように書いているのではないでしょうか。

というわけで、ツッコミを入れていきたいと思います。かなり長くなってしまったので、目次をつけて二回目以降は後日に回します。

日本酒「"添加物"で伝統的造り方が減少」は問題か、を問題視する

1ページ目のツッコミどころ

まず、冒頭から、ここはどうでもいいかるーいツッコミです。

もうひとつは「高級酒」が売れていることです。1合2000円とか3000円とかいう高価なお酒がバンバン売れる店も増えています。

私たち昭和のオジサン軍団は1合700円とか、せいぜい1000円の酒を飲んできたけれど、今時は安い酒はかえって不人気です

「売れる」という言葉を使っているのでややこしいのですが、これは酒屋さんなどの酒販店で「四合瓶」や「一升瓶」として売られている日本酒ではなく、居酒屋などのお店で飲む場合のことなのでしょう。

その時点で、お店側がつける値段は原価率が異なったり、場所代やその他もろもろが加味されるので、昭和のオジサン軍団が飲むお酒と平等な条件での比較にはなっていないことは明らかです。

ちなみに、これも個人の感覚にはなってしまうのですが、昭和のオジサン軍団が飲むお酒で、安酒と主張したいのだったらもうちょっと安い(ちょっと前までは500円ぐらい)んじゃないかと思うのですがどうでしょうか。

2ページ目のツッコミどころ

造りに関しては、まあ、それほど多くの間違いがあるわけではありません。が、ちょっとだけツッコミたいところがあります。

この酛こそは、「日本酒の大元」ともいえる大事な存在です。「酛で味が8割決まる」と言う人もいるほど、重要なポイントです。

酛で味が8割決まるというのはどなたの言葉なのか、とても気になります。

酒蔵に伝わっている言葉は「一麹、二酛、三造り」という言葉です。ご自身でも3ページ目でこの言葉を紹介していて、一番大事なのは麹と書かれていますよね。

その通り、味のためには麹造りが一番大事で、酛はその次と言われているんです。酛で8割決まるというのは初耳でした。

現在でも、麹で工夫はいろいろ行われています。たとえば従来の日本酒で使われていた黄麹で造る麹だけでなく、焼酎を造るときに使われている白麹を日本酒に使う、なんてことがあるんですね。白麹は黄麹に比べると、クエン酸を多く生み出す性質があり、酸味が強い味わいの日本酒に仕上がります。同じ蔵でも黄麹のお酒と白麹のお酒だとまったく味が違うというのが、誰にでも分かるぐらいのレベルで変わるんです。有名なところでは、新政酒造さんの『亜麻猫』が白麹を使って醸された日本酒です。

おそらくなんですが、速醸系の酒母と、生酛系の酒母(後述)で味わいが変わるということを言いたいのかな……とも思います。確かにこの二つは製法が異なりますので、味わいが変わります。そして、この記事の主題ともなっている部分です。なので、8割変わるという表現にしたのではないでしょうか。

現在、速醸系の酒母は日本酒全体のだいたい9割、生酛系の酒母は日本酒全体のだいたい1割ほどです。なので、どうせ言うんだったら景気よく「酛で味が9割決まる」と言う方が、まだ正しい数値に見えるかと思われます。どうせならきちんとした根拠に基づく数字で盛っていきましょう! まだ頑張れますヨ!

3ページ目のツッコミどころ

昔は、この酛を造る作業(生酛造り)が、それはそれは大変だったのです。蒸した米と麹をいくつかの小さな桶に分けて入れて、2~3時間おきに櫂棒でこね回します。これを「山卸(やまおろ)し」といいます。

こね回す(空気を入れたりする)わけではありません。「すり潰す」のです。何せ、山卸しの別名は「酛摺り(もとすり)」とも呼ばれるものですから、すり潰すのが重要なんですね。

ではなぜすりつぶすのか。

これは、お米を溶かすためです。大昔はお米を溶かすために頑張って手で混ぜて溶かしていたんですが、それじゃあ効率がわるいということで、江戸時代の中期から後期にかけて山卸しが開発されました。

はい、山卸しの歴史は、日本酒の歴史の中ではとりわけ古いというわけではなかったんですね。何せ日本酒はもっともっと昔からありますから。

(かい)で混ぜることによって、手で混ぜるよりも大変衛生的で、期間を短縮することができ、楽になったのです。まあ、もちろん酛摺りが重労働であるのには変わりませんが、昔はもっと重労働だったのですね。

この際に「乳酸菌」が育つのですが、この「乳酸菌」が酒の中の雑菌を全部死滅させてくれるのです。ここで雑菌をしっかり排除しておかないと、純粋酵母が育たず、おいしい酒ができません。

ここはまあ、言わずもがなではありますが、乳酸菌の力だけではありません。詳しくは後述しますが、生酛系ですとまずは硝酸還元菌が亜硝酸を作り出し、野生酵母や産幕酵母という、お酒を造るときには邪魔な酵母の生育を抑えるのです。

この技術によって、山廃でも雑菌が繁殖しなくて済むようになりました。そのあとに乳酸菌が育つ、というわけですね。

4ページ目以降のツッコミどころ

ここから微妙にいろんなところがごちゃ混ぜになっていて間違いが混在していてややこしいんですが、できるだけ整理していきましょう。

「山卸し・山廃」方式では酛造りに2~3週間かかるところ、この「速醸酛方式」だと2~5日程度で完成します。

こんなに早いことはまずありません。2日て。いくらなんでも盛りすぎです。

一方で、生酛が2〜3週間というのも短いです。造っている量にもよるんですが、ちょーっと短いですね。もうちょっと時間をください。

生酛系だとだいたい1カ月、速醸酛だとだいたい2週間と考えるといいでしょう。これも厳密には蔵によって異なります。でも、2日とかで完成することはないです。

 

それなら蒸した米に「アミラーゼ」といった酵素を添加してしまえば、でんぷんが早く糖に変わり、麹も少なくて済みます。このとき、温度を上げると酵素がより働くから、温度を55度ぐらいまで上げます。

ここに乳酸を添加すれば、より早く酛が出来上がるわけです。これは「高温糖化酛」と呼ばれます。

これは、呼ばれないんですよ。明確な間違いなんです。勘違いされやすいんですが。

「高温糖化酛」もしくは「高温糖化酒母」と呼ばれるものと、「高温糖化法」では似て非なるものでして、この説明で呼ばれているものは「高温糖化法」なんです。決して「高温糖化酛」ではありません。

高温糖化酛は、広島県の中尾醸造4代目の中尾清麿氏が開発したものです。中尾氏は1927年に東京帝国大学で発酵を学んだ後、蔵に戻ったあとも日本酒にふさわしい新しい酵母を探し続けました。そうして見つけたのが、リンゴ酵母です。

ところが、リンゴ酵母は非常に弱く、そのままでは蔵付きの酵母に負けてしまうぐらいに弱かったのです。蔵付きの酵母はそれまで蔵で生存競争を勝ち抜いてきただけあって力強く、放っておいても入ってきちゃってリンゴ酵母を駆逐しちゃっていたのですね。

そこで7年かけて、1947年に開発されたのが高温糖化酒母法なのです。

蒸し米と麹と水を混ぜ合わせ、55℃で8時間保ちます。55℃は菌が生きていくのには非常に厳しい環境のため、さしもの蔵付き酵母もやられてしまいます。ところが、麹の酵素は60℃で失活(活動しなくなる)ため、ギリギリセーフ。というわけで、麹の作用はそのままに、雑菌を退治することができるというわけです。

その後、無菌状態になったもろみを20℃まで冷ましてリンゴ酵母を加えると、リンゴ酵母100%の酒母が完成するというわけです。

つまり、弱い酵母を使ってお酒を造るための技術として生み出されたものなんですね。そしてきっちりと麹を使っていて、酵素は添加していません。

先にちょっと触れましたが、昔から日本酒は「寒造り」といって極寒の中で造られてきました。寒い時期が、最も雑菌が繁殖しづらいからです。

ここも正確ではなくて。

寒造りが一般的になったのは、あくまで江戸中期以降の話です。それよりももっと前は、別に暖かい季節でも造られていたんですね。

生酛よりももっと古く、伝統がある「菩提酛」という造り方があります。室町時代中期に、奈良県の菩提山正暦寺で開発されたものです。

生米と炊いた米を水に漬けて数日間放置します。そうすると、空気中の乳酸菌が取り込まれて繁殖。酸っぱい水ができあがります。これを「そやし水」と言います。

この「そやし水」を使って酒母を育てるのが菩提酛です。水酛と呼ばれることもあります(この辺はややこしい理由があります)。

この造りは寒すぎるとできませんので、温暖な気候の中で造られていたというわけなんですね。

ちなみに現在の生酛系のみならず、速醸系の原型とも言われています。乳酸の入った水である「そやし水」を安定して造るのは非常に大変です。じゃあ、最初から乳酸を用意すればいいよね、という発想で速醸酛ができたというわけです。

そして、この暖かい季節に造っているお酒に対して、寒い時期にしか造れないタイプのお酒のことを「寒酛」と呼ぶようになったのです。だいたい江戸中期元禄時代あたり)の話です。寒造りという言葉も当然それ以後に使われるようになったというわけです。

そしてこの寒酛が明治期に山廃・速醸が生まれた際に生酛と呼ばれるようになりました。なので頑張って遡っても、生酛は江戸からと言うことになるでしょう。

しかし、昔ながらの「生酛造り」「山廃仕込み」こそが本来の酒であり、これが「『添加物(乳酸)を使う速醸』によって壊された」と嘆く日本酒ファンも少なくありません。
(略)
室町・江戸時代から連綿と続く日本の伝統文化ですから、残ってほしいという気持ちはあります。

というわけで、非常に残念ながら、生酛造りは室町時代から続いている伝統ではありません。

山廃仕込みに至っては明治時代です。明治42年(1909年)ですね。

そして、この著者が敵視している速醸酛と、開発された年でいうと1年しか違いません。速醸は明治43年(1910年)に開発された技術なんです。

伝統という言葉を使いたいのなら、きちんと年代を明確にするといいでしょう。

生酛や山廃こそが「本来の酒」なんてことはありません。本来と呼ぶことの根拠がただ単に歴史があればいいということになると、映画『君の名は』でも有名になった、口噛み酒とかがもっとも伝統のある「本来の酒」になるかもしれませんよね。あ、八岐大蛇伝説で言うところの八塩折酒とかの方が「本来の酒」になるでしょうか。でも、ちょっと違いますよね。生酛や山廃や速醸だろうが、日本酒だったら「日本酒」で、その中の一ジャンルだけが本来の酒というわけではないんです。

生米をすり潰して、「乳酸」「アミラーゼ」などの添加物を駆使して造った酒が高く売れているというのは、なんだかおかしな現象のように私には思えてなりません。

生米をすりつぶして造るお酒で、そんなに高いお酒があるなら飲んでみたいのでぜひ教えて欲しいです!

そもそも日本酒の値段の高低は、お米の原価がどれだけかかるかと、どのぐらい時間をかけて造るかによって決まることの方が圧倒的に多いです。

お米は玄米の状態から精米してお酒を造ります。玄米を100%の状態とすると、どのぐらいまでにしたかの割合精米歩合といいます)の数値が出るのですね。たとえば精米歩合60%と言ったら、4割ほど削る(お酒業界だと「磨く」という表現を使います)んです。

たとえばここに、40%まで磨いたお米と、80%まで磨いたお米があるとしましょう。たとえば、あるお酒を造るのに磨いた後のお米が10kg必要とします。40%のものだと25kgの玄米がなければなりません。80%のものだと、12.5kgの玄米で済みます。

ということは、精米歩合40%のものは、同80%のものに比べて、原価が倍かかっていると言えますよね。

こんな風に、お米を磨けば磨くほど原価がかかるのです。

そして、時間をかけて造れば造るほど(そういう製法にするほど)、人件費やら設備費やら何やらがかかるので、高くなるというのはわかりますよね。

著者の言っている、製造時間を短くしているお酒というのは、いわゆる日常消費用にお安く手に入れられるタイプのお酒で、値段も決して高くはないんです。なので、おかしな現象なのは、著者の思い込みによる幻想というわけですね。


山廃にも「添加」しているものがある

さて。ここで本題その1に入っておきましょう。

この著者の方は添加物は非常によろしくない、添加物の功罪を語るのがメインの方のようです。そして、基本的には添加物はない方が良いという主張の方のようです。

だとすると、ああ、大変です。

山廃は飲まない方がいいでしょう。そりゃあもう、加えちゃってますから!

そもそも山廃仕込みがなぜ成立するのか。本来なら山卸しを行うことで、雑菌の繁殖を抑えるわけですから、ただ山卸しをやらないだけだったらお米は溶けにくいし、雑菌が繁殖してしまいます。

じゃあどうするのか。

水を多めに、温度を高く仕込むのです。そうすることでお米が溶けやすくなり、すり潰す山卸しをしなくてもよくなるのです。「寒造り」とはまったく逆の発想なんですね。

でも、これだと雑菌の問題が解決していません。

そこで出てくるのが硝酸還元菌なんです。

硝酸還元菌は、亜硝酸を生み出します。この亜硝酸が雑菌を退治するのですね。つまり、最初に加える水の段階で硝酸還元菌が多かったら、雑菌の繁殖を抑制してくれるので、温度を高く水を多くしてもうまくいく、というわけです。

ところがこの硝酸還元菌は、水の中にミネラルが多く含まれる硬水じゃないと生きていけません。そして残念ながら、日本の多くの地域はミネラルがあまり含まれていない軟水なんです。硝酸還元菌が育ちません。

じゃあどうするか。はい、ミネラル剤を加えればいいんですね。

硝酸カリウム」を添加すれば、水の中にミネラルを多く増やせば硝酸還元菌が活躍し、亜硝酸が生み出され、雑菌の繁殖が抑制できるのです。

これによって衛生状態が劇的に改善し、山廃を造るときに失敗することがないようになりました。

というわけで、非常に残念なことに、この著者の大好きな山廃には、硝酸カリウムが添加されていることが多いのです。そうしないと失敗してしまうので。

もちろん、硬水の地域で井戸水などで醸している蔵だったら添加しなくても大丈夫ではあります。そしてもちろん、硝酸カリウムを加えるといっても人体に影響が出る量を加えているわけではありません。水質を少しだけ硬水寄りにしているだけと考えればいいでしょう。

「添加物の功罪」という視点でいえば、日本酒に関しては「功」のほうが大きいとも私は考えています。

このように、添加物の「功」をもっとも享受している日本酒のひとつが、山廃仕込みというわけなんですね。

何でも簡略化が悪いわけではない

本題その2です。

著者の方(おそらく編集さんがつけた部分ではあると思いますが)は「簡略化の功罪を考える」とタイトル部分で言っていますよね。

当たり前なんですが、何でも簡略化が悪いわけではありません。

むしろ、日本酒の場合は経験則で行われていたことをしっかりと分析し、だとするとここをこうすればいいのでは、ということのくり返しになるのです。

ほとんどの蔵は、限られた中で、できるかぎりおいしいお酒を造ろうと試行錯誤をしています。いま大人気の蔵はもちろんそうですし、大手の蔵だってもちろんそうです。できるだけ安く、おいしいものを飲んでもらいたいと努力し続けているのですね。

それを、知識不足のまま、簡略化の功罪とか言われても、まったく響くものがないというわけです。多くの人が怒っているのは、そういう部分じゃないでしょうか。著者の人の味の好みとかは本当にどうでもいい話です。好きな物を持ち上げるために、他の物を落とす必要はないし、ましてや添加物は悪という主張に利用するなんてもってのほか、というわけですね。

 

まあ、そんなわけで二回目以降の記事も間違いや古い考えがアップデートできていない部分がたくさんありましたので、ツッコミ入れていきます。

続きです

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宝塚ファンのためのRRR解説

『RRR』ファンのための宝塚大劇場RRR観劇ガイドに続く第二弾。宝塚ファンのためのRRR解説です。

宝塚版RRRは本当に完成度が高く、1時間半という短い時間できっちりまとめあげていて、単体でRRRを見たことがない人でも十二分に楽しめる傑作なのは言うまでもありません。

ですが、RRRのテーマともいえる部分を少し削ってしまっているのも事実。というわけで、そういった削られた部分や、あのシーンってどうしてこうなの? みたいな部分を解説していきます。

なお、ここでは公式や配信会社の動画(インド映画は公式のMVなどをYouTubeにアップする文化があるのです)を貼っていきます。その中で、血が出たりするシーンなどに関してはあらかじめ注意書きを入れるので、苦手な方は見ないようにしてください。

もちろん、初見の感動を大事にするのでネタばらしは読みたくない! という方も読まない方がいいです。

あ、大前提として、コムラム・ビームもラーマ・ラージュも実在の史実上の人物です。インドの解放闘争(イギリスからの独立闘争)の英雄です。ただ、RRRは史実ではなく、史実ifなお話です。

めちゃめちゃ長いので目次を入れてあります。観劇をして、ここどうだったっけと思ったところを読み返していただけたらと!

Q. なぜ最初は鹿と虎、特に虎なの?

A.一応、理由はあります

虎なんですが、映画の方でビームが登場するシーン。まずはここに出てくるんですよ。

※半裸のマッチョ(ビーム)が猛獣をおびき寄せるために頭から血のようなものをかぶるシーンがあります

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ここで猛獣をおびき寄せ、虎を生け捕りにします。

なぜ虎が必要になるのか。それはもう、スコット邸に突撃するために他なりません。宝塚版では若干スマートに突撃していましたが、映画版では力尽くで侵入というか、襲撃します。虎達と一緒に。

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ここで鹿もイギリス兵に重症を負わせる大活躍をするのです。というわけで鹿と虎が出ていても不思議はまったくありません。まあ、鹿は森の象徴でもありますが。

そしてもうひとつ。ビームを演じているNTR Jr.は「ヤングタイガー」という愛称がついています。

ラッチュが拷問されているときに「兄貴は森を支配する虎だ」と言っていたのも、虎を捕まえていたりヤングタイガーという愛称だったりとかいろいろな意味が込められています。

あとは……これは完全に推測というか深読みになってしまうのですが、映画版でビームがマッリのために作ったバングル。宝塚版だと最初の子供にもあげたりしているんですが、映画だとマッリのために作ってそれをジェニーに託している1個だけが登場しますし、模様が描かれているのも見えるんです。

この模様はたくさんの種類があり、それぞれがゴーンド族にとっての何かを象徴しています。その中の鹿は「優雅さと優しさ」の象徴なので、宝塚版のビームには優雅さと優しさが備わっている、という暗示なのかもしれません。

Q. 子供を助けるシーンの旗は何?

A. インドの解放闘争のための旗で「母なるインドを称えよ」と書かれています

子供を助けるシーン。宝塚版でもかなりの迫力でしたが、映画版はもう映画ならではの超ド迫力シーンなのです。

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川で助けを求める子供。頭上の橋では蒸気機関車が爆発事故を起こし、火に取り囲まれています。橋の上でどうにか子供を助けようとするラーマは、同じく川辺で子供を助けようとしているビームに気づき、必死に手を伸ばし、合図を送ります。

宝塚版のここの手の挙げ方が完璧すぎて、橋の欄干がそこにあるようにまで見えました。
というのはさておいて、助けるために二人がとったのがこの動画の行動というわけです。

ここは全体的に非常に意味の深いシーンでして。

国を救う大義を胸に秘めたラーマが「旗」を持ち、
さらわれた娘を救いたいビームが「子供」を助け。

そしてそれを交換することで、後にラーマが「親友とその妹」を助け、ビームが「国を救う大義」に目覚めることを暗示しているわけです。

この旗は現在のインドの国旗ではありません。RRRの舞台である1920年頃には、各地でインドの独立のための象徴となるべく「民族旗」が登場しています。その中でも初期のころの民族旗のデザインをもとに作られた旗です。

中に書かれている「वन्दे मातरम्」という文字はヒンディー語で用いられているデーヴァナーガリー文字で、「ヴァンデー・マータラム(母なるインドを称えよ)」という意味です。

宝塚版では√ビームということで、どうしても「大義」側のラーマがあまり描かれていないため、旗がちょっと弱いものになってしまっていたかもしれません。

Q. なぜビームはでっかい肉を持っていたんですか。食べるため?

A. 猛獣のためです!

子供を助けたあと、二人が固く握手をし、「Dosti」という曲が流れます。これは宝塚版も映画版も同じです。

この歌が流れながら、二人が友情を育んでいくシーンが次から次へと登場して時間の経過と共に二人の絆が確かな物になっていくのを見ることができるのです。宝塚版では後に急に登場するラッチュの似顔絵も、このDostiの曲の中で絵師に描かせています。そしてその中にビームがでっかいお肉を持っているシーンがあるんですね。

これは映画版にもあります。この動画の2:05ぐらいです。

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いきなり水中から始まるのは、二人が子供を助けた後に川に一回潜るからです。

そして、何のために肉を持っているのか。ラーマとおじさん(ヴェンカテシュワルル)が「食べ足りないんじゃないか?」「悪くいうな」と笑いながら言っているんですが、実はこれはビームが食べるんじゃないんです。

この歌を続けてみていると、何か穴にお肉を放り込んで扉を閉めていますよね。そのとき、ガオーって吠え声が聞こえるんです。そう、襲撃用の虎とかを飼っている小屋だったんですね。

残念ながら宝塚版では動物大作戦が行われていないのですが、肉のシーンはファンサービスとして挿入してくれたのでしょう。

ちなみにDostiは、日本配給元のツインが日本語歌詞付きのMVを公開してくれています。

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結構宝塚版と歌詞が違いますよね。映画版は友情と絆がメインテーマで、そのあとにくる対立をほのめかす程度なのに対して、宝塚版ははっきりと対立する、ということを頭においてそれが運命と歌い上げている印象があります。

宝塚版のみの歌詞で好きなのは「人と神の間に生まれた絆」というところなんです。これについては後ほど!

Q. なぜRRRファンの人達は宝塚版ナートゥを見て驚いているの?

A.歌いながら踊っているからです!!!

どう再現してくれるのか、ものすごいわくわくしていたナートゥ。これが、想像を絶するというか、今思い返しても意味がわからないんですが、歌いながら踊っているんですよ!!!

映画版のNaatu Naatuを見てみましょう。

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口が動いているので、映画版でも歌いながら踊っているように見えます。ですが、インド映画は基本的には歌どころか喋っている言葉もアフレコなんですよ。

というのも、インドは多言語国家でして、同じ国の中でも全く違う言葉を使います。北部ではヒンディー語が主なんですが、南部にはテルグ語タミル語カンナダ語マラヤーラム語などたくさんあります。これらは関東の言葉と関西弁の違いどころではなく、本当に別の言語なんですね。

そうなると、インド国内で映画を展開する際には、2通りの方法があります。ひとつは、違う言葉のところに展開する場合は吹き替えを作ってしまうというもの。

RRRはテルグ語圏で作られた映画なんですが、国内多言語展開をしています。たとえばヒンディー語吹き替えのNaatuはこれです。あ、Naatu自体も言葉が変わってNaacho Naachoになっています。

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歌声も別人ですよね。

というわけで、歌は特にプレイバックシンガーという歌手の方々が歌ったものにあわせて俳優は口を動かして演技をしているのです。アカデミー賞でパフォーマンスをしたのは、この歌手の人達と、ダンサーの方々だったのですね。

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というわけで、映画版では歌いながら踊っていないんですよ! そもそもカット割りされていますし。それを一発勝負の舞台で、歌いながら踊るとか、人類にできてしまうのか!? と驚愕していたというわけです。

ちなみにもうひとつの多言語展開の方法は、その言語圏の俳優たちでリメイクをしてしまうというものです。2024年1月6日から随時全国で上映されている『ヴィクラムとヴェーダ』という映画は、もともとはタミル語版で作られたものをヒンディー語圏の俳優達でリメイクした作品だったりします。

Q. なぜナートゥのラーマはお盆を叩いていたの?

A. そこにお盆があったから! いや、そうではないんですが。

ここはもうナートゥに入る前のシーンを見ていただくしかないんですが

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嫉妬にかられたジェイクはわざと足を引っかけてビームを転ばし、ひどいスラング混じりに罵声を浴びせます。侮辱されたインド人の給仕のみならず、女性陣が顔をしかめているのは下品なスラングだからというのもあります。

あまりに下品なスラングだったからこそ、このあとの男性陣の抗議に対して女性陣が立ち塞がり、「Go!」と背中を押したり、自ら一緒に踊ったりしているというわけですね。

ちなみに映画版ではナートゥのシーンはウクライナの首都キーウにあるマリア宮殿で撮影されていて、踊った女性陣は現地のバレエダンサーが中心になっていたりもします。

サルサでもフラメンコでもない。“ナートゥ”をご存じか?」

という有名なセリフからナートゥが始まるのですが、そもそものナートゥとは「地元の」とかそういう意味です。RRRの主な舞台であるデリーは北部インドですが、ビームもラーマも南インドのアーンドラ・プラデーシュ州(現在はテランガーナ州とアーンドラ・プラデーシュ州に分かれています)の出身です。そしてこの南インドには「カルナータカ音楽」という古典的な音楽があるのですね。

この「地元の」という意味からは、カルナータカ音楽を連想させる要素があるのです。そしてカルナータカ音楽は他の地域の音楽の影響を受けておらず、ムリダンガム(南インド特有の両面太鼓)でリズムをとりながらヴォーカリストが歌うのが基本だったりもします。つまり、打楽器は必須。

さらには受けた侮辱を蹴り飛ばす的な意味もこめて、お盆を真上に蹴り飛ばし、叩いたのではないかと思われます。

ちなみに映画版ではここにジャングもペッダイヤも登場はしていませんので、お盆を支える人は出てきていません。

Q.ジェイクの出番はナートゥで終わりって本当?

A. 本当!

ジェイクはプライドが高いのでおまえらにできる踊りは俺にもできるとダンスバトルを挑むものの、負けてしまって心底悔しそうにしたあと、なおも踊り続けてしかもどんどんギアを上げていく二人を見てこいつらマジやべえ……って顔をするので出番は終わりです。

Q. ナートゥの最後でラーマが倒れたのは恋のアシストですか?

A. もちろん!

ラーマは英語もできるジェントルマンで、女性陣に丁寧にナートゥの踊り方を教えていたりします。また、やっぱりお盆を叩いて登場するあのシーンが鮮烈すぎて、周囲の女性陣はみんなラーマにメロメロ。

二人だけのダンス対決頂上決戦時も、ほとんどの女性陣が「ラーマ! ラーマ! ラーマ!」と応援しています。

ジェニーだけはそこで「違うでしょ! Go! アクタル!」とアクタル(ビーム)を応援しているんですね。

そしてそれを広い視野で全て見ているラーマは、ビームが限界に近そうと判断したら、ビームが倒れる前に自らがわざと倒れるというわけです。

ちなみに映画版のナートゥの、貼ったYouTube動画では、ラーマが倒れた瞬間の4:22頃に後ろでひとりだけジェニーが飛び上がって喜んでいるので見てみてください。このときのオリヴィア・モリス(ジェニー役)の表情から仕草が完璧と、監督達から大絶賛されたシーンでもあります。

Q. なぜラーマは拷問までしたラッチュを逃がしてあげたんですか?

A. ラーマは基本的に大義のために動いていたからです

宝塚版ではやや省略されていましたが、ラーマはインドの解放闘争のために動いています。父親であるヴェンカタ・ラーマ・ラージュも同様に解放闘争のために動いていて、村人を民兵に鍛え上げたりしていました(史実の父親はカメラマンなのでちょっと異なります)

ところがイギリス軍がそれを嗅ぎつけ、村を襲撃。村人達を殺してしまいます。その際にラーマは目の前で母親と弟を失いました。さらには、自爆攻撃をする父親のために、自ら父親とその腹に巻き付けたダイナマイトを撃って命を奪っています。

そのため、ラーマの根本には「祖国解放のため、誰しも払うべき犠牲はある」という考えがあるのです。したがって、本来は同胞であるラッチュを捕まえ、さらには「兄貴」を捕らえるための情報を聞き出すために拷問をも辞さなかったというわけです。

ところが、毒蛇に噛まれ、あと1時間の命と宣告されました。

だとするとこれ以上同胞を痛めつける必要はありません。任務を遂行できないのですから。というわけで逃がしたのですね。

Q. 毒の治療を受けたあとのラーマ、すぐに雄叫びあげたりして毒が回っちゃわない?

A. あの雄叫びは重要なんです!

映画版では登場するのですが、ラーマのおうちにはトレーニング室があります。そしてラーマは何かがあるとサンドバッグに怒りやら何やらの感情をぶつけ、雄叫びをあげたり慟哭したりするのです。

イギリス警察内でのインド人という、イギリス人からは猜疑の目で見られ、インド人からはイギリスの犬とみられるような立場で出世するためには、対外的には完璧超人でいなければなりません。そこにかかるストレスは多大なものでしょう。そんなラーマが日常生活の中で唯一感情をむき出しにするのがトレーニング室なのです。

そしてその雄叫びシーンを再現したというわけですね。

ただ、ややのけぞって雄叫びをあげるのはオープニングの時のラーマの動きのコピーで、ビームの正体を知ってしまったときの動きはもうちょっと前屈みだったと思いますので、そのあたりはもう一度見る機会があれば注目するつもりです。

Q. ビームのスコット邸への潜入、ちょっと策が足りていなくないですか?

A. 映画では動物を使ってパニックを引き起こし、それに乗じてマッリを救出するつもりでした

もう一度載せます。このシーンなんですね。

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大量の猛獣を解き放ってパーティー会場をパニックに陥れ、大混乱の中でマッリを助け出すつもりでした。それに対する下調べもジェニーにお屋敷に招待されたときにさりげなく行っております。頭脳プレー!(本当に?)

ちなみになんですが、この潜入前のパーティーで、キャサリン・バクストン総督夫人(小桜ほのかさん)の歌がうますぎて、え、あ、キャサリンが歌っている? しかもうますぎる? って混乱もしていました(あれ、これはナートゥのシーンでしたっけ?)

Q. なぜラーマはあそこまでして特別捜査官になりたいんですか?

A. 尋常の手段では特別捜査官になれないと知ったからです

映画版の冒頭でのラーマの初登場シーンは、デリー郊外の警察署です。ラーラー・ラージパト・ライという活動家を捕らえたイギリス警察に対し、1万人の群衆が警察署を取り囲み、暴徒と化して抗議活動をしています。

その中の一人が投じた石が、イギリス警察のおえらいさんの写真を直撃。怒った署長(っぽい人)が「あいつを連れてこい!」と言っちゃうわけです。

それを聞いたラーマは、颯爽とフェンスを跳び越え、1万人の群衆を警棒一本でちぎっては投げ、ちぎっては投げ、ぼこぼこに殴られながらも犯人のところにたどり着き、警察署まで連れてくることに成功しました。

そんな不可能ごとを成し遂げる、一度決めたら必ず任務を遂行する火の意志を持った人物として描かれているのですね。

ところが、そうまでしても、その年の特別捜査官への昇進が見送られてしまいます。昇進したのは(おそらく自分よりも手柄を立てていない)イギリス人のみ。ラーマは理不尽さに自室のサンドバッグを叩きまくり雄叫びをあげるのです。

そんな中に降ってわいた、キャサリン総督夫人からの「この不可能ごとを成し遂げたものは特別捜査官へ昇進させる」の言葉。この千載一遇のチャンスに全てを賭けていたからこそ、たとえ親友を捕まえることになったとしても、成し遂げなければならなかったというわけです。

ちなみに、映画版ではラーマが「生死は問いますか?」とキャサリンに質問した際、その署長が「保証します。適任者がいるとしたらあの男しかいません」と耳打ちするぐらい、ラーマの活躍は群を抜いていて現場での信頼が厚かったんですね。

Q. 鞭打ちのシーンで、風の音が入っていなかった?

A. よくぞお気づきで! これは、ビームが風の神の息子である暗示なのです

いきなり神様の話が入ってきてびっくりされたと思います。

この辺は、インドでは常識となっている部分だけれども日本ではなじみがない部分だったりもしているので、宝塚版では大きく省略されている神話部分に関わっているんです。

映画版のコムラム・ビームは、意図的に神話の時代の英雄「ビーマ」をモチーフにした描写があります。

ビーマとは、インドの二大叙事詩のひとつ、マハーバーラタに登場する英雄です。最近はFGOなどでも登場していますね。

その中でビーマは風の神ヴァーユの息子として生まれていて、怪力などを継いでいます。日本では力持ちの子供=金太郎というイメージがあるかと思いますが、インドでは力持ちの子供はビーマとあだ名がつけられるぐらい一般的なんです。

というわけで、コムラム・ビームが何かしらの神通力を発揮する際には突如風が吹くのです。

※トゲトゲの鞭で打たれて血が吹き出るシーンがあります

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Komuram Bheemudo、宝塚版では「コムラム・ビームよ」を歌う直前に突風が吹いてきて、ビームの頬に葉がついているのがわかります。ビーマとしての神通力を発揮し、だからこそ鞭に打たれても歌うのが止まらず耐えられたというわけですね。

宝塚版のこのシーン、息をするのを忘れるほど歌も素晴らしかったんですが、鞭で打たれる(実際には床を打っているので体にはあたっていないはず?)瞬間にはビームがビクッと体が反応し、でも歌はそのまま続いているという、本当は鞭で打たれているんじゃ? と言っていたら(ビーム役の)礼真琴さんはさまざまな作品で本当によく鞭に打たれるし、打たれる演技が異様に上手いことに定評がある」と教わりました。たしかに上手すぎた!!

Q. 鞭打ちの歌に感動してビームを逃がすの、省略された部分あります?

A. やや省略されています。ラーマの「大義」と関係あるのです

この部分は宝塚版では若干省略されていたのですが、逃がしたのはやはりラーマの「大義」と関係があります。

ラーマはすべての人に武器を配れば、それで解放闘争を成し遂げられると思っていました。というのも、幼少期にイギリス軍に襲われた際に、多大な犠牲を払ったものの小銃1本でイギリス軍を撃退したからです。死にゆく父との最後の約束「皆に武器を届けろ」だったのですね。

ところが、ビームの歌が民衆の心を動かしたのを目の当たりにして、ここで初めて「銃のない革命」を知ることになったのです。ビームの感情が、多くの人々を武器に変えた、と。だからこそ、ここでビームを犠牲にしてはならないと逃がすことを決意したのでした。

映画版ではもちろん歌のシーンの後(前述の歌の最後の部分)に、気絶したビームがそのまま民衆のシンボルにならないよう、車に運び入れて連れ去るシーンが入っていますね。そのあとに苦悩して、ビームを逃がすことを決め、マッリと一緒になるように策略をラーマは巡らしていくのです。そこを少し省略して当日に逃がしたのが宝塚版なのでした。

ちなみに気づいた人は多いと思いますが、マッリがヘナアート(手に描く入れ墨みたいなやつ)をするシーンで歌った歌、ビームがマッリと最初に再会したときに牢越しに歌った子守歌、そして「コムラム・ビームよ」はすべて同じメロディです。ゴーント族に伝わるメロディなのでしょう。

Q. みんなが言う「肩車」ってどこに登場したの?

A. ビームがラーマを救出するとき!

RRRを見た多くの人が言う「肩車がやばい」「史上最強の肩車だ」というシーン。

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これは、ビームを逃がしたラーマが捕まり、投獄された後、ビームが救出するシーンで用いられます。

ラーマの戦闘力などを恐れたイギリス軍はラーマの膝を破壊します。このままでは動けません。でも大丈夫。足が動かなければ肩車をすればいいじゃない! これで1+1=2ではない、1+1=∞だ! と言わんばかりの大活躍をするのです。

さすがに腰にきますし、宝塚版では肩車はでてきませんでしたね。

Q. ラーマがなんか神々しい姿になっていたんだけど?

A. 神が降りてきたのです

これまたいきなり何を言うのかと思われるかもしれませんが、そうとしか言いようがありません。

もともと「ラーマ」という名前は、マハーバーラタと並ぶ二大叙事詩のひとつ、ラーマーヤナの主役の王子の名前でもあります。

このラーマ王子は、インド神話最高神の一柱、ヴィシュヌ神の生まれ変わりのひとつでもあります。そして自身も功績などによって、神格化されたのです。つまり、ラーマ王子は神でもあるわけですね。

史実のラーマは、自分の名前が神様と同じであることも利用して、人々の心をつかみ、解放闘争の指導者として活躍しました。

というわけで、映画版のラーマも神様のラーマとは深い関わりがあり、前述の膝を砕かれて動けなくなっていたときも、ビームの薬草を塗り、ラーマ神像の前で横たわって祈りを捧げることで復活したのです。その後は、ラーマ神像の持っていた弓と矢を借り、捧げられていた布をズボンにし、八面六臂の大活躍をしたのですね。

ちなみに神話のラーマ王子が持っている弓と矢は、「どれだけ射ても矢が尽きない」とされ、神出鬼没に現れては敵を矢で射倒すという逸話がたくさんあります。最後のラーマが弓矢を使っていたのは、ある意味必然だったのですね。

この辺は公式系では動画がありません。歌だけです。公式じゃなさそうなところ(判断がつかなかったので載せていません)だと映像つきでたくさんありますので、興味がある方は「Raamam Raaghavam」で検索をしてみてください。

もうひとつ。映画でも宝塚でもラーマの恋人の名前がシータなのは、これは史実でもありますし、神話と同じでもあります。ラーマーヤナのラーマ王子はヒロインであるシータ姫を羅刹にさらわれ、それを救いに行きます。ラーマとシータはもうほとんどセットになっていると言っても過言ではありません。なので、ビームは恋人の名前を明かしたラーマに「ラーマとシータだな」映画の日本語吹き替えだとここをわかりやすくするためにラーマ王子とシータ姫だなとなっています)と言ったりもするのです。

史実のラーマは確かに友人の妹であるシータと恋仲になるのですが、お互いがまだ幼かったときに、シータが病気で早世してしまいます。それを嘆き悲しみ、ラーマはそれ以降「A・ラーマ・ラージュ」ではなく「A・シータラーマ・ラージュ」と、シータの名前を入れた名前を名乗るようになるのでした。

Q. 最後が逆ってどういう意味なの?

A. ビームが撃っていたのです

最後にスコット提督を撃つシーン。あそこでラーマが撃っていますよね。映画版だと実は逆です。

というのも、ラーマの「大義」はあくまで「民衆=人に武器を渡して、イギリス軍を打ち倒す」というところにありました。なので幼いころから訓練をし、さらには警察でも訓練をした自分ではなく、一般の人であるビームに銃を渡し、撃ってもらって革命を成し遂げるということが重要だったのです。

でも宝塚版は、あくまで「√ビーム」の話。つまり、徹頭徹尾「神」であるラーマの物語は薄めて、「人」であるビームの話に終始したのです。なのでDostiでも宝塚版でのみ「人と神の間に生まれた絆」というフレーズが入っていて、人と神の話とはわけているんですよ、ということを伝えてくれていたのですね。

というわけで、大義と解放闘争とが主軸となっていると考えると少しあれっと思いますが、宝塚版では「人」としての物語ということで、あの終わり方でも良いと思っております。

Q. ビームはラーマに読み書きを教えて欲しいって言うけど、読み書きできないの?

A. できません。

よーーく見ると、特にラーマの手紙をビームが読もうとするところとか、わりとビームが困った顔をしていました。オペラグラスで見たので、見間違いではないとは思います。

映画版では特に「言語」の違いが重要な位置にあります。

テルグ語しか話せないビームに対し、ヒンディー語・英語・テルグ語が達者で読み書きもできるラーマ。ビームはラーマに、ジェニーから渡された紹介状を「読んでくれよ」と言ったりもしています。もちろんジェニーとの間では互いに言葉が通じず、わたわたするというシーンもありますね。

ラーマが鞭打ちされるビームに感動したのは、その場にいた民衆の半分はヒンディー語しかわからず、テルグ語がわからないにも関わらず、テルグ語で歌い上げたビームの感情がその場すべての人の心を動かしたからです。

そして、物語の終盤で「マッリを救う」という事しか見えてなかったビームが、シータの話(宝塚版だとそのままラーマの手紙)を経て、ラーマが祖国を救う大義のために動いていたことを知るのです。そうやって人に意志を伝えられる「読み書き」も含めて、自分は何てものを知らなかった、視野が狭かったんだろうというところから「俺は森で生まれ、無知だった」という言葉が出てくるのですね。

そこでまずラーマにお願いをしたのが「読み書き」だったというわけです。それを聞いたラーマが白い旗に3つの単語を書きます。

www.youtube.com

この動画の冒頭の部分です! 動画はそのままエンディングの大団円のスタッフロールの歌につながります。宝塚版のEtthara Jendaもそれはそれは素晴らしかったですよね!

この3つの文字は「जल जंगल ज़मीन」です。ジャル(水)、ジャンガル(森)、ザミーン(土地)という意味ですね。

実はこれ、実在のコムラム・ビームが解放闘争の際にかかげたスローガンなんです。つまり、祖国を救う大義に目覚めたビームが旗頭として掲げたのが、ラーマに最初に教わった3つの単語という、非常にエモいシーンなんですね!

 

というわけで、めちゃめちゃ長くなりましたがいったんここで終わります。他に何か質問がありましたら、Xでもいいので適当に書いていただけると、追記をしていくかもしれません。

『RRR』ファンのための宝塚大劇場RRR観劇ガイド

本来ならばコミケの御礼を書かなければならないのですが、ちょっと先にこちらのエントリを。

はい。あの世紀のコラボ作品『RRR×TAKARAZUKA 〜√Bheem〜』を見てきましたよ! という話をしていきます。初日初回を見てきました。

なお、RRRは台詞を字幕に至るまでほぼ暗記するぐらいまでくり返しくり返し見ているものの、宝塚は小さい頃に一度だけ観劇したので○十年ぶり、という感じなので、主に一緒に行ってくれた宝塚ファンの方からの情報を自分なりに咀嚼した上で書いております。間違えていたら遠慮無くご指摘下さい。

また、ネタばらしをほんの少しだけしながら演出の話や感想をもりもり書いていくのは後半に集中させます。ここからネタばらししますよということは明記しますので、初見で楽しみたいという方は、ネタばらしポイント以降は読まないようにお願いいたします。

写真を撮れるときと撮れないときがある

一番重要なポイントがここです。

緞帳があがった直後に、ロゴが入った幕が大きくバーンと出ることがあり、その場合は幕を撮影してもOKなんだとか!

ただし、撮った写真をSNS等にそのままアップしてはいけません。というのも、こちらのページにありますが

faq.kageki.hankyu.co.jp

あくまで自撮り等をしたときの背景としてならOKで、SNSにも投稿できるとのことです。ここの部分ですね。

舞台セット(ステージ面)単体でのSNSへの掲載は、会場を問わずご遠慮ください。
主たる被写体としてお客様ご自身が写っていらっしゃり、その背景としてステージ面が写り込んでいる場合は、SNS等への掲載をお断りはしておりません。

この幕(ステージ面)は、緞帳が上がったときに出てくるのですが、まだその段階では開演前なので単体で撮影そのものはできます。でもなんというんでしょう、そこでうわーっと走って行って撮るとかはできず、自席から撮る感じです。そしてただ、思い出としてのみで、SNSにアップはできない、と。

宝塚大劇場東京宝塚劇場を含め、原則として、宝塚歌劇公演では、上演中以外の幕間や開演前でございましたら、動画・写真ともにお客様の思い出として、客席よりステージ面や緞帳を撮影されることはお断りしておりません。

SNS等に投稿したい場合は、自撮りをしてネ! というわけです。

少しややこしいんですが「写真は撮れても投稿には条件がある」と覚えておきましょう。

もちろん観劇中はスマートフォンは電源を落とさなければなりません。でも、早めに電源落として鞄に入れていると、電源入れてカメラを起動して、さらにはSNSに投稿する場合は自撮りの準備をして……とあわあわしてしまいます。

マナーモードにして待機しつつ、撮り終えたら速やかに電源を落として鞄にしまうようにしましょう。

なお、作品によってはこの幕が出てこなくて写真が撮れないパターンもあるそうです。毎回必ず撮れるわけではないと覚えておきましょう。

大劇場には早めに行った方が良い

普段から宝塚大劇場に行き慣れている方はともかく、初めてだったり久しぶりだったりすると、早めに行った方が良いと思います。

まず狙いたいのは、公演特別メニュー! 今回食べたものは正面ゲートから入り、目の前のドアを入ってすぐにある「フルール」というカフェでいただきました。

シェフ自ら一皿一皿に手書きで「RRR」と書いてくれる特別メニューがあるのです。これは食べなければなりませんよね!

なお、ラージャマウリ監督のアクスタと一緒に写真を撮っている人は他にいませんでした。当たり前か……

そして忘れてはならない物販

大きく分けて「タカラジェンヌに関するグッズ」を売っているところと、「公演のお土産っぽいお菓子等」を中心に売っているところがありました。

お菓子の好みはそれぞれなんですが、今回購入したのはこれ。

特製箱入り萩の月です。

いや、本当に仙台銘菓の萩の月なんですよ!

星組の公演では、トップスターの礼真琴さんのスポンサーとして萩の月菓匠三全さんがついているため、毎回ポスターデザインの特別箱で萩の月が販売されるそうです。

本当に萩の月なんです!

あとは、クッキー缶も買いました。

これ、ポスターのところはマグネットになっているんです。食べ終わったら冷蔵庫に貼ります。

タカラジェンヌに関するグッズを売っている方では、RRRのロゴ入りのグッズもたくさんありました。

こういう物販も、あっという間に大行列ができますので早めに行って先に買っておくにこしたことはありません。帰りは特に混雑するので、なかなか寄れなかったりします。はい、RRRロゴ入りグッズは後で買おうと思っていたら、案の定買い損ねてしまいました……観劇バッグは買うべきだったなー!

www.tca-pictures.net

パンフレットの購入はマスト


宝塚ファンの皆様は当然買うであろうパンフレット。

RRRファンは、絶対に観劇前に購入して冒頭から数ページだけでも目を通した方がいいです。なぜなら、日本語の歌詞が載っているから!

今回の「宝塚舞台化」で気になったのは、歌をどうするのかということではないでしょうか。これが、結構映画の原曲を採用しているんです。

Naatu Naatuはもちろん、Dostiもあります。

ただ、宝塚の舞台で歌い上げるので日本語化されているんですよ。その歌詞がパンフレットにはすべて載っているのです!

この歌詞も、うまいこと映画の藤井美佳先生の字幕におけるキーワードを踏襲しつつ、なおかつわかりやすく落とし込んでいるんです。歌を余すところなく堪能するためにも、RRRファンほどパンフレットは買った方がいいと言えるでしょう。

あ、タカラジェンヌの美麗な写真の中に急に映画版の方のRRRの写真コーナーとかも登場しますよ!(こちらは映画パンフレットにも載っている写真中心でした)

オペラグラスは用意した方がいい

これは舞台慣れしている方は周知の事実だとは思うんですが、オペラグラスは絶対にあった方がいいです。

もちろん全体を見渡したいという方もいるでしょう。

でも、RRRファンはオペラグラスがあった方がいいです。細かいギミックや、ジェンヌさんの表情とか、見所がたくさんあるんです。ネタばらし用の後半でちょっとお話します。

オペラグラスがない方はレンタルもあります。

500円+保証金5000円なので、5500円を持っていきましょう(5000円は返ってきます)。

水は用意した方がいい

劇場内では公演中に飲食はできません。が、飲みものを飲んで水分補給はできます。

劇場内には売店がありますし、ウッドテラスに自販機もありました。駅から大劇場に行く途中にはコンビニもあります。水分補給は絶対にした方がいいので、用意しておくといいでしょう。

宝塚歌劇の殿堂で時間が溶ける

早めに行った方がいいと言われても、食事とお土産購入だけだったら時間を持て余しちゃうと思うかもしれません。大丈夫。劇場の2Fに宝塚歌劇の殿堂」コーナーがあるのです!

入場料500円なのですが、これがまあ見応えたっぷり。

歴代の殿堂入りしているタカラジェンヌの皆様のパネルやらまつわる品やら解説がずらーーっと並んでおります。

恥ずかしながら、芸能界の方でもどなたが宝塚出身かをあまり把握していなかったので、ああっ扇千景国土交通大臣(元)って、そうか宝塚出身でしたっけ! あ、高島忠夫さんの奥さんの寿美花代さんも宝塚の方か! 大地真央さんって宝塚現役時代からこんなすごい人なんだ! とか一人盛り上がっておりました。あと、一時期のトップスターの解説にたびたび名前の登場する春日野八千代さんという方はスター中のスターなんだな、とか。

空いている時間帯だったので、たびたび春日野八千代さんだけでなく、他の方の解説に別の方の名前が登場するたびにそこに戻って確認とかしたりしていたら、あっという間に時間が溶けていきました。

そして殿堂のコーナーの上には、写真撮影OKの衣装や小道具を見られるコーナーもあります。

衣装だけでなくデザインラフまで見ることができて大変お得!

この衣装を見ると、なんと言いましょうか。今回は『1789』という作品の展示だったんですが、当たり前なんですが同じ方が複数の衣装を着てるんですよね。

そして衣装の作りが本当にまあ精巧でして。

これを、舞台をやりながら、早着替えするの……? 人類にそんなことができるの……? ってなっていました。

フィナーレの衣装と一緒に写真を撮れるコーナーはめちゃめちゃ行列だったので断念しています。

というわけで、早めに来て、食事と買い物を済ませ、殿堂を堪能し、パンフレットを買って歌詞を読み込み、ぎりぎりまでマナーモードで緞帳が上がったときの撮影タイム(撮影可だったら)を狙うのが良いと思います!

以下、ネタばらしありで演出の話やら感想の話やらいきます。引き返す人はここですよ!

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C103『醤油をこぼすと染みになる』お品書き

12月31日(日)C103のお品書きができました!

今回の新刊は2冊です。

1冊目は『醤油手帖 最近ハマった調味料2023』

shouyutechou.hatenablog.com

この本は醤油を中心とした調味料を紹介する本です。詳しくは上記のリンクに書かれているんですが、あれです。最近の言葉でいうところのジャンルレスですね。

従来の醤油手帖シリーズは「○○編」というように、根底となるテーマを設けて書いていたのですが、今回は最近味わった調味料の中から印象に残ったものを書いてみました。なので、最新のものから、古いもの(を新たに味わい直した理由は本文に書いてあります)までさまざまな調味料を紹介しているのです。

豊かな調味料の世界を、ぜひ味わってください!

もう1冊は、インド映画の本です。『印度映画手帖2023』

shouyutechou.hatenablog.com

いやー、なんというんでしょう。調味料の本も趣味なんですが、こちらも趣味に走りまして。インド映画の本です。

世紀の傑作『RRR』が上映されたあたりから現在に至るまでの間に上映された、たくさんのインド映画の中から10本ほどを選択して紹介している本です。120%趣味ですね。

そして、既刊と委託もあります!

既刊は3冊。

食にまつわる「毒」をテーマにした『毒を喰らわば』

特に冬は食中毒が増える季節でもありますので、毒に関する知識を得ておくのは非常に重要です。表紙は寺沢大介先生描き下ろしの『喰いタン』高野さん!

年末年始にぜひ読んでみて下さい!

186ページあるので読み応えもたっぷりです。立ち読みページを置いておきますね。

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もう1冊は、C101で大いに話題になりました『わるいはうまい』です。

体に“わるい”ものは“うまい”。だから“やめられない”。

ということをテーマに、悪者にされがちな食べ物と、それがなぜおいしいのかについてとことん語った本です。

たとえば糖質って悪者にされがちですよね。でも、めちゃめちゃご飯っておいしいじゃないですか。塩分だってそうですし、うま味調味料だって、アブラだってそうです。

そういったものをとことん掘り下げていく珠玉の一冊! 表紙は寺沢大介先生描き下ろしの『ミスター味っ子味皇様!

こちらは196Pありますので、年末年始のお供にどうぞ!

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そしてそして。お酒の本もあります。『おかしなおこめのおさけ』

いまはお酒好きにとっては大変面白い時代でして。

新しい技術で造られた、新しいお酒が次々に登場しているのです。たとえば日本酒なんだけれども、法律で定められている「日本酒を名乗るための造り方」に合致していないため日本酒とは名乗れない。でもめちゃめちゃおいしい。みたいなお酒が結構あるんですね。

そういったお酒に注目をして、とことん掘り下げていきました。

『白熱日本酒教室』等でもコンビを組ませていただいた、アザミユウコさんと一緒に作った本です。

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今回はこれだけではありません。

なんと、寺沢大介先生のサークル寺沢企画の人気グッズ『将太の寿司「あ‥‥」神経衰弱』を委託します!

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来年には大会も開かれる神経衰弱。

神経衰弱で大会……? となりそうではありますが、大会ルールは百戦錬磨のグループSNE友野詳先生が考えてくださるのでご安心下さい!

そんな感じで今回も盛りだくさん!

サークル「醤油をこぼすと染みになる」の場所は……

こちらの、東5ホールの一番奥です!

大きく「醤油手帖」のポスターを貼っておりますので、こちらを目印に足を運んでいただけたらと思います。

天気は一時期の生ぬるいし雨がずーっと続くし全国的に大荒れという予報を脱して、そこそこの雨がちょっとの間降るだけになりそうです。

新型コロナウイルスも含めて、十分な対策をした上で(弊サークルのメンバーも消毒・マスクは徹底します)足をお運びいただければ幸いです。

それでは当日お会いできることを楽しみにしております!

 

C103で『将太の寿司「あ‥‥」神経衰弱」を委託します(大会告知あり)

「あ‥‥」あります!!

急遽決まったのですが、C103にてサークル寺沢企画の将太の寿司『あ‥‥』神経衰弱」を委託します!

コミティアで話題になった、『将太の寿司』で将太くんが「あ‥‥」と言っているコマだけを集めた神経衰弱です!

あまりの難度に寺沢大介先生も「描いている本人にもさっぱりわからん!」と。

一体なぜ調味料サークルで将太の寿司「あ‥‥」神経衰弱を委託頒布することになったのか。まあ、あれです。製作のお手伝いをしていたんです。ガチ将太の寿司ファンとして、そしてアナログゲーマーとして。難度調整(本当にしているんです)とかやっていたりするんです。

今まではイベントではコミティアでのみ頒布だったんですが、コミケには来られないんですか? と寺沢先生のところに尋ねる人が何人もいらしたため、じゃあコミケ……はもう申し込みが間に合わないから、委託しよう! という話になったのでした。

というわけでコミケ初売りです!

コミティアには行っていなかったけど気になっていたという方、イベントでは通販よりもお得なので、この機会にぜひお求めください。

C103 日曜日(31日)東5ホール “ス”-41a 醤油をこぼすと染みになる

にて、頒布価格3,000円で委託をします。

神経衰弱の大会をやります!!

そして、なんと。

将太の寿司「あ‥‥」神経衰弱』の大会を開催することが決まりました! えっ、本当に?

告知の許可を得ているので書いちゃいますけれども、グループSNEさんが刊行しているGMウォーロックという雑誌があります。

www.groupsne.co.jp

そこに大好評連載中の、磨伸映一郎先生による『アナゲ超特急』という漫画がありまして。

2024年1月末発売のGMウォーロック』12号に掲載される『アナゲ超特急』で、なんとこの将太の寿司「あ‥‥」神経衰弱』が登場するのです!

そしてそれを記念いたしまして、GMウォーロック編集部さんの全面協力による大会が開かれることになりました。本当です。

大会の概要

そして、なななんと、寺沢大介先生参戦決定! さらには磨伸映一郎先生も参戦!

お二人と一緒に遊ぶことができちゃうかもしれません。神経衰弱だけでなく、別のゲームも遊べるかも。さらには、大会後にはお二人のミニサイン会も!

僕は裏方でふらふらしていると思われます。間に合えば神経衰弱製作裏話本みたいなのをコピー誌で作ってこっそり頒布しているかも。

というわけで、あれなんですよ。

優勝賞品として描かれる予定(これからおねだりします)の、寺沢先生直筆の将太くんが「あ‥‥」と言っているサイン色紙を手に入れるためには、わかりますよね。事前に神経衰弱を手に入れて、猛特訓する方が有利になるのは言うまでもありません。

あとは事前に将太の寿司を読んでおくと、上級ルールのカルタ編で有利になること間違いなし。

というわけで、コミケで『将太の寿司「あ‥‥」神経衰弱』を手に入れて、年末年始はじっくり神経衰弱とカルタで遊び、2月の大会に備えましょう!

忙しい人用大会まとめ

  • 2024年2月4日に、大阪梅田のボードゲームショップ&カフェ「アルケリンガ」にて大会を行います
  • 大会の名前は「アナゲ超特急」記念『将太の寿司「あ‥‥」神経衰弱』GMウォーロック杯!
  • 寺沢大介先生も磨伸映一郎先生もくるよ!
  • 参加予約は1月中旬受付開始。予約で満員になった場合は当日参加枠はありません(ギリギリまで予約を入れちゃうとのこと)
  • 参加費用は通常プレイ料金のみ。ただしGMウォーロックを持参か当日に買ってネ!
  • 大会後、寺沢先生と磨伸先生のサイン会もあります。他のゲームも遊べちゃうかも!

各種リンク集

アルケリンガ(マップなどもこちら)

alcheringa.cosaic.co.jp

アルケリンガXアカウント@alcheringa2022・LINE公式アカウント

twitter.com

GMウォーロックXアカウント@g_mmagazine

twitter.com

メロンブックス将太の寿司「あ‥‥」神経衰弱通販ページ

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2171428

C103で『印度映画手帖2023』を頒布します

「おまえは今までに見たインド映画を覚えているのか」「はい」

サークル「醤油をこぼすと染みになる」は12月31日に東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケット103において、『印度映画手帖2023』を頒布いたします。

昨年末に世紀の傑作『RRR』が日本で公開され、大ヒットを飛ばしたのは記憶に新しいと思います。なにせ、来年には宝塚×RRRすら上演されますからね!

そんな、インド映画が大ヒットすると何が起きるのか。それはもう、日本にたくさんインド映画が入ってきて上映されるという現象が起きたのです。やったー!

というわけで2023年もインド映画を見まくっていたので、それを本にまとめてみちゃいました。

こんな感じにまとめてあります。

ちょっとややこしいのは、日本語版公式ページがないものもあったりするんです。たくさんインド映画を紹介するフェアみたいなもののひとつだったりすると、その映画単体のページがないんですね。なので、基本的には予告編は日本版公式予告編を収録しているのですが、見当たらなかったらインドでの予告編を収録しております。

そしてインド映画の代名詞ともいえる歌やダンスは、インドだとYouTubeでばっちり公開されていますので、それを収録しています。

また、各記事の画像は基本的にはDVD(BDよりDVDの方が画像が大きくなって綺麗であることが多い)のパッケージ写真を引用させてもらいました。

引用元にAmazonのURL等を記載しているので、面白そう! と思ったらぜひ買ってみてください!

ブログだとこうやって貼れるのは便利なんですが、紙の本だとうまくいかないので、悩んだ結果そういう仕組みにしてみました。

さらには、厳密にはRRRの後ではなくて、その直前に上映された映画なんですが、ツイートがうっかりバズった『スーパー30 アーナンド先生の教室』も収録しています。

バズったのはこちら!

まあ、これは、紹介しなくちゃいけないですよね!

そんな感じに、インドの映画を10本紹介しています。もちろんもっとたくさん見ているのですが、断腸の思いで10本にしぼりました(しぼりきれていないので勢いであれこれ書いているページもあります)。

12月31日東ホール“ス”−41aで頒布します

『印度映画手帖2023』はA5版モノクロ28P(表紙は色紙を使用しています)、500円で頒布します。

通販は今のところ考えておりません。いつものコピー誌の延長という感じな本なので。要望があればメロンブックスさんに相談するとは思いますが……

というわけで、12月31日東ホール“ス”−41a「醤油をこぼすと染みになる」でお待ちしております。

C103で『醤油手帖 最近ハマった調味料2023』を頒布します

あなたの知らない調味料の世界がここにある

サークル「醤油をこぼすと染みになる」は12月31日に行われるコミックマーケット103で、新刊『醤油手帖 最近ハマった調味料2023』を頒布いたします。

はい。今回は醤油を中心とした調味料の本です!

どんな感じなのか早速見ていきましょう。

こんな感じに調味料を紹介しています。

買った場所や、通販で買えるかという話も書かれていますので、興味を持ったら即買うことができます!

ちなみにこれはDAISOで買える醤油なので、お近くにDAISOがある人は108円握りしめて今すぐダッシュして買うことが可能です。

DAISOという全国的なチェーン店で買えるものもあれば、上記のように京都のお店でしか購入できないものもあります。その場合はぜひ通販をご利用ください!

ちなみにこれ、本当にすごくて。

基本的にはうま味あふれる素材を粉末にした、うま味をマシマシにする調味料なんですが、そこにうまいこと青唐辛子と山椒とハーブ類を加えていて、なんというか味わうと柚子胡椒っぽい風味がするんです。柚子が入っていないのに!

みんな大好きKALDYで買えるやつもありますよ!

そんな感じにバラエティ豊かな調味料を20本紹介した本です。今回は本当に今までに増して写真がめちゃめちゃ綺麗なので、どれもすごくおいしそうに仕上がりました。あと必要なのは盛り付けのテクニックですね! すみません!

あなたの好きな調味料がきっとある

以下は、ちょっとした製作裏話的なものも含めて。

弊サークルの同人誌『醤油手帖』は今まで○○編のように特定のテーマを設けてそれに関わる醤油を中心とした調味料を集めていました。でもそれだと、同じテーマがたくさんそろわないと本にできなかったのです。たとえば上記のような「青いにんにく辣油」は食べるラー油カテゴリの調味料が20本以上ないと難しかったわけですね。いやまあ、ありそうではあるんですが。

それに加えて、差し入れでいただいたりしたものもどうにか紹介したいなーと考えていたので、今回は思い切ってごった煮ともいえる、さまざまなジャンルの調味料を集めた本にしてみました。スペシャルな醤油から、通常の5倍量のにんにくが入った焼肉のたれ、インドの漬物的調味料、デザートな醤油までもりだくさんです

もしかしたら苦手なタイプの調味料が含まれているかもしれません。でも、きっと好きなタイプの調味料も入っていると思います。

ぜひ、お手にとって豊かな調味料の世界、調味料のおもしろさを感じてください。

12月31日(日)東5ホール"ス"−41aでお待ちしております

そんな調味料に満ちあふれた本は、A5版フルカラーで28P。頒布価格は600円です。ポスターはまだ鋭意制作中なので、この本の表紙っぽいものになるのか、それともサークルロゴが大きく描かれたものになるかはちょっとわからないんですが、まあその醤油っぽいポスターを目印にしてください。

というわけで、『醤油手帖 最近ハマった調味料2023』は

12月31日東5ホール“ス”-41a 醤油をこぼすと染みになる

にて頒布いたします。

あ、そうそう。

個人的な話で大変申し訳ないのですが、当日は天候が悪そうなので帰りの新幹線が心配のため、早めに片付けを開始する可能性があります。取り置きは難しいのですが、たとえば午後入場なので行けるのが15時半ぐらいになりそう! みたいなことをX(旧Twitter)などであらかじめ言っていただければ、すべて片付けないで本を数冊は頒布できるようにはしておきますのでお気軽にお申し付けください。

ちなみに通販はメロンブックスさんにお願いしてあります。もう予約ができるみたい!

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2253251

それでは当日、会場で皆様にお会いできることを楽しみにしております。

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