醤油手帖

お醤油について書いていきます。 料理漫画に関してはhttp://mumu.hatenablog.comへ。お仕事の依頼とかはkei.sugimuraあっとgmail.comまでお願いします

TYPE-MOONエースVol.16の「三蔵ちゃんと行く京都サーヴァント巡りプラスワン」をお手伝いしました

2024年8月28日に発売される、『TYPE-MOONエース VOL.16』内の漫画、磨伸映一郎先生の「三蔵ちゃんと行く京都サーヴァント巡りプラスワン」をお手伝いしました!

と、言われてもわからないという方もいると思います。

ちょっと冒頭の1コマを見てもらいましょうか。

(以下、画像は公式のポストと同じものです)

はい。

わからない人はまったくわからないですね!

TYPE-MOONさんのスマートフォン用ゲームFate/Grand Order(通称FGO)』がありまして。ものすごくあれこれを省略して簡単に言いますと、世界各国の偉人を「サーヴァント」として召喚して戦うというゲームです。

世界各国の偉人ですから、当然日本の偉人もいます。

その日本の偉人は、やはり、日本の古都である京都に由来する人がとても多いのです。だったら、その偉人にゆかりのある地「聖地」をみんなで巡ろうではないか。というのが2018年の最初の企画『三蔵ちゃんと行く 京都日本サーヴァント巡り」という漫画だったのです!

そして、2024年にその企画が復活!

『三蔵ちゃんと行く 京都日本サーヴァント巡りプラスワン』

として蘇ったのです。そのお手伝いをしましたよ、というお話なのでした。説明が長い!

この漫画は実録漫画なので、本当に京都の地にみんなで集合して、巡っております。

ただ、そのまま人物を描いたりするとあれなんで、ゲーム内のキャラクターに模しているというわけですね。

磨伸映一郎さんの「藤丸立香」は偉人というわけではなく、ゲームの主人公(自分でつけられるけれども、公式の名前としてある)です。編集のF原さんのマシュというのも、その主人公の相棒的ポジションのキャラクターです。

リアル住職、略してリア住の蝉丸Pさんは三蔵法師になっていますね。はい、偉人です。えっ、女性に見える? いやだなあ。夏目雅子さんとか深津絵里さんとか、日本では三蔵法師といえば女性が演じるものと相場が決まっているじゃないですか。

で、そこにわたくしも登場しているというわけです。京都の道案内やら、聖地の選定や情報提供などを担当いたしました。

どんな姿になっているかというと、こちら!

マイケルさんというのは……

これも文脈がたくさんあるんですが、コンスタンティヌス11世ローマ帝国最後の皇帝・偉人)がゲーム内で初登場したときに用いていた偽名がマイケルです。はい、コンスタンティヌス11世に模していただきました。

何気に、男性アバターというか、男体化(?)は何十年ぶりレベルかも! いつもはむむ先生で女性化で描かれているので!

なんかいきなりエジソンを紹介していますね。

エジソンがライオンなのも、説明するとめちゃめちゃ長くなるので、このゲームでは歴代アメリカ大統領の魂と合体して百獣の王的な姿になったとか思ってください。思ってください?

それはさておき。

なんでお手伝いをすることになったかというと、それはもう、毎日のように京都の街をふらふらと歩き回り、(いけず石を探したり)観光しまくって、サーヴァントゆかりの地でガチャを回すという奇行をくり返していたからです!

なので今回紹介する京都内はすべて散策済みのところだったりします。要所要所には、いつ訪れると見頃なのかとか、周囲の情報とか、そういった観光情報のコラムも書かせていただきました!

いまが旬(?)の、紫式部についてもお話をたっぷりとしていますヨ!

あと、結構遠いところにも行っております。

(これはほぼ岡山県と言っても差し支えのない、兵庫県の西の端の方でした)

もちろん、私のうろんな観光情報の話だけでなく、本職の住職さんである蝉丸Pさんの仏教的な面でのお話なコラムもあったりします。

この漫画は磨伸さんが言及していますが、大きな雑誌でフルカラーで読むことを前提とした贅沢な絵作りをしているので、他のところに流用したりとかはおそらくないと思われます。

というわけで、ぜひとも雑誌(ムック)を買って読んでみてくださいネ!

電子でも買えると思うけれども、ぜひとも紙で見て欲しいかも!!

C104ありがとうございました&『天然信仰』通販情報

大変遅ればせながらなんですが、C104に来てくださった皆様ありがとうございました!

今回の感想を一言で言うならば……「暑い」でした。

いやもう、めちゃめちゃ暑かった!

空調設備の関係か、新しい建物はしっかりと冷房が効いていたようなんですが、我々のいた東1〜3ホールはそうでもなかったと言いますか。むしろ、日の当たり具合によるものか、来てくれた方々が口々に「ここが一番暑い」と言っていました。同じぐらいの空調設備である、東4〜6ホールよりも暑かった、と。

暑さランキング的には

東1〜3>東4〜6>西館>東7>南館

ぐらいだそうです。

それほどまでの猛暑、酷暑の中、来てくれた方々には感謝の念が絶えません。本当にありがとうございました!

ペットボトル何本も飲んだけれども全部汗で出てしまって、トイレに一度も行かなかったコミケというのも初めてだったかもしれません……

そんな暑さの後に、新幹線に乗る前にちょっとおビールを飲んでしまっても許されますよね! という打ち上げ時の写真です。

今回の本、『天然信仰』はおかげさまで感想をちらほらいただいております。

いや、自分で言うのも何なんですが、面白いんですよ。そしてこの表紙!

というわけで、気になる方は通販が行われておりますので、ぜひそちらをご利用していただけたらと思います。

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2510589

今後のイベント予定

次回のイベント予定は……

10月26日の関西めしけっとには行きたいな、と考えております。申し込みが遅れたので、締め切られていなければ参加です。その次はC105ですね。今のところ年内はコミティアへの参加予定はありません。

C105は、先日過去の醤油手帖Vol.3についてXへ投稿してくれたものがバズっていたこともありますし、醤油の本をやる予定です。原点に戻るといいますか、過去の、それこそVol.3みたいな時代のスタイルで醤油をやります。

『醤油手帖 醤油の原点『木桶醤油』編」

お楽しみに!

(タイトルは仮のものなので変更される可能性があります)

C104『醤油をこぼすと染みになる』お品書き

C104のお品書きができました!

新刊は『天然信仰』です!

内容はこちら!

shouyutechou.hatenablog.com

簡単に言いますと、食材には“天然”と“養殖”や“人工”があります。“天然”っていいですよね。でも、“天然”とついていたら何でも無条件に良いと思ってしまいませんか。むしろ危険なものもたくさんあります。

そして、現在の“養殖”の技術はとてもすごく、昔のイメージで固まっているともったいないですよ。そもそも“養殖”を広くとると、畜産だって農業だって、さらにはキノコや麹菌といった菌類を育てるのだって“養殖”と言えます。養殖を知り、天然信仰を見直しましょう。という本です。全然簡単にまとまらなかった!

まあ、あれです。

本の方にも書きましたが、“天然”を信仰する根底にあるのは、その逆で、“養殖”や、そもそも科学に対する不信感みたいなのがあるんじゃないかなーと考えております。農薬だったり、抗生剤だったり、そういう「薬まみれ」は嫌だというのが“天然”好きの人には多いんじゃないかと。あと、環境を汚すとかですね。

でも現在の養殖は意外とそうなっていないので、情報をアップデートしていきましょうという本でもあります。案外おもしろくなったんじゃないかと自負したりしていますので、良かったら買ってネ!

注目の表紙は、寺沢大介先生に、『将太の寿司』の審査委員長こと「柏手の安」溝口安二郎さんを描いていただきました! パァァンもあるのでご安心を!

コミケに行けないという人は、ぜひメロンブックスさんをご利用ください。今回はメロンブックさんだけです。他に扱いたいという書店さんからお声がかかればどうなるかはわからないのですが……

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2510589

既刊もあるよ

既刊は3冊です。

まずは、『わるいはうまい』

shouyutechou.hatenablog.com

体にわるいものはうまい。だからやめられない。

ということをテーマにした本です。体に悪いものってありますよね。糖質だったり、脂だったり、アルコールだったり、塩分だったり。それらはでも、おいしいですよね。なぜおいしいと感じるのか、本当に体に悪いのか。ということをとことん語っております。

表紙は同じく寺沢大介先生に描いてもらった、ミスター味っ子』の味皇様、村田源二郎その人です!

次に、『毒を喰らわば』

shouyutechou.hatenablog.com

これは、食べ物の「毒」をテーマにした本です。

簡単に言うと、すべて食べ物は「毒」なんです。生きるのに必要な水ですら、一度に6リットル飲むと水中毒症を起こして死んでしまいます。みんな大好きトマトにも、トマチンという猛毒が含まれているので、なんと一度に4トン食べると死んでしまうのです。

はい。

「えっ」となりましたよね。

そう、ようするに、なんでも「量」が重要なんです。一度に6リットルの水も、一度に4トンのトマトも、とてもじゃないけれども普通に暮らしていたら摂取できませんよね。だから問題になっていないし、摂取して大丈夫なんです。

というような、食べ物の「毒」に関する知識が満載! 正しい知識を持って、正しく怖がっていきましょうという本です。

表紙は寺沢大介先生に喰いタン』の高野聖也さんを描いてもらいました!

 

この三冊は自分の中で勝手に、寺沢大介先生に表紙を描いてもらった「食(の「わるい」)を深掘りする三部作」と位置づけているんですが、ちょっとマニアックになってしまってもいます。マニアさが薄い順、つまり初見の人向けはどうなのかという順に並べるとこんな感じでしょうか。

『わるいはうまい』>『天然信仰』>『毒を喰らわば』

どれも読み応えがありますので、夏休みの間かけて、じっくり読むのにオススメです!

 

もっと軽く読める、よくわからない本もあります。『いけず石観察手帖3』!

shouyutechou.hatenablog.com

いけず石……いきなり言われてもわからないと思いますが、京都などの細い路地の角にある、石です。車で通るときに邪魔に感じるあれ。あれです。あれをひたすら集めた本です。説明をされてもわからないですよね。

でもなんか、ちょこちょこブームがきているようで、今年に入ってから「京都新聞」「日経新聞関西版」「NHK関西」の取材を受けて、登場しているという、マスコミにめちゃめちゃ登場している同人誌でもあります!

まあ、百聞は一見にしかずと言いますか。

わけわからない本なので、お気軽にお手にとって見てください!

場所はこちら!

肝心の場所ですが、ちょっといつもとは違った、真ん中らへんです!

詳しくはこちら!

東3ホールと2ホールの境目付近を目指してください。

目印は、この「天然信仰」ポスターです!

当日は暑さの上に、雨の予報も出ているのかな……

くれぐれも皆様、天候に対応したさまざまな対策を施した上で足を運んでいただければと思います。

また、新型コロナウイルスも流行っているみたいなので、こちらでも消毒用アルコールやマスクは徹底した上で皆様をお待ちしております。

(ご希望の方はシュッシュっとアルコールかけますよ!)

それでは当日お会いできることを楽しみにしております。

 

C104にて『天然信仰』を頒布します

“天然”信仰を見つめ直す

サークル「醤油をこぼすと染みになる」は2024年8月12日に開催されるコミックマーケット104において、新刊『天然信仰』を頒布いたします。

食材には“天然”ものと、“養殖”や“人工”のものがありますよね。

そんな中でも“天然”ものの方が良い、“天然”が一番だとする“天然信仰”は本当に正しいのでしょうか。

“天然”には“天然”の、“養殖”には“養殖”の、それぞれ良いところもあれば悪いところもあります。そこを理解せずに「天然なら何でも最高」としてしまうのは、“天然信仰”と呼ばざるを得ません。

そんな“天然”への信仰に一石を投じ、現代の“養殖”の良さを見つめ直す。というのが本書のコンセプトです。

まあ、それよりも表紙が気になっている人も多いとは思いますので、まずは表紙の話からしていきましょう!

はい。今回も『ミスター味っ子』『将太の寿司』『喰いタン』でおなじみの、寺沢大介先生に描いていただきました!

将太の寿司』シリーズより、新人寿司コンクールの審査員長でおなじみ柏手の安こと、溝口安二郎さんです!!

今回の本は、天然ものだけが良いわけではない、現代の養殖の技術は進んでいてめちゃめちゃおいしいものもあるということが根底にあります。

ただ、主人公の将太くんをはじめ、職人さん達は、天然の最高級品を追い求めますよね。天然ものには、100点満点のはずなのに、120点をたたき出すような、とんでもない逸品が登場することがあります。それを追い求めるのが職人魂です。

そうなると、現代の養殖に対しても正しい知識を持ち、フラットな視点で評価ができる審査員こそが表紙にふさわしいのではないでしょうか。そう考え、無理を言ってお願いして描いていただきました。ありがとうございます!!

そして。

みなさん、気になっていますよね。柏手の安だったら、「アレ」があるんじゃないかと。もちろん、「アレ」はあります!

見てくださいこの神々しさ。

画面から「パァァン!」と聞こえてきませんか。

さらに、本を買ってくださった方だけが気づく(というよりも、画面上で再現しにくい)ギミックもあります。ぜひ、お手にとって見ていただけたらと!!

“天然”と“養殖”を深く知る

“天然”の食材には、厳しい自然環境で育ち、生存競争を生き抜いたおかげで、魚や動物だったら余計な脂はついておらず、身は引き締まり、滋養に富んでいて、健康に良いというイメージがあると思います。

一方の、“養殖”や“人工”は、何となく狭いところで育っているので身はストレスにさらされ、運動不足で、餌を食べ過ぎていて脂が多めで、そして病気に対する薬をたっぷり投与されていて、何かしらの添加物が加えられている。みたいなイメージがあるかもしれません。

こういったイメージがあるため、目の前に“天然”と“養殖”があったら、“天然”を選ぶという人もいるでしょう。でもこれは本当にこのイメージ通りなのでしょうか。

“天然”の食材でも、無条件に良いものというわけではありません。危険な点は、他の食材と同様にあるのです。

そして“養殖”は技術が進化していて、これらのイメージとはかけ離れた「ブランド養殖物」もたくさん登場しています。たとえば魚介の餌に工夫をしたフルーツ魚だったり、強制的に運動させて貝柱を太くするマッチョ牡蠣などは、養殖ならではのものと言えるでしょう。

さらに、“養殖”という言葉の定義を考えると、我々が普段食べているもののほとんどは“養殖”と言えるのです。畜産だって、人の手が加わって管理して生き物を育てているのですから“養殖”です。農業だって、人の手が加わって管理して生き物を育てていますよね。さらには、キノコや麹菌のような菌類だって、人の手で管理して育てられているのは“養殖”と言えるのです。

陸の食べ物はほとんどが“養殖”と言っても過言ではありません。

本書は現在の食材を天然の面でも養殖の面でも深く掘り下げています。いやほんと、現代の養殖、おもしろいですよ!

本の仕様について

『天然信仰』は180P新書版(カバー付き)です。カバーが、こちらを見つめながら、これから面白いお話をしていきますよという姿勢の柏手の安さんで、それをめくった表紙が「パァァン!」という構成ですね。

委託はメロンブックスさんを予定しております。

申請は出したので、たぶん、近日中に予約受付が始まるはず……きちんとURLが確定しましたらまた告知させていただきます。

8月12日東3ホール「ア-12a」でお待ちしております

そんな、現代の“養殖”を知り、“天然”への信仰を見つめ直す一冊、『天然信仰』は頒布価格1500円です。

三連休の最終日だし、予定が詰まっていてコミケに来られそうにないという方は、ぜひメロンブックスさんをご利用ください。

 

コミケに来られる方は

8月12日(月・祝)東3ホール ア-12a「醤油をこぼすと染みになる」

でお待ちしております!

 

最近はまた新型コロナウイルスの感染者数も増えているようなので、消毒用アルコールなども持って行きます。

十分に対策をした上で、一緒に柏手を打ちましょう! パァァン!

7月10日(水)のNHK関西「ほっと関西」に出演いたします

NHKの関西地区で放送されている『ほっと関西』に出演します。
日時は7月10日(水)の18時〜18時半です。最初、19時までと勘違いしていたけど、よくよく番組表を見ると18時半まででした。

www.nhk.jp

この中の、「nanでnan?」というコーナーに出演する予定です。

時間は番組の真ん中ぐらいかなあ。
収録したVTRでの出演なので、当日にNHKのスタジオに登場するわけではありません。
「nanでnan?」と言いながら小首をかしげるポーズが放送されるはずです。たぶん。

テーマはなんと……「いけず石」です!!

そう、いけず石なんですよ。
まさかいけず石でテレビに出る日がくるなんて。

収録は終わっているので、どんな感じになっているのか楽しみです。
同人誌もお貸ししたんですが、どういう風に映してくれているかなあ……
NHKで同人誌の宣伝(っぽい動き)ができてしまうんだろうか……

関西地区以外の方は、1週間ぐらいはNHKプラスの見逃し配信で見られるようなので、是非!

■放送を見て本が欲しいと思ってくださった方へ

『いけず石観察手帖』は、現在3巻の通販を行っております。

リンクはこちらです。

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2329756

メロンブックスへ直接行っても、必ず本があるわけではありませんので注意してください(取り寄せとかはできるはずですが、手数料と時間がかかると思います)。便利な通販をご利用いただけたらと思います。

防波堤に衝突したフェリーに乗っていた記録(乗客も船員も全員無事でした)

2024年6月1日に、姫路港を出港した小豆島行きのフェリー「第五おりいぶ丸」が防波堤に衝突するという事故がありました。

www.kobe-np.co.jp

このフェリーに乗っていたので、そのときの様子を忘れないうちに記憶しておこうというのがこのエントリです。なお、強調しておきたいのですが、我々を含む乗客184名と船員6名には怪我はありませんでした。全員無事だからこそ書けているということはご了承ください。

事故が起きたのは9:55〜56頃

当日は姫路港を午前9時40分発のフェリー「第五おりいぶ丸」に乗り込みました。1Fを車庫とすると、2Fが客室フロアというか、たくさんの椅子やテーブルがあって、くつろげるようになっています。3Fが甲板のようなもので、風を感じながら航行を楽しめるようになっていました。

席を確保したあとは、割とすぐに甲板へ。海の写真やら、遠ざかる港の写真やら、停泊している他の船の写真を撮った後、設備とかを見ながらほほーこれはこうなっているのかと写真を撮るモードになっていたんです。

甲板の進行方向前方側は操舵室があり、そこまでしかいけません。船の写真の3F部分のところですね。なので左舷のところを見ていました。よく見ると、3Fのそのあたりは屋根はあるけど窓がないことがわかると思います。左舷の2つの窓の、すぐ後ろあたりにいたんです。

そこには消火栓と消火ホースがあったり、浮き輪があったりで、甲板まで水を運ぶのはこの管かと感心していました。最近近所で火事があったので、チェックしていたんですね。この写真を撮ったのが、9:54でした。

写真を撮って、スマホを鞄に入れ、ちょっと顔をあげたときに、そばにいた子供が母親に「あれ? 曲がれるの?」と。ふと前方を見ると、操舵室の窓ごしにぐんぐん防波堤と堤防が近付いてきています。

確かにこれは不安に思うよなあ。でも少年よ、大丈夫だ。きっと曲がれるから。あれ、でも、思ったより曲がっている感じがなくない……? 本当に曲がれるの……? と見ていたら。

どーーーーーーーーん!!!

結構大きな音と、衝撃。舞いあがる大量の土埃。
え、ぶつかったの???

どうしよう。目の前っぽいし、とりあえず記録しておこうかな(何かあったときに証拠になるかもだし)、ついでに土埃も写真に収めておこうと、撮ったのがこちらです。土埃はあまり写っていませんね。動揺していたのでちょっともたもたしていたのかも。

タイムスタンプを見ると9:56でしたので、ぶつかったのは9:55〜56と断言してもいいでしょう。

前に見えているのが操舵室とかがあるところです。右側に扉がありますね。ここには「操舵室」と書いてありました。

この窓越しに見える赤い棒みたいなのが灯台で。船の左側がぶつかったというニュースだったんですが、甲板の中ではそこに一番近いところにいたのでした。ああ、びっくりした。釣り人の人達も「おいおい、マジかよ」って顔で船の方を見ていますね。

幸いにして何かを落としたりはなかったし、周囲を見てもみんなびっくりしているけれども転んだりした人はいませんでした。

そしてすぐさま操舵室のドアがバン! とあけられ、血相を変えた船員さん達(3人ぐらい?)が飛び出してきて、階段を駆け下ります。

これ、直前に撮っていた救命船や浮き輪の出番になるのかな……だとしても、指示が無いままパニックになって「救命ボートを出せ!」とか言うのもよくないよな……とりあえず動かず指示を待とう……

そうこうしていると何があったのか不安に思った甲板にいた人達が後ろに集まってきます。左舷で何かあったっぽいとなったら、そりゃ見に来ますよね。そこで、一緒に行っていた漫画家の磨伸映一郎さんとも合流。「知床の遊覧船みたいな事態にならないといいんですが……」と話していました。

船は衝突しっぱなしということはなく、いったん防波堤から離れていきます。そのときに撮った写真がこちら。9:57です。釣り人の人達も心配そうに船と防波堤を見ていますね。

少し離れたけど、このあとどうなるのかなと思っていたら10:05ちょっと前ぐらいにアナウンスが。

「ただいま機関故障によるトラブルが発生いたしました。安全を確認いたしますので、客室で待機してください」

ぞろぞろと2Fに戻る我々。そのとき、避難経路やら何やらを改めて確認しておこうと撮ったのがこの写真です。タイムスタンプが10:05だったので、アナウンスが10:05前ぐらいだったとわかった次第です。

この3Fの緑に塗りつぶされている部分が立入自由の甲板と言っていたところで、そこから伸びている細い通路の先頭にいたんです。

2F客室で席について、どうなるんだろうと話していたら、10:07ごろにアナウンス。

「航行が継続できなくなったので、姫路港に戻ります。お客様にはご迷惑をおかけいたしますが、そこで下船していただくことになります」

まあ、そりゃそうですよね。何かあって途中で沈んだりしたら大変ですし。

どうやら船が水没して我々は救命ボートのお世話になり車は水没して荷物も失われるみたいな最悪の事態にはならなさそうということがわかってきたので、気持ちも落ち着いてきまして。ようやくXに投稿しようと投稿したのがこちらです。10:12でした。

 

下船できたのは11:42頃

その後が長かった。

当然、船員さん達は奔走しまくっているし、船はゆっくりと姫路港に戻っていっているし、甲板に出るのは何かはばかられるしそんな気分になれないしで、席にいるしかできません。

さらには港には割と早めに着いたんですが、降りられるわけでもなく。しばらく泊まっているので、「もしかしたら港の検査をする設備でチェックをしているのかもしれない」「それが終わったらアナウンスがあるのでは」と話していたんですが、どうにも状況はわからないんです。

すると、突然港を出るフェリー。あれ、チェックして異常がなかったから改めて出港かな? と思ったら、そばには他のおりいぶ丸の姿が。そう、同じ時刻に小豆島を出港して姫路港を目指していたフェリーが到着したので、場所を譲っていたのでした。譲るのか〜先に下ろしてもらえたらすぐにそのフェリーの予約をして乗り込めたかもしれないのに〜でもここにいる全員を収容するのは無理か〜。

この辺で、情報があまりにないので、次の予定を立てられなくなっているわけです。とりあえずすぐに下ろされたりしていないから、命に別状はないというか、沈没するわけではなさそう。救急隊員が乗り込んだりしていないから怪我人はいなさそう。しかわからないわけですね。

小豆島のホテルを予約しているし、このままだと当日キャンセルになるのでどうにか小豆島にはいきたい。でも2隻のフェリーを往復させて運航している姫路港ではもう無理ではないか。というか、明日の便も減便になるだろうし、明日も無理ではないか。だとすると、姫路に戻ったら高松まで行って、高松からフェリーに乗るしかない……? 今日の小豆島観光無理じゃない……? そもそも高松からのフェリーのチケットはとれるの……?

それもこれも、下船できないとどうにもなりません。そして、いつ下船できるか目処がたっていないわけですし、アナウンスもその後ないのです。しばらく閉じ込められている我々。11時を過ぎたあたりで気づきました。お腹が空いた!

そう。小豆島に着いてすぐにご飯を食べようとしていたので、朝ご飯はほとんど食べていないし、1時間ぐらいの航行だったので最小限の荷物しか持ち込まなかったし、大量に持ってきた調味料はすべて車の中だったのです。

当然、車庫には危険なので降りられません。そしてスマートフォンの充電が怪しくなったりしたのですが、充電するためのケーブルやらも荷物の中にあったり、このヒマを潰すためのアナログゲームも我々の荷物の中にあったんです。あったんですが、手元にないし取りに行けない! 武器や防具は装備をしないと意味がないぜ!

持ち込んでいたリンゴジュース(行きにJR西日本の駅でも買えるかチェックしていて購入したJR東日本acureのリンゴジュース)は早々に飲み終わってしまいました。

船内の売店は経費削減か何かで開店しておらず、貼ってあった「オリーブ青汁」さえあればこの空腹感を打破できるかもしれないのに、それすらもかないません。幸い自販機は生きていたので、カロリーのある飲みものを購入するしかない、と。

全員の手荷物を確認したら、そこにあったのは「静岡土産なんですが」と言われたうなぎパイ! あと、どうする家康クッキー! これを食べつなぐしかなかったのです。

それで朦朧としていると、11:15ごろに、船員さんが1人か2人、他の席のところで何やら説明をしています。アナウンスじゃなくて、個別に説明する必要があるのだろうかと思っていたところ、どうも一人一人に「緊急時用乗船名簿」に名前やら車のナンバーやらを書いてもらう必要があったので、まわって説明をしているということがわかりました。いや、そういう書類に書いてもらいますってアナウンスして欲しかった……

  • この船で小豆島に行くことはありません。姫路港で降りてもらいます
  • 降りたら払い戻しをしてください。切符を買ったところで行います
  • 振り替えではなく払い戻しになります

ということが判明。

そうして11:30過ぎぐらいに車庫に行くことが許可され、11:42に下船することができたというわけです。

車の位置的には、もっと時間がかかった人もいると思います。2時間の船旅というか、ほとんど動かないで船の中にいるのは安全確認のためとはわかりつつも、ちょっとだけ精神的にきつかったなーもう少し詳しい情報が欲しかったなー。この後の予定を立てたかったので……

その後の我々

ちなみに我々はどうしたかというと。磨伸さんのXに「新岡山港から小豆島という手がある」という情報が寄せられたので、岡山経由を検討。

予約しようとするも、予約は2日前まで。電話しても「予約は2日前までです……」みたいなアナウンスのみ。一か八かで行くしかないかと思っていたら、予約不要で乗れそうという情報も!

というわけで新岡山港ルートにすることにしました。

下船が始まった際に、車は順番待ちが結構発生していたので「人が降りる用の出口で先に降りて払い戻しをした方がいいのでは」と、払い戻し班を結成。即座に降りて人用の出口に走ってもらいました。おかげで払い戻し列の先頭に行くことに成功。並ぶこと無く全額払い戻しの上、1人1000円のお詫び金をいただきました。

払い戻し列の行列で時間をつぶさずに済み、スムーズに姫路港を出発し、道中はトイレ休憩とかなしで(法律を遵守し安全確認を十分しながら)急いで新岡山港を目指した結果、ギリギリで14:00発のフェリーに乗り込むことができ、15:10に小豆島の土を踏むことができたというわけです。

フェリー乗り場の売店も開いてなかったし、フェリー内の売店も開いていなかったので何も食べていないし、事故のおかげと空腹でテンションがおかしくなっていたので「すごい。こんなに手前から堤防を避ける動きを!?」「ひらりと堤防&灯台をかわし、みるみる灯台が小さくなっていく……なんという操船テクニック!」「岡山の操船技術、すごい!」とわいわい騒いでいました。さぞ周りから見ると不審に思われたでしょう……

 

かえすがえすも、もっと大規模な事故になっていてもおかしくなかったんですが、我々乗客にも船員さんにも誰一人怪我がなく、荷物が失われることもなく、失ったのは時間だけということで、こうして振り返ることができたと思います。不幸中の幸いですね。関係者の皆様おつかれさまでした!

白熱日本酒教室増補改訂版(仮)2024年9月発売予定!

 

先日の清桜のイベントでも発表しましたが、新書版の『白熱日本酒教室』の増補改訂版が2024年9月に発売予定です! 現在鋭意執筆中!

漫画にもなった『白熱日本酒教室』ですが、なんと今から10年前の本なのです。10年、長いですよね。

新書を書いているときに考えていたのは、できるだけ長く読んでもらえるような本にしようということ。基礎的な知識をしっかりまとめ、応用を利かせるにはどうしたらいいかも解説することで、新しい技術が出てきても本の中の知識を組み合わせればわかるようにしたいと考えていました。

さらに、具体的な商品名を出していると、読んだ方が「飲みたい!」と思っても、終売されていて手に入らないということが起きてしまう可能性があります。そこで、具体的な商品名は導入のオリエンテーション部分ぐらいだけにして、あとは商品名とかを出さないようにする(※)ことで、10年ぐらい読まれる本になればいいなと思ったのでした。この試みはある程度成功したんじゃないかと自負しております。

そして! その10年が! 今年です!!

当初予想していたよりも、お酒の世界の進歩のスピードは早く、さまざまな面白いお酒が登場しました。

さらに大きいのがコロナ禍です。

コロナ禍の緊急事態宣言が頻発していた時期は、集まって飲み食いをすることが「社会悪」のようにもなっていまして、お酒は特に槍玉に挙げられていました。お酒を飲むとどうしても大声になったり、行動が大胆になりがちですから、これは仕方ないとも言えます。

ただそれで、特に今の若い人がお酒を飲む機会が激減したのです。

そういった方々に、お酒に興味を持ってもらうにはどうしたらいいか。お酒の飲み方を知ってもらうにはどうしたらいいか。ずーっと考えていました。漫画版の「悪酔いしない飲み方」を毎年成人の日にX(旧Twitter)で公開しているのも、そういった考えがあるからです。

というわけで。

新書から10年経った今、現在の状況をふまえ、さらに10年読み継がれるような本にしたい! ということで、増補改訂版を作らせていただくことになったというわけです。

以前の新書よりも、とにかくお酒への垣根を取り払うことに注力をし、より初心者向けの項目を増やしています。

もちろん、悪酔いしない飲み方の項も大幅にパワーアップ!

そんな作業をしていたら、改訂版と言いつつほぼ全ページ書き直しの勢いとなっております。自分でもびっくりです。

というわけで、9月発売に向けて鋭意制作中ですので、楽しみにお待ちしていただけたらと思います。また、日本酒に関する質問等がありましたら、X(旧Twitter)などで質問いただけたら、返答の後に本の中のコラムのネタ等で採用させていただくかもしれません。

また、進捗報告やら宣伝はさせていただきますので、皆様よろしくお願いいたします。

 

 

(※)漫画版は、ツイ四という媒体に載せていたこともありまして、ライブ感の方が重要であろうと、そのときに販売されていて好きなお酒とかをバンバン紹介していたりします。

 

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