醤油手帖

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『RRR』ファンのための宝塚大劇場RRR観劇ガイド

本来ならばコミケの御礼を書かなければならないのですが、ちょっと先にこちらのエントリを。

はい。あの世紀のコラボ作品『RRR×TAKARAZUKA 〜√Bheem〜』を見てきましたよ! という話をしていきます。初日初回を見てきました。

なお、RRRは台詞を字幕に至るまでほぼ暗記するぐらいまでくり返しくり返し見ているものの、宝塚は小さい頃に一度だけ観劇したので○十年ぶり、という感じなので、主に一緒に行ってくれた宝塚ファンの方からの情報を自分なりに咀嚼した上で書いております。間違えていたら遠慮無くご指摘下さい。

また、ネタばらしをほんの少しだけしながら演出の話や感想をもりもり書いていくのは後半に集中させます。ここからネタばらししますよということは明記しますので、初見で楽しみたいという方は、ネタばらしポイント以降は読まないようにお願いいたします。

写真を撮れるときと撮れないときがある

一番重要なポイントがここです。

緞帳があがった直後に、ロゴが入った幕が大きくバーンと出ることがあり、その場合は幕を撮影してもOKなんだとか!

ただし、撮った写真をSNS等にそのままアップしてはいけません。というのも、こちらのページにありますが

faq.kageki.hankyu.co.jp

あくまで自撮り等をしたときの背景としてならOKで、SNSにも投稿できるとのことです。ここの部分ですね。

舞台セット(ステージ面)単体でのSNSへの掲載は、会場を問わずご遠慮ください。
主たる被写体としてお客様ご自身が写っていらっしゃり、その背景としてステージ面が写り込んでいる場合は、SNS等への掲載をお断りはしておりません。

この幕(ステージ面)は、緞帳が上がったときに出てくるのですが、まだその段階では開演前なので単体で撮影そのものはできます。でもなんというんでしょう、そこでうわーっと走って行って撮るとかはできず、自席から撮る感じです。そしてただ、思い出としてのみで、SNSにアップはできない、と。

宝塚大劇場東京宝塚劇場を含め、原則として、宝塚歌劇公演では、上演中以外の幕間や開演前でございましたら、動画・写真ともにお客様の思い出として、客席よりステージ面や緞帳を撮影されることはお断りしておりません。

SNS等に投稿したい場合は、自撮りをしてネ! というわけです。

少しややこしいんですが「写真は撮れても投稿には条件がある」と覚えておきましょう。

もちろん観劇中はスマートフォンは電源を落とさなければなりません。でも、早めに電源落として鞄に入れていると、電源入れてカメラを起動して、さらにはSNSに投稿する場合は自撮りの準備をして……とあわあわしてしまいます。

マナーモードにして待機しつつ、撮り終えたら速やかに電源を落として鞄にしまうようにしましょう。

なお、作品によってはこの幕が出てこなくて写真が撮れないパターンもあるそうです。毎回必ず撮れるわけではないと覚えておきましょう。

大劇場には早めに行った方が良い

普段から宝塚大劇場に行き慣れている方はともかく、初めてだったり久しぶりだったりすると、早めに行った方が良いと思います。

まず狙いたいのは、公演特別メニュー! 今回食べたものは正面ゲートから入り、目の前のドアを入ってすぐにある「フルール」というカフェでいただきました。

シェフ自ら一皿一皿に手書きで「RRR」と書いてくれる特別メニューがあるのです。これは食べなければなりませんよね!

なお、ラージャマウリ監督のアクスタと一緒に写真を撮っている人は他にいませんでした。当たり前か……

そして忘れてはならない物販

大きく分けて「タカラジェンヌに関するグッズ」を売っているところと、「公演のお土産っぽいお菓子等」を中心に売っているところがありました。

お菓子の好みはそれぞれなんですが、今回購入したのはこれ。

特製箱入り萩の月です。

いや、本当に仙台銘菓の萩の月なんですよ!

星組の公演では、トップスターの礼真琴さんのスポンサーとして萩の月菓匠三全さんがついているため、毎回ポスターデザインの特別箱で萩の月が販売されるそうです。

本当に萩の月なんです!

あとは、クッキー缶も買いました。

これ、ポスターのところはマグネットになっているんです。食べ終わったら冷蔵庫に貼ります。

タカラジェンヌに関するグッズを売っている方では、RRRのロゴ入りのグッズもたくさんありました。

こういう物販も、あっという間に大行列ができますので早めに行って先に買っておくにこしたことはありません。帰りは特に混雑するので、なかなか寄れなかったりします。はい、RRRロゴ入りグッズは後で買おうと思っていたら、案の定買い損ねてしまいました……観劇バッグは買うべきだったなー!

www.tca-pictures.net

パンフレットの購入はマスト


宝塚ファンの皆様は当然買うであろうパンフレット。

RRRファンは、絶対に観劇前に購入して冒頭から数ページだけでも目を通した方がいいです。なぜなら、日本語の歌詞が載っているから!

今回の「宝塚舞台化」で気になったのは、歌をどうするのかということではないでしょうか。これが、結構映画の原曲を採用しているんです。

Naatu Naatuはもちろん、Dostiもあります。

ただ、宝塚の舞台で歌い上げるので日本語化されているんですよ。その歌詞がパンフレットにはすべて載っているのです!

この歌詞も、うまいこと映画の藤井美佳先生の字幕におけるキーワードを踏襲しつつ、なおかつわかりやすく落とし込んでいるんです。歌を余すところなく堪能するためにも、RRRファンほどパンフレットは買った方がいいと言えるでしょう。

あ、タカラジェンヌの美麗な写真の中に急に映画版の方のRRRの写真コーナーとかも登場しますよ!(こちらは映画パンフレットにも載っている写真中心でした)

オペラグラスは用意した方がいい

これは舞台慣れしている方は周知の事実だとは思うんですが、オペラグラスは絶対にあった方がいいです。

もちろん全体を見渡したいという方もいるでしょう。

でも、RRRファンはオペラグラスがあった方がいいです。細かいギミックや、ジェンヌさんの表情とか、見所がたくさんあるんです。ネタばらし用の後半でちょっとお話します。

オペラグラスがない方はレンタルもあります。

500円+保証金5000円なので、5500円を持っていきましょう(5000円は返ってきます)。

水は用意した方がいい

劇場内では公演中に飲食はできません。が、飲みものを飲んで水分補給はできます。

劇場内には売店がありますし、ウッドテラスに自販機もありました。駅から大劇場に行く途中にはコンビニもあります。水分補給は絶対にした方がいいので、用意しておくといいでしょう。

宝塚歌劇の殿堂で時間が溶ける

早めに行った方がいいと言われても、食事とお土産購入だけだったら時間を持て余しちゃうと思うかもしれません。大丈夫。劇場の2Fに宝塚歌劇の殿堂」コーナーがあるのです!

入場料500円なのですが、これがまあ見応えたっぷり。

歴代の殿堂入りしているタカラジェンヌの皆様のパネルやらまつわる品やら解説がずらーーっと並んでおります。

恥ずかしながら、芸能界の方でもどなたが宝塚出身かをあまり把握していなかったので、ああっ扇千景国土交通大臣(元)って、そうか宝塚出身でしたっけ! あ、高島忠夫さんの奥さんの寿美花代さんも宝塚の方か! 大地真央さんって宝塚現役時代からこんなすごい人なんだ! とか一人盛り上がっておりました。あと、一時期のトップスターの解説にたびたび名前の登場する春日野八千代さんという方はスター中のスターなんだな、とか。

空いている時間帯だったので、たびたび春日野八千代さんだけでなく、他の方の解説に別の方の名前が登場するたびにそこに戻って確認とかしたりしていたら、あっという間に時間が溶けていきました。

そして殿堂のコーナーの上には、写真撮影OKの衣装や小道具を見られるコーナーもあります。

衣装だけでなくデザインラフまで見ることができて大変お得!

この衣装を見ると、なんと言いましょうか。今回は『1789』という作品の展示だったんですが、当たり前なんですが同じ方が複数の衣装を着てるんですよね。

そして衣装の作りが本当にまあ精巧でして。

これを、舞台をやりながら、早着替えするの……? 人類にそんなことができるの……? ってなっていました。

フィナーレの衣装と一緒に写真を撮れるコーナーはめちゃめちゃ行列だったので断念しています。

というわけで、早めに来て、食事と買い物を済ませ、殿堂を堪能し、パンフレットを買って歌詞を読み込み、ぎりぎりまでマナーモードで緞帳が上がったときの撮影タイム(撮影可だったら)を狙うのが良いと思います!

以下、ネタばらしありで演出の話やら感想の話やらいきます。引き返す人はここですよ!

間を開けるための、阪急宝塚駅にあった像の写真を。

さて、いきます。

まぎれもなく宝塚化された『RRR』だった

もう、この一言に尽きます。

見事な宝塚歌劇の舞台であり、『RRR』でした。

3時間ある映画を1時間半に縮めているのですから、半分はバッサリカットしています。今回はあくまでビームが主人公なので、ラーマに割ける尺はだいぶ削られていました。具体的には冒頭の1人vs1万人とかはないのです。まあ、タカラジェンヌを1万人用意するわけにもいかないとも思うのでそれはそうなんですが。(映画でもエキストラは6000人ぐらいだったとか)

そしてもちろん、演じているのがタカラジェンヌの礼真琴さんということで、ビームは裸で登場したりもしません。服をしっかり着ています。でも、まぎれもなくビームなんですね。終盤にはあのしなやかで美しい手足に、ビームの筋肉が幻視できてしまうほどビームでした。

台詞も映画から拝借するところはきちんと拝借する、でも日本語劇としてわかりやすさを優先し、時には大胆に変更するというやり方をやっていました。

完コピ率がやばかった

ここがオペラグラスを用意した方が良いという最大の理由なんですが、細かいところの映画のトレースというか、完コピがすごいんですよ!

冒頭の川で火事に巻き込まれた少年の悲鳴とか、もうそっくり!

拷問に遭うラッチュの挙げる悲鳴もそっくり!

いや悲鳴だけではなく、たとえばラーマがとある人を捕まえるシーン。シチュエーションは微妙に異なっているのですが、顔を伏せて目を合わせず、それでいて右手はしっかりとホールドして相手を離さない。みたいなポーズから表情まで完璧!

少年を救うために橋の上から誰かいないかと探しているときにビームに気づき、必死に手を上に挙げて合図を送り、ラーマとビームがジェスチャーで意思疎通するシーン。意思疎通の細かいジェスチャーはなかったんですが、あの二人が手を挙げる部分とか、もう手の角度からして完璧! 

あとはあれです。

ラーマがビームの秘密を知るシーン。ここはラーマがベッドに寝ているため、かなり表情が見えにくいんです。でもオペラグラスがあれば大丈夫! ものすごい細かい表情の演技をしているところをたっぷり堪能できます。しました。

こんな感じに随所に原作リスペクトを感じるし、根底に流れる部分は『RRR』だったので、これは紛れもなく『RRR』と言えるでしょう。本当にすごいものを見ました。

似て非なる部分とか削除された部分

とはいえ、宝塚化するにあたって、カットされた部分や、大胆にアレンジされた部分があります。

たとえば舞台に自動車を出すわけにはいかないので、ジェニーが乗っているのは自転車だったりとか。そもそも全員日本語を話しているわけですから、ジェニーとビームが互いの言葉がわからず意思疎通ができないとかそういう部分はアレンジされているんです(これは映画の日本語吹き替え版でも同じでしたね)。

そうではなく、最大の変更点は「ジェイク」

そう、「What is "Naatu"」というあのジェイクですよ。

www.youtube.com

映画ではこのシーンにしか出てこないジェイクなんですが、宝塚版ではめちゃめちゃ登場します。

しかも、役割に「ジェニーの婚約者」という設定が新たに付け加わっているのです。なので登場するする。劇場でジェイクが登場するときに少しどよめきが起きたのは、RRRファンが「なぜジェイク……?」と思ったからなのです。

これはおそらく、ひとつにはジェニーだけじゃ行動の幅に限界があると思ったからかと思います。映画だと丁寧にビームと仲良くなる過程を描いているのですが、それでも唐突に活躍というか協力をするシーンが差し挟まっていました。その協力部分に説得力を持たせるために、婚約者であるジェイクがあくまでジェニーのために協力する、という形で人手を増やしたのでしょう。ジェニーにこれができるの?! という違和感を減らしたのです。

もうひとつは、ジェイク役の方がスターだからではないかと。

パンフレットを見てもですね。

  • 主役のビーム役:礼真琴さん
  • ヒロインのジェニー役:舞空瞳さん
  • もう一方の主役(映画では)のラーマ役:暁千星さん
  • ジェイク役:極美慎さん

と並んでいるんです。シータやスコット総督よりも前にジェイクが!

というわけで、ジェイクがスターなので出てきまくるし見せ場がある、という構造になっていたりします。ちょっと驚きました。でも、スターをスターらしく劇中で映えさせるというのはインド映画ファンならスムーズに受け入れられますね!

その他、多少映画の同じシーンに比べると、登場人物が増えているシーンがあります。たとえば倒れたラーマが担ぎ込まれるのが自身の家ではなく、親方の家だったり。これも、その登場人物(を演じるスター)を舞台上に出すためとも言えるでしょう。お話的に違和感がないように巧みにアレンジされているのでこれも受け入れられると思います。

Naatuに大胆なアレンジが加わっていた

アレンジでいうと意外なところでは、Naatuが挙げられます。

各種ニュースでも大絶賛の宝塚版ナートゥですが、そもそも映画版というよりは、アカデミー賞の方の振り付けをベースにしていました。

これはでもしょうがないと言えます。映画版は屈強な肉体を持つNTR Jr.やラーム・チャランですら、膝を痛めたりした過酷な振り付け。毎日舞台でやっていたらあっという間に膝を壊してしまうのです。

さらに、大勢で舞台の場で踊るし、さらにはビームとラーマ以外のスターにも見せ場を作るということで、ダンスそのものにも大胆なアレンジが加わっていました。

それでも根底のNaatuの部分は同じですし、「Go!」もあります。まぎれもなくナートゥですし、一緒に行った友人が休憩時間にホールの外に出たら、そこかしこで楽しそうにキャッキャとナートゥを踊る方々がいたそうです。外を見に行けば良かったな(訓練されたインド映画民なので休憩時間中もトイレに行かず微動だにせずホール内で座っていました)。

なので、Naatuは完コピではありません。

宗教的な要素はカットされていた

これはもうしょうがないのですが、宗教っぽいところ(神像とかも含めて)は結構カットされています。親方の格好がムスリムっぽい感じなぐらいでしょうか。これはまあ、日本でのわかりやすさを優先するとそうなりますよね。

後半結構はしょっていた

ここは物語を収束させるためには仕方がない部分とは思います。後半が本当に大胆にバッサリカットをしまくって、強引にお話を終わらせていました。

ただこれは宝塚の伝統というか、原作付きのものだと前半は完璧にトレースをして、後半はちょっとアレンジを効かせてバッサリカットするということはよくあることなんだそうです。

おそらく、前半のトレースの部分で原作に対するリスペクトとかがしっかりしていると認識されるため、後半が駆け足になってしまっても「これは○○だ!」と見られるということなんでしょう。RRRもそのパターンだったというわけです。

話の筋……というほどではないんですが、まあ、変えてしまったのは銃を撃つところです。ラーマが銃を渡してビームが撃つ、というシーンが逆になっていました。ここは映画通りでいってほしかったなーとは思ったものの、そのシーンでのビームがあまりにも美しくかっこよく立っていたので、これはこれで良し!

BDも発売予定みたい

パンフレット情報なんですが、BD/DVDも計画されているようです。BD11,000円、DVD8,800円。予定とだけしか書かれていないんで、いつ発売になるかはわからないのですが。

というわけで、残念ながら今回見られなかった(チケットがとれなかった、もしくは日程変更で上演がなくなってしまった)方も、BD/DVDなどで見ることができるようです。

さらには宝塚公演と東京公演と、それぞれの千秋楽は配信だったりライブビューイング(全国の映画館で見られる)があるので、劇場でなければ案外見る手段はありそうです。

www.tca-pictures.net

宝塚RRR、見ましょう!

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