醤油手帖

お醤油について書いていきます。 料理漫画に関してはhttp://mumu.hatenablog.comへ。お仕事の依頼とかはkei.sugimuraあっとgmail.comまでお願いします

C92に来てくださった皆様ありがとうございました&アンケートのお願い

C92に来てくださった皆様ありがとうございました!

今回は朦朧としていたので、現場写真が無いのです。撮り忘れていた……(正確には一枚撮ったつもりだけれどもエラーかなんかでカメラロールに保存されていなかった)

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上記のようなラインナップでした。

当日は、気温は高くなかったけれども湿度が高かったですね。

人が多かったせいもあるし、場所的にあまり風が通らなかったので、いつものように過酷な夏コミだったと思います。噂では東7ホールの空調がばっちり効いていて天国だったとか……? うらやましい!

そんな中、しかも評論島とは微妙に外れたところに来てくださって、本当にありがとうございました!

新刊は、COMIC ZINさんで委託予定です。

COMIC ZIN 通信販売/TOPページ

が!

まだ通販ページに並んでいません。店頭には並んでいるみたいなので、納品できていないということではないと思うのですが、通販が始まっていないというのは、忘れられているのかなー。ちょっと連絡を取ってみます。わかり次第また続報を書きます。

 

あと、アンケートを作ってみました。

分厚い本なので読むのに時間がかかると思いますので、お時間のあるときにご協力いただけたらと思います。

次は、11月のCOMITIAには参戦予定です。他のイベントはまだ未定です。

よろしくお願いいたします。

C92 13日(日)東2 A-51a「醤油をこぼすと染みになる」お品書き

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コミックマーケット92でのお品書きです。

新刊は『醤油手帖 たまごかけご飯醤油百科』。

たまごかけご飯と醤油について、今一度深く関係性を見つめなおし、一冊にまとめました。いわゆるたまごかけご飯専用醤油だけではなく、普通の醤油や、一風変わった醤油についてもまとめてあります。

この本は今までの本に掲載した醤油についても触れつつ、新しく紹介する醤油も多数収録し、ジャンルが多岐にわたっているという、新刊であり総集編でも集大成でもあります。今回初めて醤油手帖を手に入れようと思った方でも、安心して最初に読める本となっております!

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グッズの新作は、夏恒例の醤油手ぬぐいです。

今回は初めて醤油色を採用! いやー、醤油サークルらしくなりましたね。グラデーションが美しい、豆絞り柄です。

使い込めば使い込むほど味が出る注染仕上げ。

この猛暑にぴったりのアイテムをいかがでしょうか。

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既刊といたしましては、『醤油手帖 基礎知識編』を用意しています。

醤油についての基礎知識をばっちり学べるお得な一冊。

この本があれば醤油に関する疑問がたちどころに解決することでしょう。醤油手帖シリーズはすべて一冊読んでいただくと醤油に関する知識が身につくようになっているのですが、知識だけを身に着けたいという方にぴったりの副読本としても使えます。

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あと、少量ですが醤油手帖ミニ甚吉袋も用意しました。

 

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大変便利なこのアイテム。

ぜひこの機会にお求めいただけたらと!

さて、気になる場所ですが、大変便利な画像を用意いたしました。スマートフォンとかに保存しておくと、当日迷子になりにくいですよ!

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東2ホールの外側のトイレのそばです。

暑いし顔洗いたいしトイレいきたいなー。あ! 醤油も買おう!

という流れで来ていただけたらと。

飲食系の評論島の近くではありますが、壁際になっていますので、島だけを見ていたらたどり着けないので注意してください。醤油のポスターを見かけたら突撃していただけたらと思います。

画像で覚えるよりも、座標の方が得意だ! 好きなWizardryの呪文はデュマピック! という貴方にはこちらの呪文をどうぞ

C92 13日(日)東2ホールA-51a 醤油をこぼすと染みになる 

当日皆様とお会いできることを楽しみにしております。

『醤油手ぬぐい2017』をC92で頒布します

「醤油をこぼすと染みになる」の夏のグッズといえば、そう、手ぬぐいです。今年もやります。醤油手ぬぐい2017を!

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今年は「豆しぼり」に挑戦してみました。

というのも、豆しぼりというのは伝統的な水玉模様でして。お祭りのときなんかにつかわれることが多い柄です。

なんといっても、名前に「豆」と入っているじゃないですか。じゃあもうそれは半分ぐらいは醤油なのでは!? となるのも無理はありません。あります。すみません。

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まあ、そんな冗談はさておいて。

一度豆しぼり柄に挑戦したかったのは事実なんです。でも、ただ豆しぼり柄にするだけじゃ面白くありません。現代の食卓にも使えるよう、横にロゴを入れてみました。

さらに、写真を見てうすうす気づいた方も多いと思います。

今回は一色ではなく、グラデーションなのです!

今回採用したのは醤油の色合いに近い、醤油色と言ってはばからない色です。実はこれぐらい醤油色した手ぬぐい、今まで作っていなかったんですよ。だからもうここで「豆」で「醤油色」でいくしかないな、と。

さらにはグラデーションをかけて、濃口から淡口まで楽しめるようになっているのですね。お好みの色合いを探してみてください。

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探してみてくださいと言えば。

まあ、あれです。隠れキャラです。隠れていませんけれども。

あちこちに醤油っぽいあれやこれやが隠されていますので、こちらも是非探してみてください。

こういうのがあることからわかるように、厳密では豆しぼり(たくさん折った手ぬぐいを板で締めて上のところをばーって染めていく感じの特殊な技法)ではありません。ただ、これは注染で作られていて、しっかり染まっています。裏にもしっかり染み通っているのですね。いわゆるプリントな捺染とは違います。

いきなり染めの話をされてもわからないという人も多いでしょう。というわけで、いつもの質問コーナー!

 

Q. 使っていいの? 飾った方がいい?

A. 使いまくってください。実用性を重視して注染(ちゅうせん)という染め方で作りました。

 

Q. そもそも注染って何?

A. 注染とは、液体の染料を注ぎかけて作る染め方です。もし手ぬぐいをお持ちの方は、見てみてください。表面がきっちり染まっていて、裏面が染まっていない手ぬぐいの場合。それは手捺染と呼ばれる染め方です。

すごく簡単に言うと、注染は生地をたくさん重ねて染料を上から注いで作るつくりかたです。染料が浸潤していくので、表も裏も同じように染まります。その代わり細かい絵とかはとても苦手です。

一方の手捺染の場合、インクジェットプリンタみたいに布の表面に印刷するイメージを持つといいでしょう。

 

Q. え? じゃあ注染のいいところってどこなの?

A. 注染の場合、正確には生地に染料を注いで染めていきます。染料を浸潤させるこのやり方でやると、糸を傷めることなく、生地の目もつぶさないで染め上がるのですね。さらに、染まったところも液体の染料を使っているのでゴワゴワしなく、肌触りがとても良くなります。でも、染めにむらがあるというか、にじみがでちゃったりするので、1枚1枚が全く同じになるというわけではありません。

手捺染の場合は生地に印刷をするという作業のため、繊維がつぶれて吸水性に劣ったりします。肌触りも印刷部分がちょっとゴワゴワしちゃうのですね。その代わり、どんな柄でも印刷できますし、仕上がりは均一になります。注染の場合は色と色の間にどれぐらい隙間を空けなければならないとか、線の太さはどれぐらいにしなきゃいけないとかある(型を作るので)のですが、手捺染の場合はそれが無いんですよね。あと、あまり色落ちしないのもメリットです。してもちょっとです。注染は色落ちします。それとまあ、お安くてたくさん作れるのが最大のメリットです。

 

Q. じゃあ醤油手ぬぐいは使いまくった方がいい?

A. その通りです!
注染なので、使えば使うほど手触りはふわふわになり、色もなじんでいい具合になっていくと思います。まさに自分だけの「手ぬぐい」を育てることができるのです! もりもり使ってください。

 

Q. 洗うときはどうしたらいいの?

A. 基本的には水洗い推奨です。特に最初に使うときは水洗いをしてください。どうしても糸になじまなかった染料が落ちていい感じになります。

あと、もし丁寧に使っていただけるのであれば、基本的には洗剤やお湯を使わず、たっぷりの水で水洗いしてください。洗剤を使った場合、洗剤の漂白効果で急激に色落ちしてしまうことがあります。お湯も染料がよく落ちてしまう場合があります。

まあでも面倒だったら洗濯機でいいと思います。最初のうちだけは色落ちする可能性があるので、他の物とは別に洗ってください。

 

Q. なんか端っこがほつれてきたんだけどどうすればいいの?

A. 実はよくよく見てもらうと、手ぬぐいの端っこは切りっぱなしになっています。端を縫っていないのですね。これは、ここから水がぽたぽた落ちるようになっているため、汚れやほこりがたまらないのと、乾きを早くするための知恵だったりします。さらに、結んだり切って使ったりする場合にも扱いやすいのですね。はい、手ぬぐいはとことん実用本位なんです。

そのせいで端がほつれてきますが、あまり気にしないで大丈夫です。長く出た糸だけをはさみで切るようにすれば、そのうち落ち着いてほつれなくなります。

 

Q. あと何か質問が思い浮かんだらどうすればいいの?

A. こちらにコメントいただいたり、Twitterとかで聞いてください。わかる範囲で答えさせていただきます。

 

というわけで、柄から色から使い心地まで細部に至るまでこだわり抜いた『醤油手ぬぐい2017』。あまりにこだわりすぎてしまったため、今まで通りの頒布価格だと作れば作るだけ赤字になることが判明してしまいました。なので、今年は申し訳ないのですが頒布価格1500円にさせていただきます。

C92 13日(日)東2ホール A-51a「醤油をこぼすと染みになる」

にてお待ちしております!

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東2ホールのトイレに行くついでに醤油を見る、を合い言葉にしてください!

C92で『醤油手帖 たまごかけご飯醤油百科』が出ます【試し読みあり】

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たまごには醤油がよく似合う

サークル「醤油をこぼすと染みになる」は8月13日(日)のコミックマーケット3日目東2ホールA-51aにて新刊『醤油手帖 たまごかけご飯醤油百科』を頒布いたします。

一番最初に出した『醤油手帖 Vol.1 たまごかけご飯専用醤油編』がC81、2011年の冬のことでした。そこから6年近くが経った今、もう一度たまごかけご飯と醤油の関係を見つめ直そうと思ったのです。

今回の本は、新しい醤油がたくさん載っている新刊でありながら、総集編でもあり、集大成でもあります。

ちょっと目次を見てみましょう。

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第一章と第二章は、過去に出した『醤油手帖 Vol.1 たまごかけご飯専用醤油編』と『醤油手帖 Vol.3 たまごかけご飯専用醤油編其の弐』をセルフオマージュしております。

ちょっと本文のサンプルを見てみましょう。f:id:shouyutechou:20170807094658j:plain

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こちらは一度Vol.3に収録した醤油ですが、やはり世界最初のたまごかけご飯専用醤油を外すわけにはいきません。

事実の部分のネタはかぶる(というか、事実なので変えようがない)のですが、全面的に書き直して再構成しています。なので、セルフオマージュなのですね。

そもそもどうしてこういう構成になったのかといいますと。

イベントなどで、ありがたいことに「1巻から欲しい」「総集編は作らないんですか」という声をよく聞きます。でも、2011年に作った本なので、すでに情報が古くなっている部分があります。具体的には、終売になってしまった醤油も結構あるのです。

さらには本を作った後に勉強をしてもっとわかりやすい表現ができるようになっていたりするので、そのまま総集編を作ることには抵抗がありました。あと、あれです。うちの本ってば、60ページを越えているので、たとえば4冊分の総集編にするだけで250ページ近くなっちゃうという。

あと、そのまま再録をするのはちょっと嫌だったのでした。

そこで考えたのが、新刊にして総集編にして、集大成である本書の構成なのです。

第一章と第二章で、それぞれVol.1とVol.3からある程度の醤油を収録。新作も多数収録。文章は全て書き直しています。実は判型が変わったので、そもそも1記事あたりの文字数が大幅に増えているので、そのまま収録したのではすかすかになってしまうのですね。

さらには、たまごかけご飯と醤油の関係について深く深く考えていくと、専用醤油だけが魅力ではないということにも気づきます。世の中には甘い醤油が苦手な人も結構いるのです。

というわけで、五大醤油やダシ醤油、変わり種の醤油にいたるまで、たまごかけご飯と醤油の相性を徹底的に考え抜きました。

あらゆるジャンルを網羅しているからこその『百科』であると自負しております。

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この本は、今後多くの人の人生に訪れるであろう「あれ、たまごかけご飯をこの醤油で味わっていいのかな」と思う瞬間に、さっと取り出せるよう手帖サイズとなっています。いわゆる新書サイズですね。

ページ数は196ページ。ギリギリ200ページを越えませんでしたよ! がんばりました!

初版はカバーつきです。

いわゆる、本屋さんで売っている新書のようなつるつるとしたカバーがついております。さらにはそのカバー下には……?

電車の中で読んでいても違和感がありません。普通の新書を読んでいるような感じになるでしょう。もちろん、普通のブックカバーをつけて読むこともできます。

さらにはコミケのことを知らない人に、「お盆はどこいっていたの? コミックマーケットって言うんだ。それで何か本を買ったの? 見せて!」と言われたときに見せると「なんて勉強熱心。醤油と食文化とたまごかけご飯にこれほど興味を持っているなんて。素敵!」となること請け合いです。

たまごかけご飯をとことん追求したい人。

たまごかけご飯と醤油の関係性を深掘りしたい人。

知識欲旺盛な人。

醤油に興味がある人。

お盆に読む本がなくて困っちゃうという人。

そんな皆様全てにオススメいたします。

暑くて食欲がないときでもさらっと食べられて、しかも栄養満点なたまごかけご飯。この夏は、本書とたまごかけご飯と醤油で乗り切ってみてはいかがでしょうか。

『醤油手帖 たまごかけご飯醤油百科』は頒布価格1000円。

C92 13日(日)東2ホール A-51a「醤油をこぼすと染みになる」

にて頒布いたします。

会場に来るまでにサンプルを読みたいという方は、以下のリンクからどうぞ。

お試し版はこちら。

よろしくお願いいたします。

 

「純米酒なら二日酔いしない」という言説はいい加減やめましょう

ちょっとひどい記事を見つけたので、もの申すということで。

sakepro.net

どこがひどいのか、順を追って説明いたします。

日本酒の飲み方に冷やと熱燗があるのはご存じですね。

まず初っぱなから。これが間違い。

※6月23日14時頃追記
「飲み方に冷やと熱燗がある」のであって、「冷やと熱燗しかない」という意味ではなかったので、この文章はそれはそれで間違いではありませんでした。ちょっと頭に血が昇っていて誤読をしたようです。申し訳ありません。以下の温度の話は、雑学としてお楽しみください

日本酒は何も加えずにさまざまな温度帯で楽しめる、世界でも稀なお酒です。そのため、温度に5℃刻みで名称がついていたりします。たとえば5℃でしたら「雪冷え」、10℃「花冷え」、15℃だったら「涼冷え」といった塩梅です。

そして、この文章中の「熱燗」というのは、温めたお酒、すなわち燗酒の温度帯の名称にすぎません。50℃ぐらいから「熱燗」です。そのちょっと下、45℃ぐらいだと「上燗」、40℃ぐらいだと「ぬる燗」ですね。

まあこれは、こうしなきゃいけないと法律で決まっているわけではありません。でも、慣習として呼び方が決まっているのです。

ちなみにちょっとした豆知識なんですが、人間は飲み食いするとき、体温からだいたい20℃ぐらい離れると冷たい、熱いと感じる傾向があるそうです。熱燗は50℃から55℃ぐらいというのは、熱いと感じるぐらいの温度で、55℃から上の飛びきり燗は、はっきりと熱く感じるから飛びきり熱いという意味でしょう。

そしてもうひとつ。「冷や」とありますが、これまた慣習では常温のことを指します。「〜冷え」という名前を書いたので勘違いしやすいところですが、実際には15℃から30℃ぐらいまでの間を「冷や」と言うのです。15℃以下の「涼冷え」とかついているのは、「冷酒」と呼ばれます。

もしかしたら世間一般の人は「燗酒」という表記じゃわからないんじゃないかと思って、「冷や」と「熱燗」と表記したのかもしれません。でも、仮にもお酒を扱うメディアがそれでいいのでしょうか。たとえば「燗酒(温めたお酒。「熱燗」が有名ですよね)」みたいな表記にするとか、工夫のしようがあるんじゃないでしょうか。結果的に正しくない言葉を広めようとしているように思えます。

まだひどいところがあります。

逆に「純米」の記載がないものは、醸造アルコールという風味や香り、アルコール度数の調整物が入っており、この醸造アルコールが二日酔いの原因ともいえます。

 

つまり日本酒を飲みたいけれど二日酔いはイヤだ、という方には「純米酒」をおすすめします。

ここ。本当にこれはお酒を扱うメディアの方が書いた文章なのでしょうか。

醸造アルコールが二日酔いの原因になるとか、本当の本当に信じているのでしょうか。

現在では、いわゆる「ちゃんぽん」の形で複数種類のアルコールを摂取すると悪酔いをするというのは否定されています。ちょっと論文とかどこか忘れてしまったので、厚生労働省の健康21のアルコールページをぺたりと貼ります。

www1.mhlw.go.jp

ちょっと長いし、「ちゃんぽんはダメよ」と書いていないので、どこを読んだらいいのかわからないと思うので引用いたします。

○「節度ある適度な飲酒」としては、1日平均純アルコールで約20g程度である旨の知識を普及する。

 

 

欧米人を対象とした研究を集積して検討した結果では、男性については1日当たり純アルコール10~19gで、女性では1日当たり9gまでで最も死亡率が低く、1日当たりアルコール量が増加するに従い死亡率が上昇することが示されている

 

 

ここでポイントになるのは「純アルコール」という表現です。つまり、お酒の種類は関係なく、アルコールの摂取量が問題であると言っているのですね。

なので、先ほどのページの中には「主な酒類の換算の目安」という表があるのです。
ちゃんぽんにして、違うお酒を飲むとどれだけアルコールを摂取したのかわかりにくい。だから、純アルコールの換算の目安をなんとなく把握しておくと、自分の適量を探しやすいし、それで飲みすぎを防止しようというわけです。

はい、ここまできてわかってきましたね

純米酒だろうが、醸造アルコールが添加されている日本酒だろうが、摂取するアルコールの総量が問題であって、アルコールの種類が問題というわけじゃないのです。アルコール度数15%だったら、180ml飲むとだいたい純アルコール22g(180ml×15%×0.8(アルコールの比重は0.8))と覚えておけばいいわけですね。

自分が純アルコール50gぐらいが限界だった場合。日本酒を180ml飲んだ後は、あと28g分になるので、日本酒180mlをもう一杯飲むか、それともビールを500ml(これで+20g)飲もうか、はたまたウイスキーをダブル(43ml)で飲もうか(これで+20g)悩めばいいわけです。

ここで、ウイスキーもビールも飲みたいなと両方飲むと、許容量オーバーになってしまうというわけですね。日本酒とウイスキーとビールを1杯ずつしか飲んでないにも関わらず酔ってしまった! ちゃんぽんは悪酔いする! と思いきや、純アルコールで見ると単純に限界を超えていた、となるわけなのです。

というわけで、純米酒だったら悪酔いをしない、醸造アルコールが入っているお酒は悪酔いをする、というのは現在では否定されています。というか、純米酒だろうと飲みすぎれば悪酔いをします。

アルコールの種類が違うと悪酔いの原因になるという説は、焼酎ブーム(2004年ぐらい)のときに流行ったんですよ。蒸留酒だからアルコールが1種類、方や日本酒とかの醸造酒は複雑な構造なのでアルコールが4種類ぐらいある。だから日本酒は悪酔いをして、焼酎は悪酔いをしない! みたいな。所さんの目がテン!でやっていたのを見た記憶がありますので、当時はかなり広まっていたと思います。あ、僕は所さんの目がテン!大好きですよ。

でも現在はこうしてアルコール違いは関係なく、純アルコール量が問題だとなっているので、安心していろいろなお酒を楽しんでいきましょう!

 

というか、お酒のメディアが醸造アルコールをこうして二日酔いの原因だみたいに悪し様に言うの、本当に大丈夫なんでしょうか。醸造アルコールを使った大吟醸とかを出している蔵に喧嘩を売っているということですよね。ひとごとながらとても心配してしまいます……

 

最後にせっかくなんで自著の宣伝をして終わりにします。白熱お酒シリーズ、こういう二日酔い対策のお話とかも、ばっちり載っていますよ!

 

白熱日本酒教室 (星海社新書)

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「蕎麦はつゆに3分の1だけつけるのがツウ」は3分の1しか正しくない

6月7日に、テレビ東京系で「ソレダメ! 〜あなたの常識は非常識!?〜」という番組が放送されました。

www.tv-tokyo.co.jp

日常にある常識だと思っていたあれやそれやが、実は違う! ということを教えてくれる情報バラエティ番組です。TVerとかネットもテレ東で見られるかと思ったらうまく探せませんでした。

この中に、「ソレマル!」というコーナーがありました。

今回のテーマは「そばのツウな食べ方」。NEWSのマッスーさんこと増田貴久さんがお蕎麦屋さんで蕎麦を食べているところを、横にいるマナー講師の方が「ソレダメ!」「ソレマル!」とダメ出しをするコーナーです。

これが、まあひどい。

言いたいことはいろいろとあったのですが一番ひどかったのが、マッスーさんが蕎麦を箸でつかみ、つゆに半分ぐらいつけて食べた瞬間に出た「ソレダメ!」です。いわく、「つゆは3分の1ぐらいをつけないと風味が飛んでしまう」とのこと。

とんでもない。そんなことはありません。

では何故これがとんでもないのか。

それを理解するためには、蕎麦屋さんの種類について知らなければなりません。

●江戸の蕎麦屋は三系統ある

江戸時代から続いているお蕎麦屋さん、つまり江戸そばは大きくわけると三系統になります。御三家という奴ですね。「藪系」「砂場系」「更科系」です。「藪そば」とか「砂場そば」とか「更科そば」というのを見かけたことがある人も多いと思います。それぞれ、扱っている蕎麦の系統が違うのですね。

藪系は、江戸のお蕎麦屋さんで、もともとお客さんの中心が忙しい職人でした。大急ぎで食べて、すぐに仕事に戻らなければならなかったため、あまり待たせずすぐに食べられるよう、あげたてのお蕎麦を出していました。蕎麦には水がついていますから、食べているうちにどんどんつゆが薄まってしまう。薄まってもいいように、つゆを辛くしたと言われています。そういった歴史があるから藪系のつゆはかなり濃く、辛く、たっぷりつけると味がかなりきつい。というわけで、3分の1くらいをつけて食べるのがソレマルというのは正しいのです。

砂場系のお客さんは、町内の商家が中心です。さらに、大阪発祥というのもポイント。出前が多かったので、移動中に蕎麦がのびないよう、しっかりと水を切る。というわけで、蕎麦自体には水がついていないのです。さらには、関西風の味付けに近く、わりと甘口にしているからたっぷりとつゆをつけていいのです。3分の1しかつけなかったら物足りなくて仕方ないのですね。

最後の更科系は長野県更級村から江戸へ来たのが由来です。お屋敷への出前や町内の寄り合いがメイン客層。ここも砂場と同じくたっぷりとつけてもいいけれども、薄くはないつゆです。なので3分の1は少し物足りないはず。

というわけで、「蕎麦はつゆに3分の1だけつけるのがツウ」というのは、3分の1しか正しくないのです。藪系だったら正しいけれども、砂場系や更科系だと正しくないのですね。

●ロケに使われた蕎麦屋さんは

では、番組ではどの系統のお蕎麦屋さんだったのか。

これがなんと、ロケをしているお店が更科堀井さん。更科蕎麦の本家筋というか、文字通りの総本家ですよ。

更科そば:総本家 更科堀井:麻布十番

よりにもよって、更科蕎麦の総本家で、更科蕎麦を食べながら「藪系の食べ方が正しい」なんて言うんです。これはちょっとひどくないですか。というか、相当失礼な話じゃないですか。

更科堀井さんだと、更科蕎麦(蕎麦の実の中心近くを使っていて白い蕎麦。蕎麦の香りは強くない)は甘口で、盛りそばは辛口のつゆを使っていたはず。

そういった情報を全て提示した上での「3分の1がツウ」であるのならまだしも、おしなべて3分の1と言うなんて……

ちなみにこういったお蕎麦の知識を得たいとしたら何が一番いいのか。

料理漫画研究家としては、「そばもん」を推します。

一巻の82ページと83ページの見開きを見てみましょう(Kindleそばもん1巻より引用)。

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今お話ししたことが、全て書いてありますね。

はい、僕もこの「そばもん」で学び、あれこれお蕎麦を食べて実感したのでした。

ここにも描かれていますが、お店がどの系統かわかっていればそのままそれぞれの作法で食べればいいし、そうでないなら汁を少しなめてみて、どれぐらいにするのかを考えるといいと思います。

下手に「ツウ」ぶってなんでも3分の1だけつけるようにしても、それが一番おいしい状態であるのは3分の1以下だとおぼえておきましょう。

美味しく食べる以上に「ツウ」なことはありません。

 

マチ☆アソビVol.18清桜ありがとうございました!&週末のイベントのお知らせ

マチ☆アソビでの清桜イベントに参加してくださった皆様ありがとうございました!

今回は2日開催ということで、一日目と二日目で別々の媒体さんが記事にしてくださっています。

まずはGIGAZINEさん。一日目ですね。

gigazine.net

二日目は電撃オンラインさんが取材してくださいました。

dengekionline.com

今回は2日間にわたって、14種類のお酒を楽しんでいただきました。もちろん、単に飲むだけではなく、ちょっとした仕掛けをしてあります。詳細は上記の記事をみてください!

本当はもっと早くに御礼を書きたかったのですが、イベントが全部終わった安心感からか、帰宅後に風邪を引いてダウンしてしまいまして。ようやく復帰の目処が立ったところだったりします。皆様も風邪にはお気を付けください。

 

そして!

清桜イベントでもちょっと告知させていただいたんですが、こういうことをやります。今度の土曜日、5月13日ですね。

www.facebook.com

これ、ちょっと、自分で言うのも何なんですが相当面白いと思うんですよ。

「お酒の温度を楽しむ」だと、燗酒にするのかーと思うかもしれません。でも今回は実は逆で、「温度を下げる」ことに主眼を置いています。

日本酒は5℃刻みで名称がついていて、たとえば日向燗とか人肌燗とか飛びきり燗とかを知っている人も多いと思います。よく言われる「熱燗」は、50℃ぐらいのお酒を指したりします。

一方で、温度の低い方にも名前がついているのです。15℃で涼冷、10℃で花冷、5℃で雪冷ですね。

温度が上がると味わいは変わるけれども、下げる方ではどれぐらい変わるの!? というのが今回の主なテーマだったりします。

また、つい最近シャープさんと石井酒造さんがこんなコラボ商品を発表したのをご存知の方もいるかもしれません。

www.makuake.com

こちらは-2℃ですね。

もちろん今回のイベントでも、氷を使いまくって、0℃とか、できればそれ以下とかばんばんやっちゃおうと考えています。温度計で温度を測りつつ、冷えたもの熱いものを含めて一つのお酒が見せる多彩な表情を楽しむ。面白そうだと思いませんか。面白いんです!

というわけで、週末は上京してこういうイベントをやっていますので、よろしくお願いいたします。

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