『琥珀の夢で酔いましょう』4巻、本日7月14日発売!
京都を舞台にしたクラフトビールと大人の青春群像劇漫画の4巻発売です。主にビール関連の監修とコラムで関わらせていただいていたりします。
で。
漫画を読んだら聖地巡礼したくなるのが令和の習わしと聞きました。実在の京都が舞台で実在のクラフトビールが出てくる実在満載の漫画ですから、読めば読むほど京都に来てビール飲みたくなりますよね!
というわけで、ガイドエントリを書いてみます。
もともとは、書店さんの特典でその書店さんの周囲のクラフトビールのお店の紹介ペーパーとか入っていたらいいなとか考えていたのですが、なかなか難しかったのでじゃあもうブログで書いちゃおうと。一応編集さんの許可は得ております!
京都は4巻発売日時点で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置も解除され、飲食店での酒類は20時半まで、営業は21時までとなっております。十分に対策をして、クラフトビールをたらふく飲みましょう!
●クラフトビール醸造所直営編
京都は水が良く、昔から日本酒で有名だったりします。おいしい日本酒ができるのだったら、おいしいビールができないわけがない!
ということを裏付けるかのように、近年の京都にはたくさんクラフトビール醸造所ができているのです。そして何よりうれしいのは、各醸造所にタップルームが併設されていたり、直営のお店があったりと、その醸造所のビールをとことん楽しむ環境が用意されているのです。
というわけで、まずはクラフトビール醸造所のタップルームだったり、直営のお店を紹介していきましょう。
■京都醸造タップルーム
1巻第1話に登場している、いわば作品全体の方向性を象徴するかのようなビール。それが京都醸造の『一意専心』です。
ちょっとだけ注意したいのが、2021年からレシピがリニューアルされた点です。つまり、作中に登場したときとレシピが違うのですね。でも、味わいの印象は大きく変わっていません。グレープフルーツのような香りと、ややスパイシーな感じはそのままに、バランスよくさらに後口が爽やかになっています。以前に飲んだことある人も、これは飲むしかないですね!
京都醸造のタップルームは食べ物持ち込み自由方式です。キッチンカーが出ることもあるのですが、基本的には食事は別と考えておいた方がいいでしょう。近くにコンビニはありますが、京都駅で買ったり、京都にたくさんあるパン屋さんで買っていくのがおすすめです。
ちなみに京都醸造のビールはその後もたくさん登場していて、1巻3話に『酸周年』が、3巻11話〜12話に『後ろめたい秘密』が登場しています。この2つはどちらも限定なので残念ながら今は飲めなかったりします。また復活してくれないかな〜
そして。
マッグガーデンのMAGCOMIさんで、『琥珀の夢で酔いましょう』4巻発売記念特集ページを作っていただいているんですが、その中には京都醸造さんのインタビューもあります。
これが実にいいインタビューなので、京都醸造好きはぜひこちらも読んでみてください!
■ICHI-YA(一乗寺ブリュワリー)
1巻5話登場の『デストロイエンジェルIPA』は一乗寺ブリュワリーのビールです。ちょうど作中の祇園祭の時期に登場していますね。タイムリー!
一乗寺ブリュワリーはかなり小規模で、タンクが1つ……から改装されて増えたとは聞いていますが、少なめのタンクで次から次へと新しいビールを仕込んでいく、というスタンスの醸造所です。そして残念ながらタップルームがありません。
じゃあどこで飲めるのかというと、一乗寺ブリュワリーのオーナーが、飲食店の方と共同運営している『ICHI-YA』に行きましょう。半直営なので、それはそれは一乗寺ブリュワリーのビールが充実しているのです。
またここはフードもおいしいんですよ!
京都の食材を使った料理が充実していて、タルタルソースも柴漬けを使ったピンクのタルタルソースですし、白味噌を使ったおでんとかもう最高です。
この料理と、デストロイエンジェルIPAの豊かなコクと苦みがまた合うんですよ!!
「ICHI-YA」では試し飲みセット3種を注文することが多くなるとは思うんですが、ぜひデストロイエンジェルIPAは入れてみてください。
ちなみにお店はお昼からクラフトビールを飲めるというのもうれしいところです。観光で訪れると、お昼から飲めるお店が欲しくなるんですよね。一応、現在は無事に11:30から営業しているようなので、お昼にちょっと一息クラフトビール飲みたいなーというときにも行くと良いですね!
■西陣麦酒タップルーム
2巻8話に登場した『白夜にレモンエール』は、西陣麦酒のビールです。アルコール度数も低めで、喉でグッと飲むのにぴったり。塩が効いていたり、脂っこい料理をぐいぐい流していくと最高です。
で、実はここまでに挙げた醸造所は、すでに1回登場していたりするのですね。
1巻3話の1コマです。京都のビールが3種登場していますね。
この回は2018年まで三条通商店街で行われていた地ビール祭の回で、たくさんのビールが登場しているのです。
西陣麦酒の『柚子無碍』は、なんと西陣麦酒の最初のビール、第一号ビールだったりもします。2017年に、自閉症の方々の就労支援の一環として誕生した醸造所なのですね。
文字通り西陣にあり、タップルームで夕方からビールを飲むことができました。緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の間は営業されていなかったんですが、そろそろ営業再開しているかな……?(まだ確認できていません)
■キザクラカッパカントリー(黄桜)
2巻9話に登場の『京都麦酒 ケルシュ』。明太子? パン? と思うかもしれませんが、これはパンとビールを買い込んで京都御苑でピクニックをしているところに登場したからだったりします。
ケルシュのやわらかな甘みと華やかな香りが、パンにぴったり。作中のように、パンとビールでピクニックにはぜひ持っていきたいところです。
『京都麦酒』は新幹線で京都に来る人にはおなじみかもしれません。KIOSKとかでも買えるビールですね。造っているのは黄桜。そう、日本酒で、カッパのCMでおなじみの会社ですね。現在だとテレビドラマ「相棒」の枠でCMをうっているけどカッパじゃなかったかも。あれ、ちょっと記憶があいまいです。すみません。
実は結構昔から、それこそ第一次地ビールブームの頃から製造を始めている(1995年)のです。日本酒だけではなかったというわけなんですね。
そんなキザクラのビールを楽しむのなら、やはりカッパカントリーでしょう。黄桜のビールだけでなく、日本酒も楽しめます。また、カッパ博物館とかもあるので、いろいろ楽しめますよ。
京阪電鉄の中書島駅や伏見桃山駅から歩いていけるのですが、京都駅から行く場合は近鉄に乗って桃山御陵前駅から歩いて行くのがおすすめです。
■京都ビアラボ
4巻18話に登場しているのは『Feral Beast -野犬-』。あ、そうです。ここから単行本派の人にはネタバレになるかも。まあでもストーリーの話はしませんし、お酒の話しかしないということでここはひとつ。
造っているのは京都ビアラボ。高瀬川のほとりに、2018年にオープンした醸造所です。タップルームというか、バーが併設されていて、その場で飲むことができるのですね。まん延防止等重点措置中は軽食以外のフードの提供を中止していて、持ち込み可だったのですが、解除されてからはまだお店に行っていないのでどうなったかわかりません。
お茶を使ったビールがとてもおいしく、有名だったりするのですが、ここで登場している『野犬』はお茶のビールではありません。ダブルIPAという、ホップをたくさん入れて、アルコール度数を高めたビールです。
なんというんでしょう。アルコール度数が高いビールによくあることなんですが、最初にアルコールのアタックがきているせいか苦みに気づかず、飲み終わった後に苦みがガツンとくる感じなんですよね。口当たりが良いのに、後から苦みがくるのがたまりません。
残念ながら『野犬』は2020年の分は製造が終わっているのですが、2021年はまた造ってくれるのでしょうか。ちょっと気になりますね。
■SVB京都(スプリングバレーブルワリー)
4巻20話に登場する『JAZZBERRY』は、キリンビールの社内ベンチャーとして誕生した醸造所です。東京の代官山、神奈川、京都にあるのですね。
京都店はもともと綿問屋か絹問屋か、ちょっと忘れちゃいましたが製糸系の問屋として使われていた古民家を改装しています。横に細長い構造は、問屋の取引をしやすくするための名残というのもちょっとあったりするそうです。敷地内には中庭や、老朽化して危険なので一般の人は立入禁止にしている日本最古のコンクリート仕立ての洋館などもあったりするのも、外国の方を相手に商売することも多かったからとか何とか。
それはさておき、JAZZBERRYはラズベリー果汁をたっぷりと使ったフルーツビールタイプです。現在の酒税法だと果汁は麦芽量の5%までだったらビールとして認められるのですが、これはそれ以上に入っているため、カテゴリとしては発泡酒。なので、フルーツタイプビールではなく、フルーツビールタイプというわけです。
ラズベリーの甘酸っぱさと、ホップの苦みのバランスがよくて、いろいろなものに合わせやすいんですよね。上記のコマではレモンクリームチーズパイと合わせていますが、作中ではさらに……?!
タップマルシェなどで飲めるため、京都に来ないと飲めないというわけではないんですが、建物も素敵だし、錦市場から近いし、お昼から飲めるのでSVB京都にもぜひ足を運んでみてください。
■家守堂(家守酒造)
同じく4巻20話に登場する『茶かぶき』は、家守酒造のビールです。
家守酒造のビールは基本的には京都以外では飲めません。「ビールに旅をさせない」というコンセプトのもと、基本的には京都外には出荷していないのです。基本的には、というのは、コロナ禍の最中に一部商品の通販を開始したからだったりします。
そして醸造所も少し変わっていて、伏見にある「安本茶舗」というお茶屋さんの町家をリノベーションして造られた醸造所であり、造っているところを眺めながらビールを飲み食いできるのが家守堂なのです。なので一角にはお茶屋さんがあり、女将さんがいるとお茶の話を聞くこともできます。
茶かぶきは、安本茶舗の雁ヶ音茶(葉だけでなく茎も入ったお茶)と柚子の果皮がたっぷりと入っています。飲んだ後に、お茶の旨味と苦み、柚子の香りの余韻を楽しめるビールですね。
家守堂は残念ながら緊急事態宣言の間に一時休業していました。まん延防止等重点措置も解除されたから営業を再開して欲しいなあ。もともとの営業の際は、朝7時から茶粥を楽しめるお店でもあったのです。
さらに家守堂でぜひ飲んで欲しいのが「ナイトログリーンティー」。安本茶舗のお茶で造った少し甘めのグリーンティーを、鮮度を保つように窒素(これがナイトロの部分)充填したタンクに入れ、ビールと同じサーバーにつないで注いでくれるのです。この近辺で飲んだ後は、ここのグリーンティーを飲むというのが定番の動きでした。また営業が再開されているといいなあ(まだ確認できていません)
まだまだ京都には他のクラフトビール醸造所もたくさんあるのですが、『こは酔い』に現時点までで登場しているのはこんな感じということで。なのであそこがない! あの醸造所は?! というのは、今後の『こは酔い』にご期待ください!
●居酒屋編
そのほか、『こは酔い』に縁がある居酒屋さんもいくつか紹介します。残念ながら作中に登場しているわけではないので、公式ページと食べログリンクあたりの紹介で。行ったときの写真は整理が追いついていなくて全部探しきれませんでした……
■京のSAKESORA
わかる人にはわかる表現でいうと、イノダコーヒー本店の向かいの長屋にある『京のSAKESORA』。
どのあたりが『こは酔い』と縁があるかというと、まずお店のコンセプトが「京都のクラフトビールと日本酒、おばんざい」というところでしょう。おばんざいと京都のクラフトビール、白熊っぽいですよね。
そして、女将さんの出身が高知だったりします。白熊の隆一も高知出身。白熊っぽいですよね。
というわけで、『こは酔い』の白熊のモデルでは?! と一瞬考えてしまいそうになるのですが、これは本当に偶然で、時系列でいうと我々は単行本が出た後に訪れたりしているのです。
でも料理もおいしいですし、京都のクラフトビール中心のラインナップもうれしいし、聖地巡礼じゃないんですが、ぜひ白熊っぽさを味わいに行ってください!
■バンガロー
四条通の堀川通の方にある「バンガロー」。阪急大宮駅か、阪急烏丸駅(もしくは地下鉄四条駅)からのんびりと四条通を歩いて行くとたどり着けます。クラフトビールで有名なお店で、コロナ禍の前は外国の方も大勢訪れるお店でした。今は時短営業されていますね。
このお店がどうして『こは酔い』と関係するのか。実は、最初に原作の村野さん、作画の依田さん、そして担当編集さんと面通しというか、打ち合わせをしたのがこのお店だったりします。
そう、1巻のあとがきにある「至って真面目な打ち合わせ風景」はバンガローのことだったのです! たぶん! いや、他のお店にも4人で至って真面目に打ち合わせしているので違う可能性はあるのですが。
そういう意味では『こは酔い』に登場したお店といえなくもないです。いや、いえないかな。いえるかな……それはさておき、ビールも料理もおいしいので、行く価値ありです!
■燻製と地ビール 和知
烏丸駅より徒歩2分。大丸の裏手の、錦市場の入口にあるのが「燻製と地ビール 和知」です。
文字通り燻製料理と豊富なラインナップの地ビールが有名なお店で、山岡酒店、放送局であるKBS京都、そして日本酒蔵でビールも手がけているキンシ正宗とコラボをして「京都はんなりIPA」を作り出したお店でもあります。
ここが『こは酔い』とどう関係するかというと、先日お店のマスターと話していたら、「『琥珀の夢で酔いましょう』を読みましたよ! もう面白くて全巻買っちゃいました! お店に置いてお客さんに読んでもらってもいいですか?」と言われたのです。
そう、お店で堂々と『こは酔い』を読みながら、もしかしたら作中に登場したビールも飲める。といううれしいお店なのですね。
現在はまん延防止等重点措置が終わって21時まで営業になっているはずです。
■Before 9
ここは正確には『こは酔い』に関係しているところではありません。じゃあなにかというと、拙著『白熱ビール教室』を書いたときに、たまたま京都を訪れたフォントディレクターの方と一緒にビールを飲みながら打ち上げをしたお店なのです。
……だけだと弱いですね。えーっと、3巻16話のように、洋画が壁に投影されています。うっ。まだ全然弱い。あれ、こんなにつながりが弱かったっけと思って聞いてみたら、前述のバンガローの後にBefore9へ移動して「至って真面目な打ち合わせ」の二次会をしましたよ、と。酔ってて記憶があいまいだった!
まあ、それはさておき。
とても良いお店なのです。基本的にはキャッシュオンで、1Fは立ち飲みに近い状態。2Fでは椅子に座って飲み食いができます。フードもありますが、がっつり食べるという感じではありません。
腰を据えて何時間も飲むというよりは、さっと寄ってクラフトビールを1杯2杯と堪能し、次のお店へ。みたいな感じです。京都マンガミュージアムの向かいにあるので、マンガを堪能してから立ち寄って帰るとかもいいですね(実際に『グルメ漫画50年史』執筆中にやっていました)
まだまだ他にもあるのですが、縁が深いとなるとこんな感じでしょうか。本来なら一番最初にとりあげるべき、1巻発売時にコラボをしてくれた「麦潤」というお店は、残念ながら現在閉店してしまいました。この御時世、お店がずっとあるとは限らないのは切ないですね……
まだまだコロナ禍も続いているので、お店に行って飲み食いして応援しましょう!
●酒屋編
クラフトビールを飲みたいけど、どこで買えばいいかわからない!
というときに頼りになるのは酒屋さんです。京都にももちろんクラフトビールが充実している酒屋さんはあるのです。
■山岡酒店
まあぶっちゃけた話、この山岡酒店を紹介するためだけに酒屋編があったと言っても過言ではありません。
というわけで、山岡酒店です。電車ではアクセスしにくく、バスで千本今出川、もしくは千本上立売を目指すとお店にたどり着けます。少し歩けば北野天満宮や平野神社があるので、ついでに観光を考えている方はその辺を加味すると良さそうです。
このお店は、一見すると八百屋さんなんですよ。酒屋さんを探していたはずなのに、店頭には野菜がたっぷりと並んでいるという。あれ、ここじゃなかったかな……と通り過ぎようとすると、目の端にビールの樽とか冷蔵庫が見えます。そして中に入ると、あるわあるわ、クラフトビールがものすごくたくさん並んでいるのです!
日本中のクラフトビールを扱っているといっても過言ではないので、京都でクラフトビールのイベントがあったりすると大抵は山岡酒店さんが企画していたり協力していたりします。
1巻3話の京都地ビール祭もこの山岡酒店さんが主催ですし、前述の和知のところで少し書いた「京都はんなりIPA」でもコラボされています。
何かビールが欲しいなーと思ったら、ここに行けば間違いがありません。というわけで、京都でクラフトビールを買いたくなったら、まずは山岡酒店へ、と覚えておきましょう。
●宣伝コーナー
というわけで、『琥珀の夢で酔いましょう』の4巻は7月14日発売予定です!
発売を記念して、MAGCOMIさんでビールプレゼント企画を実施しております。
京都のビールではないので今回のエントリでは紹介できていませんが、作中で「ぶっ飛んだ世界観と確かな味」と称されたビールが気になる方はぜひ!
既刊もKindleでいまなら30%ポイント還元になっています。
つまり、まとめて読むなら今なんですよ!
読んで、(無理のない、感染症対策ばっちりの範囲で)京都を訪れて、ビールを堪能してくださいね!