醤油手帖

お醤油について書いていきます。 料理漫画に関してはhttp://mumu.hatenablog.comへ。お仕事の依頼とかはkei.sugimuraあっとgmail.comまでお願いします

むむ先生の白熱日本酒教室(仮)サンプル公開

酩酊女子制作委員会さんと一緒に制作している、むむ先生の白熱日本酒教室(仮)なんですが、前のエントリにも書いたように、まだ全部は完成していません。でも、記事そのものはもりもり書いているんですよ本当なんですよ。

というわけで、コミティア107で配布したペーパーに掲載されていたサンプルを公開します。コミティア108で頒布する準備号二杯目には、もちろんこれ以外の記事が2つ分あるというわけです。

f:id:shouyutechou:20140503020618j:plain

いろいろな食べ物には、一番美味しいとされている「旬」があります。では、日本酒にも「旬」はあるのでしょうか?

日本酒は主に冬から早春にかけて造られ、一年を通じて飲まれていくお酒で、時間の経過と共に味が変化していきます。当然ながら、造りたて、できたての時と、一年近く経った後とでは、同じお酒でも味が違っていたりするのですね。

味が違うということは、一番おいしい、すなわち旬の時期があるのではと思われる方もいるでしょう。でも、フレッシュなお酒が好きな人には新酒が一番で、熟成酒が好きな人にとっては一年近く経ったお酒が一番となるのです。味の好みが人によって違うので、「旬」もそれぞれの人で違ってくるというわけですね。

さらにややこしいのは、火入れをして通年でも味が変化しないようにしているお酒もあるということです。長い時間が経てば味も変わるのですが、一年間ではあまり変わりません。こういうお酒が好きな人には、日本酒の旬は一年中ということになります。

今回は、自分にとっての日本酒の「旬」を探るために、それぞれの季節にしか飲めないお酒にはどういったものがあるのかをお話していくことにします。

新酒の季節はにごり酒の季節

お酒造りが始まって、最初に出てくるのが新酒です。冬から春にかけては、新酒の季節なのです。まだ熟成が進んでいない、若々しいフレッシュなお酒が好きな人は、この機会にたくさん飲んじゃいましょう。残念ながら家庭用の冷蔵庫では、この時期のお酒を完全にそのままの状態で保管しておくことはできません。どうしても熟成が進んでしまいますので、手に入れたらどんどん飲んでしまうことをオススメします。

究極の新酒とも言えるのが、最近注目を集めている「立春朝搾り」です。これは文字通り立春の日の朝に搾ったお酒をそのまま瓶に詰めて出荷して、その日のうちに酒屋さんに並ぶというお酒なのです。日本酒界のいわばボジョレー・ヌーボーとして人気を博しています。朝できたばかりのお酒を夜には飲めるのですから、新鮮この上ないお酒といえます。酒蔵でしか味わえないような、生まれたてのお酒を楽しみましょう。

また、新酒の季節はにごり酒の季節でもあります。粗く越してもろみがお酒の中に残っているにごり酒は、冬から春にかけてのお酒になります。おりがらみやどぶろくもこの時期に多く出てきます。中でも「活性にごり」という、まだ菌が生きていて瓶の中で発酵が進んでいる、炭酸感を楽しめるお酒は完全にこの時期限定と思えばいいでしょう。しゅわしゅわとした、生命力に満ちあふれた味わいは、一度はまるとやみつきです。

夏はさっぱりとしたお酒を!

蒸し暑い夏に飲むお酒といえば、何といってもビールではないでしょうか。ビアガーデンでビールをゴクゴクと飲むのは、夏の醍醐味といえます。でも、夏を楽しむ日本酒も、たくさん出ていたりします。代表的なのは「夏吟」という、夏の吟醸酒でしょうか。

夏吟は暑い夏でもさっぱりと飲めるように、すっきりとした辛口で、場合によってはアルコール度数を下げていたりもします。キンキンに冷やした夏吟で、清涼感のある喉ごしを楽しみましょう。

さらには「薄にごり」や「夏にごり」といった、おりがらみやにごり酒も微発泡で口当たりがいいので夏によく飲まれています。

また、酩酊女子にも掲載されているIceBreakerのように、ロックで飲むとおいしいお酒もあります。太陽の下で汗をかきつつ、じゅうじゅうと焼けるバーベキューを、氷を入れた少しアルコール度数の低いお酒でぐいぐいやるのは、夏の醍醐味といえます。

秋はひやおろし

秋になると「ひやおろし」や「秋あがり」が出てきます。春先にできあがった新酒を、いったん火入れした上で冷蔵貯蔵します。そして暑い夏を越え、秋になったときにそのまま(冷やのまま)卸したお酒を「ひやおろし」というのです。少し熟成されて味が整ってバランスがよくなるのですね。こういう秋になると味があがることから「秋あがり」とも呼ばれています。穏やかで落ち着いた香りと、濃醇な味わいが特長です。秋の味覚と合わせると抜群においしいです。

ひやおろしは日本酒の中で一番おいしいという紹介をされがちです。でも、新酒や生酒が好きな人は、ひやおろしよりも新酒の方がおいしく感じると思います。反対に落ち着いた味が好きな人は、ひやおろしの方がおいしいと感じるでしょう。さらには合わせる料理によっても印象はがらりと変わります。季節ごとの味わいの違いを楽しみつつ、自分の好きなタイプのお酒を模索していきましょう。

 

※ここまで

 

というわけで、このように見開きマンガ+解説文という形で展開していきます。現在「日本酒についてこういうことを知りたい!」という項目を募集しております。詳しくはまた後ほど。なお、ペーパー本体はこちらからダウンロードできます。

「むむ先生の日本酒白熱教室(仮)準備号1杯目」

ページトップへ