醤油手帖

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はてな東京オフィスでスパークリング日本酒「澪」を飲んできました

今日はこんなイベントに行ってきたのです。

はてな東京オフィスでスパークリング清酒「澪」を飲もう! 宝酒造「日本酒を楽しもうイベント」開催 - はてなブックマークニュース

というわけで、はてなさんにお邪魔をして「澪」をたっぷりと飲んできました。

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イベントの模様はきっと他のブロガーさんが書いているだろうということで、僕は一応日本酒の人っぽくあれこれ澪について聞いてきたのでお酒のお話を書こうと思います。

まず、日本酒のスパークリングと呼ばれる微発泡のお酒は大きくわけると3種類があったりします。

  • 活性にごり系
  • 瓶内二次発酵系
  • 炭酸ガス注入系

これらについて順番にお話ししようと思うのですが、その前に覚えていただきたいことがあります。それは日本酒が造られるとき、つまり発酵するときに「糖分が発酵されてアルコールと二酸化炭素になる」ということです。

なので、ものすごいおおざっぱに言うと、お米が分解されて糖分になる(ずっともぐもぐお米を噛んでいると甘くなるというあれと同じです)→糖分が分解されてアルコールと二酸化炭素になる、という順番でお酒がつくられているのです。新酒で作りたてのお酒にちょっと炭酸ガス感があるのはこういう理由だったりするのですね。

ということを頭に入れて、順番に見ていきましょう。

・活性にごり

これはにごり酒なのですが、発酵している最中のお酒を濾過したりしないでそのまま菌が活きている状態で瓶につめたものです。なので、瓶の中でもどんどん発酵しています。アルコールと二酸化炭素(炭酸)が作られていくのですね。中から出てくる炭酸で瓶が爆発しちゃわないよう、ふたに空気穴が開いていて、空気が抜けるようになっています。「横倒し厳禁!」なんて書いてあったりするのもこのタイプです。

時間が経つと発酵が進んでしまって、甘みが減っていくのもこのタイプの特徴と言えるでしょう。

・瓶内二次発酵系

これはいったんお酒を瓶に入れて、その中に新たに酵母(場合によっては糖も)を入れて封をしたタイプです。酵母はお酒の中の糖分を分解してアルコールと二酸化炭素を作るので、封をしていたら炭酸ガスが瓶の中に閉じ込められることになります。なので、封を切ると泡がしゅわしゅわと出てくるのですね。これはシャンパンと同じ作り方になります。

有名な一ノ蔵の「すず音」は、同じ一ノ蔵のお酒「ひめぜん」を瓶内二次発酵させたお酒です。

こちらも時間が経つと発酵が進んでしまいます。なので基本的には要冷蔵ですね。温度が低いと発酵はゆっくりと進んでいきますので、味が変わるのもゆっくりになるというわけです。

炭酸ガス注入系

こちらはお酒に炭酸ガスを入れて、そのままふたをするというタイプです。使うお酒は火入れといい、加熱殺菌をしていて味が変わらないようにしています。「火」という言葉を使っていますがそんなに高温で殺菌をしているわけではありません。あまりにも温度を上げるとアルコールが飛んじゃいますからね。牛乳の低温殺菌みたいなものを想像するといいでしょう。

このタイプは品質が安定しているのが特徴です。瓶内二次発酵のものよりも、とにかく要冷蔵というわけではありません。

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では「澪」はどのタイプなの?

澪は炭酸ガス注入系です。火入れをしてあるので常に要冷蔵というわけではなく、割と運ぶのも楽で、コンビニやスーパーにも置きやすかったりします。

どのように作っているかをあれこれ聞いてみたのですが、企業秘密も多く、教えてもらえるところは少なかったのでした。まとめますと

  • お米は酒造好適米を使っている。でも何を使っているかは非公開
  • お米は結構削っている(精米歩合はそれなりにあるんですよ、と)
  • まったく普通に日本酒を造り、加水してアルコール度数5度に調整している
  • 加水して薄まっても酸味と甘味が出せるようになるまで、開発に6年かかった

という感じです。酒造好適米というのは、普段ご飯を食べているお米とは違う、日本酒を造るためのお米の品種です。

つまり、きちんと日本酒を造り、それを水で調整して、炭酸ガスを詰めたお酒というわけなのですね。原材料名を見ても「米・米麹・炭酸ガス含有」(水は書かなくていい)となっています。

なので味もきちんと日本酒感があります。でも日本酒感は強すぎず、甘味と酸味があって、後味がさっぱりしています。これは食中酒としても全然いける! という味わいなのですね。キレのある甘みというやつです。

個人的にヒットだったのは、フルーツポンチをこの「澪」で作ろうというものですね。これがとても美味しかった!

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スイカがベストマッチな気がします。

こんな「澪」ですが、9月17日からコンビニやスーパーで全国販売されるそうです。これはうれしい! 元々好きだったので、どこでも手軽に手に入るようになるのはうれしいですね。CMも10月から開始だそうです。

というわけで、とても美味しい日本酒を味わいつつ(なんと、宝酒造さんの「白壁蔵」も飲ませてもらったしお土産にももらっちゃいました)楽しい時間を過ごさせていただきました。

宝酒造様、はてな様、そして当日お話させていただいた皆様本当にありがとうございました。

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おまけ

最近の宝酒造「松竹梅」の個人的なトピックと言えば、パウチ日本酒を出したことだったりします。

この真ん中の「天」ですね。

パウチ日本酒についてもあれこれ聞いてきました。

  • 後片付けが楽でいいと主婦から好評
  • 途中で曲げたりできるのでたたんで冷蔵庫の隙間に入る
  • 900mlと500mlとがある(僕は900mlのしか買ったことがありませんでした)
  • 余所様にもどんどん商品を出してもらって、パウチ日本酒の知名度を上げたい

ちょっと補則をしますと。紙パックの日本酒の場合、お酒を注ぐ口がプラスチックで、本体が紙です。ということは、分別をしなければならないのですね。ところがパウチの日本酒はすべてプラスチックゴミとして丸めて捨てられますので、後片付けがとても楽でいいというわけです。なるほどなー。

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