醤油手帖

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極あまくち 専醤

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九州の醤油は甘い。そう聞いたことはないだろうか。もちろん九州出身の方にとっては「何をいまさら?」ということではあるのだろうし、九州以外の醤油でも甘い醤油のところがあるのだけれども、それはそれとして九州の醤油は基本的に甘かったりする。

そう、九州の醤油は甘いのだ。何故甘いのか。これには色々な説がある。例えば漁師が漁に出る時に持って行く調味料が1本で済むように味の濃い甘い醤油にしたとか、南蛮文化の影響ではないかとか、色々だ。つい先日ここのページを教えてもらったので、詳しく知りたい人はそこを読んでもらいたい。

醤油(その1) 九州の甘い醤油はどこから来てどこへ伝わったのか|食べ物新日本奇行

今回はそこにちょっと載っていないので正確ではないかもしれないけれど、お気に入りの説を簡単に解説してみたいと思う。

その昔、砂糖は貴重品だった。日本史を学んだ人なら、江戸時代に薩摩藩が砂糖の貿易でお金を稼いで力をつけ、幕府を倒したということを覚えているんじゃないかと思う。今でこそ簡単に手に入る砂糖だが、貴重品だったのだ。

その砂糖を主力貿易品にしていた薩摩藩に近い九州では、砂糖の入手が他の地方に比べれば容易だった。そしてそれは、日頃の食文化にもあらわれる。入手が容易であったからといって、贅沢品、貴重品であることには代わりが無いので、特別な日や特別な人が来る時に食べる料理=ごちそうにふんだんに砂糖を使うようになっていったのだ。

というわけで、九州、とりわけ鹿児島の味付けは基本的に甘い方向に進化していった。もちろん調味料もそれにあわせて甘くなっていったという。だから、九州では料理に合わせるお酒は焼酎が基本になるのである。甘い料理には辛い焼酎がよく合うというわけだ。反対に本州では料理の味付けの基本が塩と醤油になるので、塩辛い料理に合わせるために甘いお酒=日本酒が発展していったというわけ。これはお酒の分布的にも合うし、食文化史的に納得できる説なので気に入っている説だったりする。

ずいぶん前置きが長くなってしまったが、今回紹介する「極あまくち 専醤」はその鹿児島の甘い醤油の中でも取り分け甘みの強い一品だ。何せラベルにも「従来のあまくちタイプの醤油よりも、一段と鹿児島の人が、好む甘さを強調した新しいタイプの調味料です」と書いてあるほど。そう、本来はこれ単品で使うものではなく、これにさらに他の醤油をブレンドし、自分の好みのあまくち醤油に仕立て上げるための醤油なのだ。

もう味に関しては、すごい甘い。めちゃめちゃ甘い。なるほど。これが鹿児島の人が好む醤油のあまくちなのかということがわかるのだけれども、鹿児島出身ではない僕には甘過ぎと感じるぐらいに甘い。まあ、ブレンド用の醤油ということなので、これだけ甘いのは当然なのかもしれない。

使い方としては、基本的にブレンド用だが、料理に使うと砂糖とかを入れずに調理ができてしまう優れものだ。さらに意外なことに、卵かけご飯に入れても美味しかった。甘口の卵焼きが好きな人ならこの味はいけるんじゃないかと思う。

一番のオススメは砂糖醤油を使う食べ物と聞いて、10人いたら半分以上の人が真っ先に思い浮かべるであろう食べ方だ。そう、この醤油を餅につけて焼くのだ。普通の砂糖醤油を作らなくてもこの専醤さえあれば、簡単に甘辛い磯辺焼きができあがる。火を通してちょっと焦がすと甘みも強調されるけれどもそれ以上に焦げた醤油の香ばしさがくるので、これがまた実に美味しい。この食べ方は本当にオススメだ。

鹿児島の人は脂ののった魚、例えば鯖とかにあまくち醤油をつけて食べるという。この醤油は通常の甘口醤油よりもさらに甘口が濃いとのことなので、非常に申し訳ないのだがちょっと躊躇いが出てしまってまだ試していない。ただ、鹿児島の人が好む甘さを強調しているとのことなので、是非鹿児島出身の人に試して欲しいところだ。なんとか近日中に刺身にこの醤油を試して、後々このブログで報告していきたい。

鹿児島発!究極の甘口醤油ヒシク 極あまくち醤油 専醤(ミニボトル) 100ml

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