醤油手帖

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越前魚醤「ととだし」

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今回紹介するのは越前魚醤「ととだし」だ。この「ととだし」の「とと」とは福井県の方言で「魚」を表すもの。つまり、ととだし=魚の出汁という意味合いになる。

そういうわけなので、この「ととだし」。何か特定の魚介類で作った魚醤というよりも、福井県で採れた魚介類で作った魚醤という意味合いになる。実際、原材料を見てみるとタラやイカの内臓で作っているようだ。イカの内臓を使って作る魚醤といえば、いしり(いしる)が有名だが、それとは違う、福井県独自の魚醤になるようだ。

ちなみにこの「ととだし」は、東京農大の小泉武夫教授ならびに角田潔和教授の指導のもとに越前町商工会が企画・製造したものになる。実は、小泉武夫教授(今は東京農大を定年退職されて名誉教授であり、小説家になるけれど)プロデュースの魚醤は他にも結構あったりする。これはいずれ順に紹介していくことになると思う。

そんな「ととだし」をあけてみると、立ち上ってくる香りの中にはいわゆる魚醤特有の臭みが無かったりする。どうやら最近増えてきている新世代(と勝手に僕が言っている)の魚醤は、魚醤の臭みを感じさせない造りになっているようだ。やはり、あの魚醤独特の臭みは苦手な人も多いし、使える料理も限られているからだろう。どのようにしてこの臭みを無くしているのか、公式HPの製法のところを見てみたのだが、発酵を進めることによって臭みが消えるとしか書いていなかった。製造過程ではものすごい臭みがあるものの、だんだんと臭みが消えていくそうだ。従来の魚醤は内臓などの消化酵素などを使って発酵させるが、この魚醤は醤油麹を使って発酵させているから途中で臭みの元も分解されてしまうのかもしれない。

味わいとしては、魚醤の臭みを感じさせない旨味の強い醤油という感じだ。そのまま口に含むと、まずは塩味がきてその後に出汁の旨味が広がっていく。旨味が強いので、そのまま何かにつけて食べるよりも、料理に使う用途の方が向いていると感じた。実際、製造元HPでのアンケートによると煮物に使われることが多い。そのまま何かにかけて食べるならば、豆腐や納豆などにかけるよりは、玉子かけご飯にかけるのが個人的なオススメだ。

製造元のページにもあるように、醤油に混ぜて使ったり、旨味調味料の変わりに使っても面白いだろう。たとえば刺身を食べるときに「醤油3:ととだし1」という割合にするという塩梅だ。普通の醤油を補う僕が言うところの新世代の魚醤はそういう使い方をするのが多い。これは、もともと癖の強い郷土料理に特化した魚醤ではなく、さまざまな料理に向いた魚醤にしたためではないかと思う。とがった部分をまろやかにすることにより、旨味が強調されて旨味調味料の変わりに使えるようになったというわけだ。

そんな「ととだし」は、手に入れられるところが製造元HPで公開されている。
http://www.totodashi.com/buy.htm
もちろん、インターネット通販でも購入可能だ。

ちなみに、この「ととだし」の箱に書いてあるURLはtotodasi.comとなっていて、そのページにアクセスしても何も表示されないので注意したい。瓶のラベルにはきちんとtotodashi.comとなっているので、検索をせずに直接アクセスする場合はラベルの情報を信じるといいだろう。

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