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醤油手帖

お醤油について書いていきます。 料理漫画に関してはhttp://mumu.hatenablog.comへ。お仕事の依頼とかはkei.sugimuraあっとgmail.comまでお願いします

ほたて魚醤

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最近、個人的に密かに注目している醤油業界でのブームがある。それは、さまざまな魚介類から作られた「魚醤」ブームだ。

魚醤というのは、醤油を作る材料に大豆を使うのではなく、魚介類を使ったものになる。魚介類を塩と一緒に漬け込んで発酵させ、液化させる。その液化したものを集めて漉したものが魚醤になるのだ。大豆から作った醤油がほぼ日本独自のものであるのに対し、魚介類で作った魚醤は他の国でも作られている。有名なところでは、タイのナンプラーやベトナムのニョクマムが挙げられるだろう。魚醤を使っている民族は、実に4億人に上るとも言われていて、実は醤油よりも多いのだ。

そんな魚醤だが、その独特の香りや塩分の強さで、郷土料理などで使われる以外はあまり使われていないと言っても良かった。なので、基本的には日本三大魚醤の「いしり(る)」「しょっつる」「いかなご」を使う地方以外ではあまり見なかったと言ってもいい。やっぱりこれは、普通の醤油自体が万能調味料であるのと、魚醤独特の塩辛さや味わいが一般家庭では敬遠されているからかもしれない。郷土料理に使う昔からの魚醤、というのが従来の魚醤であり、種類もそれほど多く出回ってなかったのだ。

ところが、1990年代後半から、さまざまな魚を原料にした魚醤が作られるようになってきた。それは従来の魚の内臓などの消化酵素などに頼って魚を分解する製法に対して、酵素や麹を添付して発酵させる製法ができたのと、町おこし的に地元の特産品を使って魚醤を作るところが増えたからだ。これがまたさまざまな種類の魚から作られていて、集めてみるとどれも味わいが違ったりしていて本当に面白い。

今回紹介するのもそんな特産品を使った魚醤のひとつ、青森県の「ほたて魚醤」だ。青森県の陸奥湾では、甘味の強いほたて貝が採れることで有名だ。その日本一のほたて貝をふんだんに使い、さらには青森の代名詞とも言える青森リンゴを使って熟成させた魚醤になる。食品添加物はおろか、水も一滴も使っていないというから驚きだ。

このほたて魚醤。開けるとまずはほたての香りを強く感じる。それと同時に甘いリンゴの香りも感じることができる。まさにほたてとリンゴで作られた魚醤ということを香りから感じることができるのだ。

味としては、いわゆる魚醤のようなとんがった塩辛さなどが無く食べやすい味だ。魚醤というと、どうしても塩辛かったりとか独特の香りを彷彿させるが、このほたて魚醤にはそういうとがった部分を全く感じさせない。これはおそらく使われているリンゴのおかげだろう。リンゴがうまくとがった部分を全部包み込んでいるのだ。

かといって、リンゴが味わいを殺しているかというと全然そんなことは無い。口の中に含んだ後には口の中にしっかりとほたての旨味が広がるのだ。魚醤に慣れていない人が感じる生臭さとかをうまく隠した魚醤と言うことができるだろう。

このほたて魚醤。おじやに使ったり、玉子かけご飯に使ったりしたのだが、どちらも非常に美味しかった。が、真価はそこには無かったりする。なんと、製造元では他の醤油などに一さじ二さじ入れてみる使い方を推奨しているのだ。そのまま使うのではなく、普通に醤油を使った料理に、一さじ二さじと入れてみて欲しいとのこと。確かにそうやって使ってみると、醤油の味が変わってとても面白く、美味しいものになる。この相性は色々と試してみてはいるが、今のところは前回紹介した丸大豆醤油にほたて魚醤を垂らしたものを使ってお刺身を食べるのが個人的なお気に入りだ。まろやか系の醤油にあわせた方が、味がはっきりとわかると思う。

またこのほたて魚醤は、ほたて貝をふんだんに使っているだけに、普通の醤油には無いタウリンを多く含んでいるようだ。タウリンと言えば、イカなどにも豊富に含まれている。というわけで、イカの刺身と相性がいいのではないかとも思うのだが、残念ながらイカの刺身が手に入っていないのでその相性を試すことができてはいない。

このほたて魚醤の入手方法だが、青森県の物産を扱っているところでは手に入るようだ。ようだ、というのは、僕自身はいただいたものなので店頭で確認できていないからだ。また、楽天では見つけることができたのでインターネット通販で手に入る。もっとも、楽天の取扱店でもいくつか売り切れ表示になっているところがあったので、あまり量は多く作っていないようだ。入手したい方はお早めに。


ほたて魚醤のしおり(pdf)
http://www.umai-aomori.jp/ranking/2007-01/img/hotate.pdf


ほたて魚醤

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