醤油手帖

お醤油について書いていきます。 料理漫画に関してはhttp://mumu.hatenablog.comへ。お仕事の依頼とかはkei.sugimuraあっとgmail.comまでお願いします

10月30日の「おもしろ同人誌バザール」に参加します

またもや直前……前日の告知になってしまいました。申し訳ありません。

10月30日に東京は有楽町の交通会館で開催される「おもしろ同人誌バザール」に参加します。

情報系の同人誌即売会なのです。

参加されているサークルさんは、どこもかしこも読み応えのある本ばかり! しかも入場無料! とりあえずふらっと寄って、さっと見るだけでも見るしか!!

うちは、37番という、入り口に立つと見える好位置につけていただきました。ありがとうございます!

ラインナップですが……コミティアと変わりません。コミケとも変わりません。新刊は無理でした。

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というわけで上記はコミケのおしながきなんですが、ポン酢醤油編は売り切れです。

ミニ甚吉袋と手ぬぐいは持って行きます。

なんか増産したのになんだかんだで少なくなってきてしまいました。このままだと冬コミではごく少数しか持ち込めないかもしれないので、確実に手に入れたい方は今回のおもしろ同人誌バザールに参加していただくのが一番かと思います。

あと、当日はアザミさんはいないのですが、白熱ビール教室、白熱洋酒教室、白熱日本酒教室のサイン本も少しだけ持って行きます。なんか、メッセージとか書いちゃうかもですよ!

 

白熱ビール教室 (星海社新書)

白熱ビール教室 (星海社新書)

 

 

というわけで、明日は僕も始発の新幹線で東京入りして参加します(コミティアのときも同じことをやったのですが、本当に僕がいるとは思わなかった人達が結構たくさんいたので念のため)

では皆様とお会いできることを楽しみにしております

コミティア118にT-01bで参加します

いよいよ今週末というか、23日の日曜日にせまったコミティア118。サークル「醤油をこぼすと染みになる」はT-01bにスペースをいただきました。参加します。

今回は「酩酊女子制作委員会」のアザミさんと合体スペースなのでお隣同士です。

ということは!

つまり!

あの、夏のビールのお供に最適と言われた白熱ビール教室のサイン本とかも置いていたりするわけなんですよ!! 

白熱ビール教室 (星海社新書)

白熱ビール教室 (星海社新書)

 

ちなみにどれぐらい夏に白熱ビール教室が合うかについては、下記のエントリを参照してください。

shouyutechou.hatenablog.com

もちろん、他のものもあります。

新作グッズ等はちょっと間に合わなかったのですが、夏のコミックマーケット90で頒布した新刊、甚吉袋、手ぬぐいはそれぞれ少しずつ持って行きます。

とりあえず夏コミのお品書きをぺたっと。コミティア版お品書きは鋭意制作中です。

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このうち、醤油手帖 Vol.6 幸せのポン酢醤油編は完売しましたのでありません。なので品揃え的にはこんな感じです。

  • 醤油手帖 職人醤油のすべて
  • 醤油手帖 基礎知識編
  • 醤油手帖 mini フルーツ醤油編
  • 醤油てぬぐい2016
  • ミニ甚吉袋

特にミニ甚吉袋はあっという間に夏コミでも売り切れてしまいましたので、この機会に是非に。うすくち醤油マグネットは、あれいったい、どこにしまったんでしょう……(コミケ後の荷物の中から見つかっていない)

あとはあれです。

当日の朝に新幹線でびゅーんと行くんですが、もしも手に入ったら、一番搾り京都づくりを何本か買って行こうかと思います。皆様の地元の○○づくりと交換できるとうれしいかも! でも、そんなにたくさん持って行けないし、いま手に入るかわからない(昨日京都なのにコンビニで見つけたのは熊本づくりだけでした)し、もし手に入っていても新幹線の中で我慢できずに飲んじゃうかもなので、交換とかは考えない方がいいかも。京都が見つからなかったら熊本づくりになるかも。できるだけがんばります。あ、もちろんコミティア会場では飲んじゃダメですよ! 終わってからですよ!

それでは、コミティア会場で皆様とお会いできることを楽しみにしています

10月19日(水)に梅田のMARUZEN&ジュンク堂書店さんでイベントやります

またまた直前の告知になってしまって申し訳ないです。

10月19日(水)の19時から、梅田にある「MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店」さんで「上級白熱日本酒教室」というイベントをやります。

ようは、今までやっていた白熱日本酒教室イベントが入門編のお話中心なので、もうちょっとマニアックなお話をしてみようと。

イベントの名前ですが、書店員さんとこんな会話をして決まりました。

「と、いうわけで、うち(ジュンク堂)の方にも、ちょっとマニアックな話をして欲しいという要望がきているんですよ。イベントやりませんか」

「やりますか。イベント名どうしましょうねー」

「とりあえず上級とつけましょうか」

「じゃあ、(仮)でつけましょう。他に何かいい名前がないか考えてみます」

あれです。いつの間にか(仮)がとれて正式名になっちゃうという、いつものやつです。

というわけで、明日ですが、お時間ある方是非いらしてください!

お待ちしております!

マチ★アソビ Vol.17で「清桜inマチ★アソビ」に参加します

直前の告知になってしまって申し訳ありません。

今週末のマチ★アソビ Vol.17の「清桜 in マチ★アソビ」に参加します。10月8日の19時からです!

声優の清水彩香さんと中村桜さんのユニット「清桜」によるイベント。時々、お酒の解説で登壇させていただいています。今回もお酒の解説をあれこれしまくります。

というわけで、あれですよ。

イベント概要に書かれている「トーク&飲み会」の「飲み会」担当の、いわば飲み会要員です。お酒はいろいろいろいろ準備をしております。今もなお!

という感じなので、是非とも遊びに来てください!

マチ★アソビでは、星海社パラソルショップにて、白熱ビール教室などのサイン本も置いてもらう予定です。

白熱ビール教室 (星海社新書)

白熱ビール教室 (星海社新書)

 

サイン本の中には、ほんのちょっとだけ「当たり」があります。

いわばサイン本ガチャ! でも確率は10%ぐらいだからすごく健全!

まだお持ちでない方は、この機会に是非よろしくお願いいたします。

ちなみに。

前回は当日の朝にイベント参加券を先着54名にということだったみたいなんですが、清桜人気で200人以上が早朝から並び、抽選になったとか(僕はこのときバスで徳島に向かっていたので詳細を知らないのでした)。

今回の入場方法がどのようになるかはまだ発表されていないっぽいので、参加したいという方は清水彩香さんと中村桜さんのTwitterをそれぞれチェックしておくといいかもです!

マチ★アソビでお会いできることを楽しみにしております。

日刊SPAと東京MXのひどい記事を読んで、自衛のために「酔いつぶされないためにはどうしたらいいか」を書いてみる

またひどい記事がありました。
こちらのTogetterを参照していただくとわかるのですが。

togetter.com

もともとは日刊SPA!で「女性の“お持ち帰り率”がアップするお酒は? テキーラがNGなワケ」という記事が書かれ、それをTOKYO MXの「バラいろダンディ」という番組で放送されたという経緯です。バラいろダンディでは、その日の気になるニュースをランキング形式で発表するのですが、2016年9月5日放送分で、3位として紹介されていました。

s.mxtv.jp

上記リンクの「3位:お持ち帰り率アップのお酒」です。
特に否定的な紹介をしているわけではなく、長谷川アナウンサーも「続いては、男性が気になるニュースです」というような前振りです。

おりしも同じ日に、女性をモノ扱いにした東大生に懲役2年が求刑されてもいます。

www.sanspo.com

ちょっとだけ脱線しますが、サンスポのこのタイトルだと東大生側が謝罪しているのに受け入れていない、それはよくないみたいな印象を与えますよね。実際にはもっともっとずっとひどい事件で、示談に応じないのもわかるというものでした。

www.iza.ne.jp

言うまでもなく、お酒を無理矢理飲ませてどうこうするというのは犯罪です。togetterの記事中にもある弁護士法人中村国際刑事法律事務所HPをぺたりとしておきますね。

準強姦罪とは、準強姦罪成否のポイント | 刑事事件弁護士

こんな犯罪を助長するような記事を載せるのはメディアとしてどうかとも思います。日本酒のみならず、お酒業界に対する風評被害も大きいでしょう。特に日本酒業界では、女性向けのお酒に対する取り組みも熱心に行っているのです。僕もそういうテーマでお話しして欲しいと酒造組合に呼ばれたこともあったりします。それだけに、本当に許しがたい記事です。

でも、こういう人達へ真っ当に抗議をしてものれんに腕押し糠に釘というか、あまり聞く耳を持ってもらえないというのも経験上ありまして。もてない人(この場合はお持ち帰りできない人)が何か言っているんでしょ、みたいに、価値観が違いすぎるとお話が全く通じないので、とりあえず番組に関してはBPOへ通報するしかないと思います。しました。日刊SPA!の方はどうすればいいんでしょう。

それはさておき。長い前振りでしたが、こういう記事に対しては、「お酒で酔いつぶされないためにはどうしたらいいのか」ということを書いてせめてもの自衛の手段を紹介していきたいと思います。例によって推敲していない殴り書きなので長いです。

■一番いいのは睡眠と水

当たり前といえば当たり前なのですが、睡眠不足は万病の元というか、体調不良の元です。普段お酒を飲んでいても大丈夫な量であっても、2日完徹のときに飲んだらすぐに酔いつぶれて寝てしまうでしょう。なので、お酒を飲むときには睡眠をしっかりとっておくのが一番いいのです。

そうはいっても前日までに準備が必要だし、仕事の都合上どうしても寝不足のときもあるから、これはなかなか難しいことでもあります。

じゃあ当日、その場でできる対応はというと、水を飲むことです。日本酒の世界だと「和らぎ水」といって、酔いを和らげてくれる水を推奨しています。

■なぜ水を飲まないといけないのか

水を飲んだ方がいい理由のひとつは、血中アルコール濃度にあります。ちょっと公益社団法人アルコール健康医学協会のページにある、飲酒の基礎知識の中の、「アルコール血中濃度と酔いの状態」を見てみましょう。

飲酒の基礎知識 −公益社団法人アルコール健康医学協会−

表の一部を引用というか、ちょっとお話上で必要な部分を抜粋します。

爽快期:血中アルコール濃度0.02~0.04%
さわやかな気分になる、皮膚が赤くなる、陽気になる、判断力が少しにぶる

ほろ酔い期:血中アルコール濃度0.05~0.10%
ほろ酔い気分になる、手の動きが活発になる、抑制がとれる(理性が失われる)、体温が上がる、脈が速くなる

酩酊初期:血中アルコール濃度0.11~0.15%
気が大きくなる、大声でがなりたてる、怒りっぽくなる、立てばふらつく

酩酊期:血中アルコール濃度0.16~0.30%
千鳥足になる、何度も同じことをしゃべる、呼吸が速くなる、吐き気・おう吐がおこる

泥酔期:血中アルコール濃度0.31~0.40%
まともに立てない、意識がはっきりしない、言語がめちゃめちゃになる

このように、酔いの状態には血中アルコール濃度が大きく関わっています。これは、すっごく単純化してざっくり言いますと、アルコールを代謝する肝臓には、処理速度があるからです。

たとえば1秒間に10の量のアルコールを処理できる肝臓を持った人がいて。ここに、1秒間に8の量のアルコールが送られてきたら、問題なく処理ができます。ところが、1秒間に15の量のアルコールが送られてきたら、処理しきれなかった部分があふれてしまうわけです。それが脳にいってあれこれ悪さをするのが酔いなのですね。

一度に肝臓に運ばれるアルコールの量を減らすにはどうしたらいいのでしょうか。それは、飲むアルコールの量を減らすか、血中アルコール濃度を減らすかです。つまり、お酒をたくさん飲んだら、それ以上にお水をたくさん飲んで血中アルコール濃度を薄めれば、ひどい酔いの状態にはならないというわけです。

ケーキなどに含まれている微量なアルコールだと、たくさん食べてもそれほど酔っ払わないみたいな経験をしたことがある人も多いでしょう。また、ウイスキーのストレートみたいなアルコール度数40%のお酒とかも、一度に全部飲むのではなく、なめるようにちびちび飲むことで摂取するアルコールの量を減らしているからすぐに泥酔するというわけではないのです。

というわけで、全く同じ量のお酒を飲んだとしても、水を飲むのと飲まないのとでは、血中アルコール濃度が変わるため、酔いの状態が変わります。お酒を飲む目的が泥酔することではなく、味わいを楽しむというのであれば、お酒を飲んだ後にお水をすぐに飲むようにしましょう。そうすることで酔いの状態を和らげることができ、泥酔してお酒の味がよくわかんなくなっちゃうということも防ぐことができるのです。もちろん、泥酔していなければお持ち帰りされる危険性も減ることでしょう。

具体的にはどれぐらいの水を飲めばいいのか。ざっくりとですが、日本酒の場合は飲んだ量の二倍の水を飲む、というのが一番いいと思います。同量じゃちょっと足りないかなとも思います。

というのも、日本酒のアルコール度数は15%から多いだと20%近くにもなります。最近の生酒とか、無濾過生原酒のようなタイプのお酒ですと、アルコール度数は18%ぐらいと思っていいでしょう。飲んだ後に同量の水を飲んだら、合わせたときのアルコール度数は9%です。これでもまだビールの2倍近いと思うと、少しアルコール度数が高いと思いませんか。

飲んだ量の二倍の水ですと、18%の日本酒を飲んだとしても6%まで薄まります。ビールと同じぐらいになると思うと、ちょっといけそうな気がしますね。もちろん、ビールでも結構酔っ払うという人は、もうちょっとお水を増やしましょう。他のお酒でも、この辺のことを念頭に入れておくと便利だと思います。

■お水は意外と飲みにくい

ただし、ここで罠になるのは、お水は意外と飲みにくいということです。


500mlのペットボトルのお水をぐびぐび飲もうとしても、一気に飲むのって意外と難しいですよね。でも、500mlのジョッキに入っているビールはぐびぐびと飲めたりします。

お水の場合はとくに、温度が低いものが腸にすぐに入らないように、胃の出口(幽門)がしまって体内で温める傾向があります。冷たいものが一気に流れ込むとお腹を壊すからですね。なので、お水をたくさん飲むと胃がちゃぽちゃぽしてお腹いっぱいになるのです。

ところがビールとかのお酒の場合、おいしいからでしょうか。胃の出口がゆるみやすく、すばやく腸に送られます。この辺もお酒の種類によって違いがあるのですが、それが飲みやすさ(ドリンカビリティ)という指標で表されていたりもします。飲み続けられるお酒というのは、胃から腸へと素早く送られ、胃が空くから次が飲めるというわけですね。

ここで何がいいたいかといいますと、お水を飲むとお腹がいっぱいになるからお酒が飲めなくなる、というのは正しいのです。でもそれは、デメリットではなくメリットと考えましょう。

たくさんの種類のお酒を飲みたい気持ちはわかりますが、どんな人でも許容量以上のお酒を飲むと酔っ払ってしまいます。なので、お水をたくさん飲むことで物理的にお腹が膨れてこれ以上飲めないという状態になることで、許容量以上を飲まなくて済む、と。あのお酒も飲んでみたいと思ったらまたお店に行くようにしましょう。

■適量とか脱水症状対策とか

ついでにお酒の適量のお話を。平均的な日本人の場合、体重60kgの人で、純アルコール20gを3時間から4時間で代謝するといわれています。

純アルコール20gというのは、アルコールの比重は0.8なので25ml。25mlのアルコールが入っているのは、ビール(アルコール度数5%)だと500ml(中瓶)、日本酒(度数15%)だと180ml(一合)ぐらいですね。

一晩で飲んで、翌朝スッキリと目覚める、つまり全部代謝できるというのは、6時間から7時間ぐらい分です。つまり、アルコール40g。ビールの中瓶2本だったり、日本酒二合だったりするというわけです。

この数値は、体重によって変わります。実は体重が重要なのではなく、肝臓の大きさが重要でして。体重の重い人の方が、その分肝臓も大きくなっているので、アルコール代謝能力が上がるというわけです。はい、私も体重が増えたのでお酒にだいぶ強くなりました。

体重が60kgより少ない人は、一晩で代謝できる量が40gよりも少ない、ということでもあります。というわけで、男性よりも女性の方がお酒に弱いというか、適量が少ないという傾向があるのですね。

もちろんこれには個人差がありますので、全ての人に当てはまるというわけではないのですが、平均値でいうとそうなるというわけです。

もしも可能であるならば、家飲みとかでだいたいの適量を測っておくといいでしょう。一晩で、たとえばビール500ml2本、もしくは日本酒2合、もしくはワインの瓶半分ぐらいを飲んでみて、翌朝がつらかったら自分はそれよりも適量は少ない、翌朝なんともなかったら自分は平均以上に飲めるんだということがわかります。それが頭にあるだけでも、飲みすぎをだいぶ防ぐことができます。

そして、水を飲んだ方がいいもう一つの理由を忘れていました。

脱水症状対策です。お酒を飲むと、水がとにかく必要になるんです。汗とか呼気でアルコールを排出したりするのにも水が一緒に出たりしますし、トイレに行きたくなったりしますし。お酒に水が含まれているからいいじゃんと思うかもしれませんが、実は足らなかったりします。

アルコール度数5%で残りは水分なビールですら、夏場はビアガーデンで脱水症状を起こしてしまう人が必ず出るほどです。ビールだけを飲み続けていてもダメなのですね。

なので、とにかく水を飲みましょう。飲んだ後の1時間後ぐらいにくる頭痛や悪心も、脱水症状であることが多いのです。水を飲んでいればこういった事態も防げます。

もちろん、お持ち帰りされるような、酔いつぶされることも少なくなるはずです。お水を飲むなという男性の人がいたら、もうその人の目的ははっきりしちゃっているので、好みのタイプじゃなかったら途中で切り上げて帰っちゃってもいいなじゃいかなと思います。

お酒は体に負担がない範囲で楽しむのが一番ですよね。

 

もうちょっと詳しく知りたい人は、いつもの白熱お酒シリーズを読んでくださいという〆で終わります。

 

白熱ビール教室 (星海社新書)

白熱ビール教室 (星海社新書)

 
白熱日本酒教室 (星海社新書)

白熱日本酒教室 (星海社新書)

 
白熱洋酒教室 (星海社新書)

白熱洋酒教室 (星海社新書)

 

 

週末お時間ある方は「白熱ビール教室in茶屋町」へ!

立て続けにテレビに出させていただきましたが(オタカル最前線と、マツコ&有吉怒り新党です)その辺のお話をする前に、まず週末のイベントの告知をば!

大阪は梅田にある、MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店様で、「白熱ビール教室in茶屋町」を行います!

MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店さんのツイートをぺたりと。

 

ビール飲みながら、気楽に聞ける楽しいトークイベントです。お昼に打ち合わせをしてきたときにはまだ若干チケットがあるみたいでしたので、週末暇だなーという方は是非是非。上記のツイートにある電話番号にお電話して、ビールのイベント参加したいなーって言うと参加できちゃいます。あ、申し訳ないんですが、未成年の方は参加できません。

時間は14時から2時間ほどです。

土曜日と日曜日、両方開催しています。土曜日にどんなものかとこっそり様子を見に来て、その場で日曜日に申し込むというのもありじゃないかな! たぶん!

ちなみに今のところ、ビールは7種類ぐらいになりそうです。

本屋さんの中でビール飲む機会って、そうそうありませんよ! なんという背徳的な行いなんでしょう。この機会を逃さず是非お楽しみいただけたらと思います。

それでは週末お時間ある関西の方々、よろしくお願いいたします!

白熱ビール教室 (星海社新書)

白熱ビール教室 (星海社新書)

 

 

東洋経済の日本酒記事についての雑感

これまたひどい日本酒の記事があったので、ちょっと反論じゃないんですが、まあ、思うところを書いていきます。

http://toyokeizai.net/articles/-/133048

どこがひどいのか。
それは、個人の趣味趣向を押しつけて、それに合わないものを「買ってはいけない」としているからです。「俺が嫌いなものはみんなが嫌いなはずだから買ってはいけない!」と言っているわけですね。

ちなみにこの著者の人が嫌いな日本酒は、記事から読み解ける範囲ではこんな感じでしょうか

  • 灘とか伏見の、大手酒造メーカーのお酒
  • 香り高いお酒

じゃあちょっと、少しずつツッコミを入れて行きます。

 

精米歩合関連の間違いについてのツッコミ

まず、1000円前後の日本酒を買うなら、造りとコストが見合っていない「純米大吟醸」「大吟醸」は買わないほうが吉。そのコストで「大吟醸」を出すためには、ほかのところで無理にコストを削っている可能性が非常に高いからです。ここは逆に、あえて精米歩合(米の削り度合い)が高くないものを選ぶという、ツウな戦略をとりましょう。


話の前提が提示されていないので、いきなり唐突感あふれるんですが、この記事の趣旨は「1000円前後で日本酒を買うときにどうしたらいいのか」ということでいいのでしょうか。

1000円前後というのがどのぐらいのことを言っているのかはさだかではないのですが、1500円以内で美味しい純米大吟醸酒大吟醸酒はたくさんあります。

また、精米歩合が高くないものを選ぶというツウな戦略をとりましょうとあるのですが、ここでちょっとどうでもいいツッコミから。

精米歩合を米の削り度合いとしていますが、精米歩合というのは精米したお米の玄米に対する割合です。玄米を100%としたとき、外側を20%削ったら80%のお米ができあがりますよね。これは精米歩合80%と表示されます。つまり、残った方であって、削る方ではないんです。削る方は、大昔は精白歩合と表示されていました。つまり、精白歩合20%ですね。ただ現在は、精米歩合に統一されています。なので、削り度合いという表現は厳密に言うと間違いです。

そしてこの精米歩合が高くないということは、数値が小さいということであり、それはこの記事で紹介していきたいものとは真逆のものです。ツウな戦略をとるのだったら、ここは「あえて精米歩合が高いものを選ぶという」と書く方が正しいですね。高くないものは、この記事で選ぶなと言っている純米大吟醸酒大吟醸酒のことを示します。記事の性質的に、一番間違えちゃいけないところを間違えていますよね……

 

(参考までに)
純米大吟醸精米歩合50%、大吟醸酒精米歩合50%
純米吟醸精米歩合60%、吟醸精米歩合60%

 


■ラベルに米の名前を書いているとダメなのか

「ラベルに米の名前をでかでかと掲げているお酒」もアウト。米頼みということは、つくりにはこだわっていない可能性が高いからです。それよりは、お米の名前はわからずとも、「生酛造り本醸造熟成生原酒」などのように「どのようにつくられたか」を堂々とアピールしているほうが、よっぽど信頼できるんですね。

あとは経験上(やや偏見も入っていますが)、とくに「山田錦」推しの日本酒は「山田錦って言っておけばいいんでしょ!」感があります。

 

うーん。これは、白鶴さんのお酒が嫌いってことなのかな(単に大きく山田錦と書かれているラベルで真っ先に浮かんだから例に挙げただけですが)

www.hakutsuru.co.jp

まあ、それはさておいて。

ラベルに米の名前をでかでかと掲げているお酒、おいしいお酒でもあれとかこれとかたくさんすぐに思い浮かびます。造りのところに熟成って書いていて、熟成酒がお好きそうなのでそのへんのラインナップから挙げてみると、龍力兵庫県・本田商店)の特別純米熟成雄町なんていかがでしょうか。

item.rakuten.co.jp

 

これでもかとお米の名前である「雄町」を掲げていますよね。まさか龍力の本田商店さんがつくりにこだわっていないとかは、ほんの少しでも日本酒ファンだったら絶対に言えないと思います。

まあでも、この辺はいたちごっこと言いますか何と言いますか。お互いに例を挙げていけばキリがないです。これはおいしい、これはおいしくないというのは主観ですから、反論というほど強いわけではありません。作者の人は実際に、「山田錦」と書いてあるお酒を飲んで失敗した経験があるのでしょう。でもだからって、全ての「山田錦」と書いてあるお酒を買ってはダメと言い切るのは乱暴だと思います。


■むやみに「普通酒」を薦めているが……

もうひとつ、「値段の安い灘、伏見のお酒」も避けましょう。日本酒の名産地である灘(兵庫)と伏見(京都)は、ワインにおけるフランスのような、位の高い場所。予算が限られているなら、フランスワインよりチリワインの方が当たりが多いのと同じで、日本酒も灘、伏見のような「フランス」を避け、北陸や東北の普通酒を選んだほうが、コストパフォーマンスがいいのです(「吉乃川」など)。


灘や伏見を味の傾向や水質も違うのに全部まとめるのも乱暴だと思うし、何をもってコストパフォーマンスと言っているのか。フランスに例えていますけれども、今までの文章をよく読むと、ただ単にこの人が灘や伏見の大手日本酒会社が嫌いと言っているだけですよね。自分の好きなお酒を薦めるのに、特定の地域のお酒を貶める必要があるのでしょうか。貶めていないよというアピールのために無理矢理フランスの例えを出して「位が高い」と言っているとしか思えません。無理矢理じゃないというのなら「値段の安い」ってつけなければいいのに。

そして、薦めているのが北陸や東北の「普通酒」!

いや、別にこれに問題があると言っているわけではありません。僕も北陸や東北の普通酒大好きです。冷蔵庫には今、秋田の普通酒なカップ酒がたぶん20本近く入っています。(ちなみに醤油のときにも言われましたが、うちは冷蔵庫が複数あります。一つは日本酒とかのお酒と醤油専用の冷蔵庫にしています)

そうじゃなくて、普通酒を初心者に勧めるのは非常に難易度が高いということでもあるのです。ちょっと複雑なので順を追って説明しますね。

 

まず第一に、普通酒というのは基本的にはその地域でしか出回らない、地元の人達が晩酌として飲んでいるお酒です。なぜその地域でしか出回らないかというと、他の地域では売れないからです。デパートなどで蔵元さんが出張販売をやっているときに「今日は普通酒ありますか。あれ好きなんですよー」と聞くと、たいてい「そういってくれるのはありがたいけれども、他の地域では売れないので持ってきていない」という答えが返ってきます。

なぜそうなのかというと、地元の食生活と関わりがあるから。地元で愛されていて長年飲まれ続けているお酒は、その地域の食文化に合うように進化を遂げたお酒と言っても過言ではありません。そうなると、別の地域ではちょっとズレが生じる場合があります。例えるならば、九州の甘い醤油で育った人が、東京へ引っ越して料理を食べたときに、ちょっと甘さが足りないなと感じる。みたいなものでしょうか。

もちろんこのズレはほんの微々たるものではあるのですが、余所の地域には余所の地域の味があるのですから、そっちの方がいいということになりますよね。このズレを楽しめる人だったら普通酒をオススメしてもいいとは思います。

ちなみに、日本酒ファンの人達は、飲んだ時にズレを感じたら、それを「このおつまみと合わせてみよう」「こういう温度にしてみよう」と自分で修正して、ストライクゾーンに持ってくることができる人が多いのです。それができる人じゃないと、普通酒でヒットはなかなか出ないと思います。

 

第二に、普通酒というのは基本的には食中酒として造られていて、単体で飲むよりも料理と合わせた方がおいしくなるように造られていることが多いということです。

これって、何の問題があるのと思う方もたくさんいると思います。でも、初心者のうちはちょっと難しいと思うお酒であるのも確かです。単体で軽く口をつけたときのインパクトが弱いからですね。

どのお酒でも、料理でもそうなのですが、味覚は経験と一緒に育っていくものです。十分に経験を積んだのならば、普通酒の最初に感じた弱めのインパクトの中にある旨味や料理との相性をすぐ感じることができるでしょう。ですが、「宅飲みで、限られた予算でヒット打率を高める」ということを求めている初心者にとっては、若干ハードルが高いのも事実です。

ならばどうしたらいいのか。ここで出てくるのが、この記事で忌避されている、香りの高いお酒や、甘やかな口当たりのお酒が出てくるのです。香りの良さや、甘味は先天的味覚といって、経験によらずともおいしいと感じる味覚の代表的なものです。こちらを選んだ方が、初心者にとってハズレが少ない、ヒット打率が高まることが容易に想像できます。

そもそも今の日本酒ブームが、昔の淡麗辛口ブームのときと違うのは、香りが良かったり、甘い口当たりのお酒がヒットしているからですよね。獺祭の香りの良さと口当たりの良さは言うまでもありませんし、甘いお酒で言うと例えば宝酒造の「澪」とかは甘いスパークリング日本酒として大ヒットしています。これらのお酒が日本酒初心者に受けているという現状を考えると、この記事の勧め方は真逆だと言えるでしょう。

こういった理由があるので、多くの記事ではいきなり「普通酒」を薦めずに、香りが良かったりするお酒を薦めているのです。そういったことに一切の考慮がなく、普通酒を薦めているというのは単なる押しつけです。ツウな戦略と言っていますが、単に「みんなが言わないことを言う俺、かっこいい」ということに酔っているだけのようにも思えます。

また、北陸や東北の普通酒が関東(記事の人は関東なのかよくわかりませんでしたが)などの酒屋さんで気軽に手に入るとでも思っているのでしょうか。なかなかそれらの地域の酒造さんと関係性が深いところじゃないと、普通酒は手に入りません。何せ、その地域でしか出回っていないお酒なんですから。もしも買えるお店だったら、この記事が前提としている「もしも日本酒に詳しい店員さんがいないお店で買わなければいけないときはどうするか」とは矛盾しています。他の地域でこれらの普通酒が買えるのだったら、たいていは詳しい店員さんがいますよ。

今ならインターネット通販で……と、もしも言うのだったら、最初からインターネット通販と言えばいいですよね。でも通販したら送料がかかって、結局のところかかるお金が増えてしまいます。なので言えなかったのでしょう。

ちなみにその後に例としてあげている3銘柄については、どれもおいしいお酒ですので文句を言うつもりは一切ありません。ただ、北陸・東北がいいと言っているのに挙げられているのが新潟、新潟、京都(伏見)というのは少しだけ疑問ですが。

■賞をとったお酒を勧めないということについて

日本酒も同じで、杜氏の腕を競う味と、市販のお酒では、目指すところがまったく違います。言ってしまえば、賞レースは「米からここまでフルーティな香りが出るよ!」というウルトラCを競う大会なんです。食事と合わせることを最優先に考えるのであれば、むしろ「○○賞」は避けたほうがいいとさえ言えるでしょう。

これはとても難しい問題です。
フルーティな香りが出るよ! という面があることは、否定はしません。大きな賞は、なんだかんだで結構香り重視なものが受賞する傾向があるのです。

ただ、それが悪いとは一概に言えないのは、前項の通りです。
ただし香りが高いものは、食事と合わせにくいということもあります。なので、安くて晩ご飯と一緒に合わせて飲む日本酒が欲しい、という場合には、賞をとったものを避けるという選択はありかもしれません。

ただ、それは鑑評会と書かれているものだと考えた方がいいでしょう。

最近ではより生活に密着している賞とかも多いので、そちらは多いに参考になると思います。例えば、一度出たとこのお酒を例にして説明いたしますと、「龍力 特別純米 生酛仕込み」なんかは燗酒コンテストで金賞を毎年のように受賞していますし、日経スタイルの「体に染みわたるお燗にしたい日本酒ベスト10」で1位を受賞しています。

http://style.nikkei.com/article/DGXZZO92844620V11C15A0000000

これ、両方とも、お酒の宣伝文句として後で使われました。実際このお酒、燗酒にするとめちゃめちゃおいしいんですよ。燗酒飲みたいなーと思った人が選んで失敗したと思うことは、よっぽどのことがないかぎり無いんじゃないかと思います。なので、受賞の文言も使いようということですね。

もちろん香りがいいお酒を飲みたい場合には受賞酒を選ぶのは間違いではないわけです。なのでやっぱり、賞をとったお酒は買っちゃダメというのは乱暴だと思います。

 

■誰かにとって合わないお酒というのは、他の誰かにとって合うお酒

全体を通しての感想としては、この人は好みがはっきりしている。具体的には「香りが高いお酒が嫌い」であり、「灘と伏見の大手酒蔵のお酒が嫌い」ということでしょう。それを、なるべく喧嘩を売らないようにしようとした結果、「俺の嫌いなものはみんな嫌いなはずだから買ってはいけない!」という、全方位に喧嘩を売る記事に仕上がったと思います。

お酒は嗜好品です。そして、嗜好というのは人の数だけあると言っても過言ではありません。誰かにとって合わないお酒というのは、他の誰かにとって合うお酒なのです。自分にとってはハズレかもしれませんが、そのお酒が多く出回っているところでは「これじゃなきゃね!」という人達がいるのです。

この人は本業がバーテンダーさんのようなのですが、こういった自分が好きなもののためにそれ以外のものを貶める表現をしていて大丈夫なのか、心配になります。例えば、お客さんに「何か日本酒でいいのある?」と聞かれたときに、いろいろ語った後で「実は私は伏見出身なんだけれどもね……」とか言われたらどうするのでしょうか。

「買っちゃダメ」ではなく「迷ったらこれ買っておけばいいよ!」みたいな記事だったら良かったのにと思います。

こういったもやもやした気分にならずに、もっと日本酒について詳しいことを知りたいという人は、こちらを読んでみてください。

 

白熱日本酒教室 (星海社新書)

白熱日本酒教室 (星海社新書)

 

 

最後に。

京都在住らしく、伏見のお酒情報を書いておきますと。まあ京都に来たらここに行ってみるのがいいんじゃないかと思うのです。デイリーポータルZさんの記事をぺたりと。

portal.nifty.com

また、この近くにある、吟醸酒房油長という酒屋さんの中にも、利き酒コーナーがありまして、そこで伏見中のお酒を楽しむことができます。

www.kyoto-wel.com

きっとこのどちらかであれこれ飲んでみれば、この著者の人の伏見のお酒に対する偏見も解けるんじゃないかなーなんて思ったりもします。

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