醤油手帖

お醤油について書いていきます。 料理漫画に関してはhttp://mumu.hatenablog.comへ。お仕事の依頼とかはkei.sugimuraあっとgmail.comまでお願いします

東洋経済の日本酒記事についての雑感

これまたひどい日本酒の記事があったので、ちょっと反論じゃないんですが、まあ、思うところを書いていきます。

http://toyokeizai.net/articles/-/133048

どこがひどいのか。
それは、個人の趣味趣向を押しつけて、それに合わないものを「買ってはいけない」としているからです。「俺が嫌いなものはみんなが嫌いなはずだから買ってはいけない!」と言っているわけですね。

ちなみにこの著者の人が嫌いな日本酒は、記事から読み解ける範囲ではこんな感じでしょうか

  • 灘とか伏見の、大手酒造メーカーのお酒
  • 香り高いお酒

じゃあちょっと、少しずつツッコミを入れて行きます。

 

精米歩合関連の間違いについてのツッコミ

まず、1000円前後の日本酒を買うなら、造りとコストが見合っていない「純米大吟醸」「大吟醸」は買わないほうが吉。そのコストで「大吟醸」を出すためには、ほかのところで無理にコストを削っている可能性が非常に高いからです。ここは逆に、あえて精米歩合(米の削り度合い)が高くないものを選ぶという、ツウな戦略をとりましょう。


話の前提が提示されていないので、いきなり唐突感あふれるんですが、この記事の趣旨は「1000円前後で日本酒を買うときにどうしたらいいのか」ということでいいのでしょうか。

1000円前後というのがどのぐらいのことを言っているのかはさだかではないのですが、1500円以内で美味しい純米大吟醸酒大吟醸酒はたくさんあります。

また、精米歩合が高くないものを選ぶというツウな戦略をとりましょうとあるのですが、ここでちょっとどうでもいいツッコミから。

精米歩合を米の削り度合いとしていますが、精米歩合というのは精米したお米の玄米に対する割合です。玄米を100%としたとき、外側を20%削ったら80%のお米ができあがりますよね。これは精米歩合80%と表示されます。つまり、残った方であって、削る方ではないんです。削る方は、大昔は精白歩合と表示されていました。つまり、精白歩合20%ですね。ただ現在は、精米歩合に統一されています。なので、削り度合いという表現は厳密に言うと間違いです。

そしてこの精米歩合が高くないということは、数値が小さいということであり、それはこの記事で紹介していきたいものとは真逆のものです。ツウな戦略をとるのだったら、ここは「あえて精米歩合が高いものを選ぶという」と書く方が正しいですね。高くないものは、この記事で選ぶなと言っている純米大吟醸酒大吟醸酒のことを示します。記事の性質的に、一番間違えちゃいけないところを間違えていますよね……

 

(参考までに)
純米大吟醸精米歩合50%、大吟醸酒精米歩合50%
純米吟醸精米歩合60%、吟醸精米歩合60%

 


■ラベルに米の名前を書いているとダメなのか

「ラベルに米の名前をでかでかと掲げているお酒」もアウト。米頼みということは、つくりにはこだわっていない可能性が高いからです。それよりは、お米の名前はわからずとも、「生酛造り本醸造熟成生原酒」などのように「どのようにつくられたか」を堂々とアピールしているほうが、よっぽど信頼できるんですね。

あとは経験上(やや偏見も入っていますが)、とくに「山田錦」推しの日本酒は「山田錦って言っておけばいいんでしょ!」感があります。

 

うーん。これは、白鶴さんのお酒が嫌いってことなのかな(単に大きく山田錦と書かれているラベルで真っ先に浮かんだから例に挙げただけですが)

www.hakutsuru.co.jp

まあ、それはさておいて。

ラベルに米の名前をでかでかと掲げているお酒、おいしいお酒でもあれとかこれとかたくさんすぐに思い浮かびます。造りのところに熟成って書いていて、熟成酒がお好きそうなのでそのへんのラインナップから挙げてみると、龍力兵庫県・本田商店)の特別純米熟成雄町なんていかがでしょうか。

item.rakuten.co.jp

 

これでもかとお米の名前である「雄町」を掲げていますよね。まさか龍力の本田商店さんがつくりにこだわっていないとかは、ほんの少しでも日本酒ファンだったら絶対に言えないと思います。

まあでも、この辺はいたちごっこと言いますか何と言いますか。お互いに例を挙げていけばキリがないです。これはおいしい、これはおいしくないというのは主観ですから、反論というほど強いわけではありません。作者の人は実際に、「山田錦」と書いてあるお酒を飲んで失敗した経験があるのでしょう。でもだからって、全ての「山田錦」と書いてあるお酒を買ってはダメと言い切るのは乱暴だと思います。


■むやみに「普通酒」を薦めているが……

もうひとつ、「値段の安い灘、伏見のお酒」も避けましょう。日本酒の名産地である灘(兵庫)と伏見(京都)は、ワインにおけるフランスのような、位の高い場所。予算が限られているなら、フランスワインよりチリワインの方が当たりが多いのと同じで、日本酒も灘、伏見のような「フランス」を避け、北陸や東北の普通酒を選んだほうが、コストパフォーマンスがいいのです(「吉乃川」など)。


灘や伏見を味の傾向や水質も違うのに全部まとめるのも乱暴だと思うし、何をもってコストパフォーマンスと言っているのか。フランスに例えていますけれども、今までの文章をよく読むと、ただ単にこの人が灘や伏見の大手日本酒会社が嫌いと言っているだけですよね。自分の好きなお酒を薦めるのに、特定の地域のお酒を貶める必要があるのでしょうか。貶めていないよというアピールのために無理矢理フランスの例えを出して「位が高い」と言っているとしか思えません。無理矢理じゃないというのなら「値段の安い」ってつけなければいいのに。

そして、薦めているのが北陸や東北の「普通酒」!

いや、別にこれに問題があると言っているわけではありません。僕も北陸や東北の普通酒大好きです。冷蔵庫には今、秋田の普通酒なカップ酒がたぶん20本近く入っています。(ちなみに醤油のときにも言われましたが、うちは冷蔵庫が複数あります。一つは日本酒とかのお酒と醤油専用の冷蔵庫にしています)

そうじゃなくて、普通酒を初心者に勧めるのは非常に難易度が高いということでもあるのです。ちょっと複雑なので順を追って説明しますね。

 

まず第一に、普通酒というのは基本的にはその地域でしか出回らない、地元の人達が晩酌として飲んでいるお酒です。なぜその地域でしか出回らないかというと、他の地域では売れないからです。デパートなどで蔵元さんが出張販売をやっているときに「今日は普通酒ありますか。あれ好きなんですよー」と聞くと、たいてい「そういってくれるのはありがたいけれども、他の地域では売れないので持ってきていない」という答えが返ってきます。

なぜそうなのかというと、地元の食生活と関わりがあるから。地元で愛されていて長年飲まれ続けているお酒は、その地域の食文化に合うように進化を遂げたお酒と言っても過言ではありません。そうなると、別の地域ではちょっとズレが生じる場合があります。例えるならば、九州の甘い醤油で育った人が、東京へ引っ越して料理を食べたときに、ちょっと甘さが足りないなと感じる。みたいなものでしょうか。

もちろんこのズレはほんの微々たるものではあるのですが、余所の地域には余所の地域の味があるのですから、そっちの方がいいということになりますよね。このズレを楽しめる人だったら普通酒をオススメしてもいいとは思います。

ちなみに、日本酒ファンの人達は、飲んだ時にズレを感じたら、それを「このおつまみと合わせてみよう」「こういう温度にしてみよう」と自分で修正して、ストライクゾーンに持ってくることができる人が多いのです。それができる人じゃないと、普通酒でヒットはなかなか出ないと思います。

 

第二に、普通酒というのは基本的には食中酒として造られていて、単体で飲むよりも料理と合わせた方がおいしくなるように造られていることが多いということです。

これって、何の問題があるのと思う方もたくさんいると思います。でも、初心者のうちはちょっと難しいと思うお酒であるのも確かです。単体で軽く口をつけたときのインパクトが弱いからですね。

どのお酒でも、料理でもそうなのですが、味覚は経験と一緒に育っていくものです。十分に経験を積んだのならば、普通酒の最初に感じた弱めのインパクトの中にある旨味や料理との相性をすぐ感じることができるでしょう。ですが、「宅飲みで、限られた予算でヒット打率を高める」ということを求めている初心者にとっては、若干ハードルが高いのも事実です。

ならばどうしたらいいのか。ここで出てくるのが、この記事で忌避されている、香りの高いお酒や、甘やかな口当たりのお酒が出てくるのです。香りの良さや、甘味は先天的味覚といって、経験によらずともおいしいと感じる味覚の代表的なものです。こちらを選んだ方が、初心者にとってハズレが少ない、ヒット打率が高まることが容易に想像できます。

そもそも今の日本酒ブームが、昔の淡麗辛口ブームのときと違うのは、香りが良かったり、甘い口当たりのお酒がヒットしているからですよね。獺祭の香りの良さと口当たりの良さは言うまでもありませんし、甘いお酒で言うと例えば宝酒造の「澪」とかは甘いスパークリング日本酒として大ヒットしています。これらのお酒が日本酒初心者に受けているという現状を考えると、この記事の勧め方は真逆だと言えるでしょう。

こういった理由があるので、多くの記事ではいきなり「普通酒」を薦めずに、香りが良かったりするお酒を薦めているのです。そういったことに一切の考慮がなく、普通酒を薦めているというのは単なる押しつけです。ツウな戦略と言っていますが、単に「みんなが言わないことを言う俺、かっこいい」ということに酔っているだけのようにも思えます。

また、北陸や東北の普通酒が関東(記事の人は関東なのかよくわかりませんでしたが)などの酒屋さんで気軽に手に入るとでも思っているのでしょうか。なかなかそれらの地域の酒造さんと関係性が深いところじゃないと、普通酒は手に入りません。何せ、その地域でしか出回っていないお酒なんですから。もしも買えるお店だったら、この記事が前提としている「もしも日本酒に詳しい店員さんがいないお店で買わなければいけないときはどうするか」とは矛盾しています。他の地域でこれらの普通酒が買えるのだったら、たいていは詳しい店員さんがいますよ。

今ならインターネット通販で……と、もしも言うのだったら、最初からインターネット通販と言えばいいですよね。でも通販したら送料がかかって、結局のところかかるお金が増えてしまいます。なので言えなかったのでしょう。

ちなみにその後に例としてあげている3銘柄については、どれもおいしいお酒ですので文句を言うつもりは一切ありません。ただ、北陸・東北がいいと言っているのに挙げられているのが新潟、新潟、京都(伏見)というのは少しだけ疑問ですが。

■賞をとったお酒を勧めないということについて

日本酒も同じで、杜氏の腕を競う味と、市販のお酒では、目指すところがまったく違います。言ってしまえば、賞レースは「米からここまでフルーティな香りが出るよ!」というウルトラCを競う大会なんです。食事と合わせることを最優先に考えるのであれば、むしろ「○○賞」は避けたほうがいいとさえ言えるでしょう。

これはとても難しい問題です。
フルーティな香りが出るよ! という面があることは、否定はしません。大きな賞は、なんだかんだで結構香り重視なものが受賞する傾向があるのです。

ただ、それが悪いとは一概に言えないのは、前項の通りです。
ただし香りが高いものは、食事と合わせにくいということもあります。なので、安くて晩ご飯と一緒に合わせて飲む日本酒が欲しい、という場合には、賞をとったものを避けるという選択はありかもしれません。

ただ、それは鑑評会と書かれているものだと考えた方がいいでしょう。

最近ではより生活に密着している賞とかも多いので、そちらは多いに参考になると思います。例えば、一度出たとこのお酒を例にして説明いたしますと、「龍力 特別純米 生酛仕込み」なんかは燗酒コンテストで金賞を毎年のように受賞していますし、日経スタイルの「体に染みわたるお燗にしたい日本酒ベスト10」で1位を受賞しています。

http://style.nikkei.com/article/DGXZZO92844620V11C15A0000000

これ、両方とも、お酒の宣伝文句として後で使われました。実際このお酒、燗酒にするとめちゃめちゃおいしいんですよ。燗酒飲みたいなーと思った人が選んで失敗したと思うことは、よっぽどのことがないかぎり無いんじゃないかと思います。なので、受賞の文言も使いようということですね。

もちろん香りがいいお酒を飲みたい場合には受賞酒を選ぶのは間違いではないわけです。なのでやっぱり、賞をとったお酒は買っちゃダメというのは乱暴だと思います。

 

■誰かにとって合わないお酒というのは、他の誰かにとって合うお酒

全体を通しての感想としては、この人は好みがはっきりしている。具体的には「香りが高いお酒が嫌い」であり、「灘と伏見の大手酒蔵のお酒が嫌い」ということでしょう。それを、なるべく喧嘩を売らないようにしようとした結果、「俺の嫌いなものはみんな嫌いなはずだから買ってはいけない!」という、全方位に喧嘩を売る記事に仕上がったと思います。

お酒は嗜好品です。そして、嗜好というのは人の数だけあると言っても過言ではありません。誰かにとって合わないお酒というのは、他の誰かにとって合うお酒なのです。自分にとってはハズレかもしれませんが、そのお酒が多く出回っているところでは「これじゃなきゃね!」という人達がいるのです。

この人は本業がバーテンダーさんのようなのですが、こういった自分が好きなもののためにそれ以外のものを貶める表現をしていて大丈夫なのか、心配になります。例えば、お客さんに「何か日本酒でいいのある?」と聞かれたときに、いろいろ語った後で「実は私は伏見出身なんだけれどもね……」とか言われたらどうするのでしょうか。

「買っちゃダメ」ではなく「迷ったらこれ買っておけばいいよ!」みたいな記事だったら良かったのにと思います。

こういったもやもやした気分にならずに、もっと日本酒について詳しいことを知りたいという人は、こちらを読んでみてください。

 

白熱日本酒教室 (星海社新書)

白熱日本酒教室 (星海社新書)

 

 

最後に。

京都在住らしく、伏見のお酒情報を書いておきますと。まあ京都に来たらここに行ってみるのがいいんじゃないかと思うのです。デイリーポータルZさんの記事をぺたりと。

portal.nifty.com

また、この近くにある、吟醸酒房油長という酒屋さんの中にも、利き酒コーナーがありまして、そこで伏見中のお酒を楽しむことができます。

www.kyoto-wel.com

きっとこのどちらかであれこれ飲んでみれば、この著者の人の伏見のお酒に対する偏見も解けるんじゃないかなーなんて思ったりもします。

「白熱ビール教室」メディア掲載情報とイベント告知と

7月26日に発売になった「白熱ビール教室」。

メディアにも掲載していただいています!

wotopi.jp

ウートピさんではインタビューが掲載されています。

ビールを上手に選べる女になるためのTipsですね。あ、媒体が女性向きなんですが、男性でも読んでもちろん大丈夫なので、男性の皆様も是非に!

ウートピさんでは「お店編」と「家飲み編」で載せていただきました。

wotopi.jp

家飲み、楽しいですよね。

ビールは外で飲むのもいいのですが、家で飲むときも多いと思います。そのときに知っておくと便利なことをあれこれ語りました。

そして、本そのもののレビューも!

エキレビでは近藤さんがレビューを書いてくださいました。

www.excite.co.jp

ありがとうございます! 生ビールについて注目してもらいました。

そしてそして。

今週末は、おなじみMARUZEN&ジュンク堂書店梅田店さんで、「白熱ビール教室in茶屋町」を行います!

honto.jp

こちら、14時からです。

ビール飲めます。いまビール用意しています。お話もたっぷり、ビールもたっぷり(?)なお得なイベントです。お申し込みは店舗へお電話を是非に!

イベントの告知はこれから毎日やっていきます。

よろしくお願いします

醤油にまつわる誤解をきちんと解いてみよう

2016年にもなって、まだ醤油に関してこんなことを言っている人がいるとは……という記事がありました。

こちらなんですが、読まなくていいです。PVを稼がせるのもあれなんで、URLはhを取る昔ながらの手法です。
ttp://kininal.me/recommended-food01-soy-sauce/

 

全項目に関してツッコミどころが満載という、ものすごいひどい勉強不足の記事です。このサイトで醤油のことに関して書いているのはこれが初めてじゃなく、空気に触れない容器の醤油は危険とかいうこれまたひどい嘘記事を書いていたことがあったので、もうきちんと修正をしてやろうじゃないかと。

 

こういう記事に関して、どれだけ真に受ける人がいるのかはわからないんですが、世間一般に言われている醤油に関する誤解は一度きちんと解いておいた方がいいのではと思いました。よくよく考えてみたら、書籍や同人誌では書いていても、Webページ上ではっきりと書いた記憶が少ないので、いったんブログにがががっと書いてみます。長いですよ!!


■「市販の醤油が危険な理由1:遺伝子組み換え作物を使っている」の項目

醤油は確かに消費者庁で表示が義務づけられていません。その理由もまた、消費者庁のページで公開されています。

食品表示に関する共通Q&A(第3集:遺伝子組換え食品に関する表示について) | 食品表示 | 消費者庁

1 義務表示の対象となる遺伝子組換え食品の品目については、平成9年から11年までの2年余にわたり、消費者、生産・流通業者及び学識経験者からなる食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会において議論した結果、科学的・技術的な観点から、表示の信頼性及び実行可能性を確保することが重要であるとの観点から、組み換えられたDNAやこれによって生じたたん白質が、ひろく認められた最新の技術によっても検出できない油やしょうゆ等の食品については、義務表示の対象外とされたところです。

2 なお、義務表示の対象品目については、組み換えられたDNA等の検出方法の進歩等に関する新たな知見、消費者の関心等を踏まえ、毎年見直しを行うこととしています。平成13年度にばれいしょ加工品6食品群が、平成17年度にアルファルファが、平成18年度にてん菜が、平成23年度にパパイヤが新たに義務表示の対象品目に追加されました。

毎年見直しが行われている義務表示の対象品目において、たんぱく質が検出できないので表示しなくてもいいよとされているわけです。

じゃあやっぱり遺伝子組換えのものを使っているんじゃないのと思う人もいるかもしれません。でも、よく手元の醤油を見てください。スーパーで売られているものも含め、ほとんどの醤油には「原材料:大豆(遺伝子組換えでない)」と書かれています。うちの手元にある200本ぐらいの醤油でもほとんど書いてありました。

市販の醤油のほとんどに使っていないと明記してあり、醤油加工品ですら「原材料に醤油(大豆(遺伝子組換えでない)・小麦を含む)」という表記のものが多いという現状で、遺伝子組換え作物を使っている! と強弁するのは生まれてこの方醤油を買ったことが無い人なのでしょうか。


■「市販の醤油が危険な理由2:ペットボトルに入っている」の項目

醤油は発酵食品です。
酵素が生きているのが本来の状態ですが、ペットボトルに入った醤油は全てこの酵素が死んでいます。

この項目で正しいのは、一行目の「醤油は発酵食品です」だけです。

まず発酵を行うのは酵素ではないです。酵母菌や乳酸菌などの微生物です。酵素は触媒なので、死んでいるという表現は妥当ではありません。生物が持っているのが酵素というたんぱく質であり、死ぬの生きるのという話ではないのです。

とまあ、スタート地点から間違えているので、以下の表現も間違いだらけなのですが、根本的に「ペットボトルの醤油=加熱」「瓶の醤油=非加熱」というのが間違いです。

醤油は酵母菌などが生きていると発酵が進んでしまうため、取り除かなければなりません。その際に一番多く行われているのが火入れと呼ばれる加熱殺菌です。牛乳でも加熱殺菌していますよね。あれと同じです。

加熱殺菌以外の方法だと、マイクロフィルターを使って酵母菌などをろ過で取り除きます。酵母菌が入っていなかったら、発酵は進みません。そうやって、加熱をせずにマイクロフィルターで取り除いたものが「生醤油」として販売されているものです。

で、この生醤油も火入れ醤油も、ペットボトルでも瓶でも両方売られています。瓶だから生きている、というのは間違いで、世の中に出回っている100%の「醤油」は菌がいない状態です。

じゃあ瓶の中で酵母が生きているものはないの、と思う方もいるでしょう。あります。ありますが、これはJAS法(日本農業規格)の中では「醤油」として扱われていないのです。「生揚げ(きあげ)」もしくは「生揚醤油」として、「醤油」とは別の扱いになります。ラベルを見ると商品名のところに「醤油」って書いていないのですね。それは、賞味期限が1ヶ月もないものであるから、普通の醤油とは別にしているのです。

 

もひとつ。

さらに、本来は1年かかる製造工程を大幅に短縮するために、人工的な菌を加え、高温で発酵させる等して、製造期間をなんと3ヶ月~半年程度に短縮。

すごい! ここだけ「菌」という言葉を使えている!
ということはさておき。これもちょっと違います。

まず人工的な菌というのは何なのかという話になっちゃうのですが、醤油で使われている菌も自然界に生きている菌であることは間違いありません。ただ、自然界にはあまりにも多くの菌が存在します。そこで、何も管理をせずにそのまま醤油を造るための発酵をさせようとしても、醤油造りに適した菌ではない菌が繁殖してしまう危険性があります。

ここでポイントになるのは、菌の世界は多数決で早い者勝ちということ。どんな菌でも、その場において過半数をとれれば他の菌を圧倒できます。なので、醤油造りに適した菌を過半数にしなければならないのです。

そこで、醤油造りに適した菌を採取し、選り分けて、それを培養してあらかじめ増やしておくわけです。そうしたらそれを醤油の材料に加えることで、過半数を取りやすくなり、失敗せずに醤油を造ることができるというわけですね。これを人工的な菌と呼ぶのだったら、世の中のほとんどの発酵食品(お酒も含む)を食べられなくなっちゃいますよ。

製造期間が短いのも、他の菌が入らない環境をつくり、空調を整え、理想的な環境にするからです。牛や豚だって、外敵から身を守る柵を作って守り、エサや水を十分に与え、丁寧に扱っていけばすくすくと成長していきますよね。それと同じことを発酵でやっているというわけです。ちなみに3ヶ月は短すぎかなー。大手メーカーでも3ヶ月で造ることはほぼ不可能です。

というわけで、この記事の人がいっているこの項目に関しては全部間違い。


■「良い醤油の選び方1:国産のオーガニック原料を使用したもの」の項目

上記で挙げた遺伝子組み換え大豆や、農薬を大量に使用して栽培された原料では、
栄養そのものがない上に、様々な病気を引き起こす可能性があり、食べること自体に非常に大きなリスクが伴います。

ちなみに、市販の醤油のほとんどは、大豆そのものではなく脱脂加工大豆を使用しています。
脱脂加工大豆は大豆から油を搾り取ったあとの残りカスのようなもの。栄養も大豆本来の風味もほぼ残っていません。

オーガニックを否定するわけじゃないんですが、必要以上に普通のものをおとしめる必要はないと思います。栄養も十分にありますし、さまざまな病気を引き起こす可能性もありません。

そして脱脂加工大豆に関して。

これは大豆から大豆油を取り除いたものですが、残りカスでは決してありません。そもそも最初は戦後の物資がないときに大豆油を別な用途で使った後の脱脂加工大豆しか手に入らなかったというものであったのも確かです。

ところが、大豆油を取り除いた後には、いい具合に隙間ができていて、菌が入り込んで発酵させやすく、普通の丸大豆(大豆油を搾っていない状態の大豆)で造るよりも旨味が強くなるということがわかったのです。ちなみに醤油の旨味は、大豆のたんぱく質を菌が発酵でアミノ酸にすることで生じます。発酵を最後の最後まで行えるので、旨味が多くなったというわけですね。

なので、現在では、わざわざ醤油を造るための脱脂加工大豆を作っています。もちろん大豆油は別の用途で用いますが、搾った後の残りカスというよりも、わざわざ醤油のための専用のものが作られている、そしてそれは味のためということを理解するといいでしょう。

そして、脱脂加工大豆は油と一緒に栄養素が抜けちゃうという主張があるようです。でも、丸大豆で作った醤油でも、最後に「醤油油(しょうゆあぶら)」がたくさん出てきます。そしてこれ、取り除いちゃうんですよ。理由は簡単で、おいしくないから。いやー、本当にこれがおいしくないんですね。取り除いた油は魚の飼料に使われたりします。飼料に使われるほどには栄養がたっぷりと含まれているからですね。

なので丸大豆の方が栄養がいっぱいある、それは油を取り除いていないから。という主張は、丸大豆でも結局最後に油を取り除くんだよということを覚えておくと今後恥をかかなくてすむと思います。

 

■「良い醤油の選び方2:伝統的な木樽発酵法で作られたもの」の項目

ここはタイトルから間違えています。

木樽って言い方、しないんですよ。桶なんです。樽は運搬用の容器で、蓋をするものです。桶は蓋を閉じません。

醤油は、かんたんに言うと木樽で材料を混ぜ合わせ、1年以上かけて発酵させ作られます。
この『木樽で仕込む』ということが重要で、木樽には原料を発酵させるために必要不可欠な“菌”が棲みつき、
彼らが材料を発酵させてくれるため、複数の栄養が含まれる美味しい醤油ができあがるのです。

一方、大手メーカーが採用しているのは木樽ではなくステンレスのタンク。
この製法では、菌がいないため本来は発酵しません。そのため、前述したように人工の菌を入れているのです。

 こういうとすごく簡単に聞こえますが、実際にはそうではありません。木桶には菌が住み着いているのも確かですが、それは醤油に有用なものから有用でないものまで住み着いています。従って、醤油を造ろうと思うと、木桶は他の菌が繁殖したりしないように注意深く見て、管理をする必要があるのです。それが最近木桶で造るところが減ってきている理由のひとつです。

で、大手メーカーは木桶を使っていないでステンレスという話もありますが、これも間違いでして。ステンレスもあれば、FRP製、コンクリート槽もありますし、木桶を使っているところだってあります。醤油のシェアの半分以上を持っている五大メーカーのひとつ、盛田の中のマルキン忠勇なんかは小豆島に300本以上の木桶を持っています。

 

■「良い醤油の選び方3:添加物を一切使用していないもの」の項目

市販の醤油は、実に様々な食品添加物が入っています。
香りづけのための、かつおぶしエキスや昆布エキス。うま味成分がないため、これを補うためのアミノ酸等の調味添加物。殺菌・防腐のためのアルコール。

食品添加物は、本来醤油を作る上では全く必要のないものです。
それどころか、食品添加物は様々な病気を私たち人間にもたらすことも分かっています。

 

うわ、だし醤油を全否定しちゃった……めんつゆとか食べられるのこの人……ということはさておいて。

「醤油」として販売されているものの中で、上記の添加物が入っているものはあります。それは濃口醤油の中の、混合醸造方式とか混合方式とか呼ばれるものです。混合方式は濃口醤油全体の3%ほどのシェアを占めているもので、発酵が終わって搾った後の醤油にアミノ酸液を加えたものです。

混合醸造方式は濃口醤油全体の18%ほどのシェアで、発酵しているもろみの中にアミノ酸液を加え、発酵。その後に搾ったものです。

これらも、戦後の資源がない時代に編み出された製法です。でも、現在まで使われている理由は旨味成分がないためではありません。地域の食文化に合った結果、現在でも使われて続けているのです。

混合方式や混合醸造方式でアミノ酸液を加えると、旨味もさることながら甘味が加わります。そう、甘い醤油というやつの正体はこれらの醤油なのです。九州の醤油は甘いという話を聞いたことがある人も多いと思いますが、その甘い醤油の正体のうちのいくつかはこれらの醤油というわけなのです。

甘い醤油の食文化の話を始めるとまたかなーり長くなるので割愛しますが、地域の食文化に根ざしたものであり、これらの醤油を使っている地域の人達がとりわけ病気にかかりやすいという話や統計データを見たことがありません。

ちなみに、アミノ酸液が入っていないものを選びたい場合には本醸造方式のものを選びましょう。ラベルに「こいくちしょうゆ(本醸造)」と書いてあるものです。

かつおぶしのダシとかが入っているのは、醤油ではなく「醤油加工品」ですね。

また、アルコールは、醤油の表面に白い膜、この正体は白カビなんですが、それができるのを防ぐためです。減塩ブームとかで、塩分控えめにした場合など、醤油本体で十分な殺菌力がない場合にアルコールを加えます。ちなみに発酵の過程でアルコールは生成される(醤油の香りの成分にアルコール由来のものもあります)ので、アルコールが入っているからダメというわけではもちろんありません。

 


と、まあ、こんな感じで全編に渡ってツッコミどころ満載な記事。
あっているのは、紹介されている醤油がすばらしいということだけでしょうか。

もとからこの記事を書いた人は勉強不足だし、細かい用語すらもしっかり調べていない、全体的にサイト自体が他の記事も含めてうさんくさい、というあれな感じですが、ああいう嘘記事に影響される人が一人でも少なくなることを祈ります。

もっと詳しいことを知りたいという人は、こちらを読んでみてください

 

醤油手帖 基礎知識編

醤油手帖 基礎知識編

 
醤油手帖

醤油手帖

 

 

8月25日0:40追記

わー! 300ブクマもいってしまいました。ありがとうございます!!

生揚醤油について興味を持ってくださっている方が多いので追記します。実は元記事の中でも紹介されている、弓削多醤油(埼玉県日高市)の醤遊王国で生揚醤油を購入することができます。

yugeta.com

吟醸純生しょうゆ」という商品です。要冷蔵で賞味期限が1ヶ月ほどしかないので、手に入れる際にはご注意ください。

また、東京圏の方は、松屋銀座の「職人醤油」さんで量り売りをやっていますので、そちらに行ってみるのがいいかと。

職人醤油の直営店 - 松屋銀座店

たぶん今は、上記の弓削多醤油さんの濃口醤油と、香川県のヤマロク醤油さんのさいしこみ醤油の生揚げ醤油を量り売りで買うことができると思います(しぼりたてを扱っているので、ときどきどの蔵かは変わります)

上記のリンクを見て、職人醤油って何!? と思った方は、是非ともこの夏のコミケで頒布した「醤油手帖 職人醤油のすべて」を読んでいただけるとうれしいです。

shouyutechou.hatenablog.com

購入はこちらからできます。

COMIC ZIN 通信販売/商品詳細 醤油手帖 職人醤油のすべて

その他の地域の方は要相談ということで。よろしくお願いいたします。

 

8月27日追記

友人より、「お茶は酵素での発酵だよ」と言われました。そうでした。酸化酵素によってカテキンポリフェノールを酸化させる「発酵」を行って紅茶などをつくるのでした。

最初に書いたのは、狭義の発酵の意味でした。醤油の発酵には麹菌などの菌がもっているたんぱく質分解酵素(プロテアーゼ)やアミラーゼ(でんぷんを分解してブドウ糖にする酵素)が用いられるので、菌が発酵、菌の持っている酵素がそれを助けている、酵素が死ぬ生きるじゃないという記述そのものの大意には間違いがありませんが、誤解を招く表現で大変申し訳ありません。

コミックマーケット90に来てくれた皆様ありがとうございました!

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遅ればせながら、コミックマーケット90で「醤油をこぼすと染みになる」ブースに来てくださった皆様ありがとうございました!

新刊の『醤油手帖 職人醤油のすべて』は、手に取った皆様に「分厚い」「厚い」「え、同人誌なの?」と大好評でした。

ちょっと頑張ったのは、POPチラシを新刊の間に挟んだことです。1枚1枚お渡しするよりも、その方がなんとなく読んでいる途中に急にチラシが出てくる商業誌っぽいかなあとか思ったので。売り子さん達に「え、そんなの聞いていない」と言われながらも頑張って挟みましたし、挟んでもらいました。

今回のブースは、やっぱり新刊の存在感がでかい!

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見てください。この分厚さの差を。

新刊は最初のうちは3ヶ所に積み上げていたのですが、一番左側の醤油手帖 mini フルーツ醤油編を同じ高さまで積み上げてみたところ、フルーツ醤油編の方が多分数は多いんじゃないかと。いやー、厚さって、恐ろしいですね。

今回初めて作ったグッズでは、ミニ甚吉袋が大好評でした。

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ミニ甚吉袋はかなりの数を持っていったのですが、午前中に完売。手ぬぐいは2時頃、マグネットは3時頃に完売していた気がします。

再版要望も多いので、甚吉袋は遅くても冬コミに向けて再版したいなあと思っています。何か要望があるなら(紐の長さをもうちょっとだけ長くとか?)今のうちにTwitterとかでつぶやくと、我々の目に入って組み込まれるかもしれません!

今後の参加予定ですが、C91には申し込みました。

コミティアはどうしようか悩み中です。8月のコミティア117は参加できませんし、10月のコミティア118も多分その日は福岡あたりにいる気が……

10月末のおもしろ同人誌バザールには参加したいなとは思っているものの、10月30日ってすでに予定が入っちゃっていた可能性が高いので確認中です。

というわけで、参加できたら10月30日、そうでなかったら冬コミという感じです。

今回の本を買い逃しちゃって、そんなに待てない! という人は、是非通販をご利用ください。とりあえずCOMIC ZINさんでは通販を開始してもらっています。

COMIC ZIN 通信販売/商品詳細 醤油手帖 職人醤油のすべて

その他のところはごめんなさい。これから手続きを開始します。

今回のコミケは、気温的にはそうではなかったかもですが、湿度が高くて汗が止まらずやっぱり大変でした。あと、ホールごとの一方通行などの導線が変わったりして、ちょっとよくわからないところもありました。蒸し暑い中来てくださって本当にありがとうございます。

『醤油手帖 職人醤油のすべて』はとても分厚いので最後まで読み終わるのが大変だとは思うのですが、しばらくの間はがんばってエゴサーチとかしようと思っていますので、読み終わり次第でかまわないので感想とかをどこかに書いていただけたらうれしいです。

よろしくお願いします!

C90 東5ホール「プ」-54a 「醤油をこぼすと染みになる」でお待ちしております

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日付が変わって本日になりましたが、最後の告知です。

サークル「醤油をこぼすと染みになる」は、東5ホール「プ」-54aにて皆様をお待ちしております。

今回の目玉はやっぱり新刊の『醤油手帖 職人醤油編』でしょうか。

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先ほど本を受け取ったのですが、あれです。

分厚いです。1cm超えています。

208ページは伊達じゃありませんでした。持ち帰りに、ちょっと分厚い本が加わるなーというのをあらかじめご了承いただけたらと。

もちろん内容も大充実です。職人さんが手がけた昔ながらの醤油を、42蔵76本紹介しています。

校正を手伝ってくれたhageatamaさんが、一般書籍とかと分厚さを比べた写真を載せてくれました。

うん。どこからどう見ても分厚いですね。おかしいな……

そして、手ぬぐいですが、ちょこっと写真を撮ってみました。綺麗に撮るスタジオとか用意できなかったので、普通に畳みの上です。

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見てください。このあふれんばかりの「のれん」感!

甚吉袋とデザインを合わせております。

よろしかったら両方お求めになっていただけだらと!

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ちなみにこの手ぬぐいですが、注染という染め方をしております。

以前にも掲載したQ&Aの再掲ですが、こんな感じの注意事項があります。

Q. 使っていいの? 飾った方がいい?

A. 使いまくってください。実用性を重視して注染(ちゅうせん)という染め方で作りました。

 

Q. そもそも注染って何?

A. 注染とは、液体の染料を注ぎかけて作る染め方です。もし手ぬぐいをお持ちの方は、見てみてください。表面がきっちり染まっていて、裏面が染まっていない手ぬぐいの場合。それは手捺染と呼ばれる染め方です。

すごく簡単に言うと、注染は生地をたくさん重ねて染料を上から注いで作るつくりかたです。染料が浸潤していくので、表も裏も同じように染まります。その代わり細かい絵とかはとても苦手です。

一方の手捺染の場合、インクジェットプリンタみたいに布の表面に印刷するイメージを持つといいでしょう。

 

Q. え? じゃあ注染のいいところってどこなの?

A. 注染の場合、正確には生地に染料を注いで染めていきます。染料を浸潤させるこのやり方でやると、糸を傷めることなく、生地の目もつぶさないで染め上がるのですね。さらに、染まったところも液体の染料を使っているのでゴワゴワしなく、肌触りがとても良くなります。でも、染めにむらがあるというか、にじみがでちゃったりするので、1枚1枚が全く同じになるというわけではありません。

手捺染の場合は生地に印刷をするという作業のため、繊維がつぶれて吸水性に劣ったりします。肌触りも印刷部分がちょっとゴワゴワしちゃうのですね。その代わり、どんな柄でも印刷できますし、仕上がりは均一になります。注染の場合は色と色の間にどれぐらい隙間を空けなければならないとか、線の太さはどれぐらいにしなきゃいけないとかある(型を作るので)のですが、手捺染の場合はそれが無いんですよね。あと、あまり色落ちしないのもメリットです。してもちょっとです。注染は色落ちします。それとまあ、お安くてたくさん作れるのが最大のメリットです。

 

Q. じゃあ醤油手ぬぐいは使いまくった方がいい?

A. その通りです!

注染なので、使えば使うほど手触りはふわふわになり、色もなじんでいい具合になっていくと思います。まさに自分だけの「手ぬぐい」を育てることができるのです! もりもり使ってください。

 

Q. 洗うときはどうしたらいいの?

A. 基本的には水洗い推奨です。特に最初に使うときは水洗いをしてください。どうしても糸になじまなかった染料が落ちていい感じになります。

あと、もし丁寧に使っていただけるのであれば、基本的には洗剤やお湯を使わず、たっぷりの水で水洗いしてください。洗剤を使った場合、洗剤の漂白効果で急激に色落ちしてしまうことがあります。お湯も染料がよく落ちてしまう場合があります。

まあでも面倒だったら洗濯機でいいと思います。最初のうちだけは色落ちする可能性があるので、他の物とは別に洗ってください。

 

Q. なんか端っこがほつれてきたんだけどどうすればいいの?

A. 実はよくよく見てもらうと、手ぬぐいの端っこは切りっぱなしになっています。端を縫っていないのですね。これは、ここから水がぽたぽた落ちるようになっているため、汚れやほこりがたまらないのと、乾きを早くするための知恵だったりします。さらに、結んだり切って使ったりする場合にも扱いやすいのですね。はい、手ぬぐいはとことん実用本位なんです。

そのせいで端がほつれてきますが、あまり気にしないで大丈夫です。長く出た糸だけをはさみで切るようにすれば、そのうち落ち着いてほつれなくなります。

 

Q. あと何か質問が思い浮かんだらどうすればいいの?

A. こちらにコメントいただいたり、Twitterとかで聞いてください。わかる範囲で答えさせていただきます。

 

というわけで、かなり実用本位な手ぬぐいです。

新刊も手ぬぐいも甚吉袋も用意できました!

本日は「東5ホール プ-54a 『醤油をこぼすと染みになる』」で皆様をお待ちしております!

C90で『白熱ビール教室』POPチラシを3サークルで配布します!

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7月26日に発売された『白熱ビール教室』(星海社新書)

おかげさまで好評のようです。皆様ありがとうございます!

今回のコミックマーケット90において、この『白熱ビール教室』に関わった3サークルでイラストPOPを配布することにしました!

まだ白熱ビール教室を持っていないよという方、ご安心ください。QRコードにアクセスすれば、あら不思議。書店さんのリンクへ飛びますので、その場で購入することができます。

サークル「醤油をこぼすと染みになる」では、上記のむむ先生バージョンを配布いたします。新刊にもりもり挟み込んでおきますので、新刊を買うと自動的にPOPがもらえるという画期的なシステムを採用いたしました。

全部で三種類ありますので、コンプリートを目指して、おうちで書店さんごっこをするのもいいかもしれません。

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それぞれの配布場所は以下の通りです。

  • 助手バージョン:酩酊女子制作委員会 3日目 西あ-39a
  • 悪人ちゃんバージョン:悪人酒場 3日目 東プ-30b
  • むむ先生バージョン:醤油をこぼすと染みになる 3日目 東プ-54a

ちょっと大変かもしれませんが、是非3サークルを回って集めてみてください!

いやいや。

POPチラシとかなくても買っちゃうよ!? という方は、是非ともご購入ください! 試し読みとかはこちらからどうぞ! ついでに書店さんのリンクもちょこっとだけ貼っておきます。

ji-sedai.jp

 

白熱ビール教室 (星海社新書)

白熱ビール教室 (星海社新書)

 

 

 

C90「醤油をこぼすと染みになる」おしながき

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コミックマーケット90に、8月14日(日)東5ホール「プ」-54aで参加する「醤油をこぼすと染みになる」のお品書きができました!

今回のラインナップはこんな感じです。

まず新刊は「醤油手帖 職人醤油のすべて」

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職人が手がける、昔ながらの手仕事の醤油。そんな醤油を日本全国から42蔵76本分集めたものです。

地元の醤油って、引っ越したりしても、無性に恋しくなったり、これじゃなきゃダメだと実家から送ってもらったりしたことがある人は少なくないと思います。今回の本では、そんな地元の人達に愛される、地元の味わいの基礎となっている、そんな醤油だらけ。

誰かにとっての大切な醤油は、自分にとってもすばらしい味になるかもしれません。そんな醤油を探す旅に一緒に出てみましょう。

手帖サイズ(新書サイズ)208P。頒布価格1000円です。

 

そして、お次が、ミニ甚吉袋

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醤油手帖のロゴが煌めく、小さいサイズの甚吉袋です。甚吉袋とは、もともとお醤油やお酒を運ぶためのもの。今回は、職人醤油さんが手がける100mlサイズの醤油小瓶2本がすっぽり入るものを作ってみました。

とはいっても、醤油だけが入るわけではありません。スマートフォンだったら、モバイルバッテリーと一緒に入ります。Nintendo 3DS LLだって入っちゃう。

この甚吉袋はまた、紐を140cmまで伸ばしてもらいました。

肩からかけるもよし、首からかけるも良し。

イベントでは首から下げて、中に小銭入れとか小間物を入れると利便性抜群です。

ミニ甚吉袋は頒布価格500円です。

 

そして、甚吉袋だけじゃなくて、手ぬぐいも作ってしまいました。

同じ柄ですが、縦長にするとまたいい味わいが出ているんじゃないかと思います。ちょっと、のれんっぽさもありますね。

醤油手ぬぐい2016は頒布価格1000円です。

 

あとは、在庫もいくつか持って行きます。

電子書籍版が好評な、醤油手帖基礎知識編。

 

醤油手帖 基礎知識編

醤油手帖 基礎知識編

 

こちら、やっぱり紙じゃないとね!

という方のために若干数用意してあります。

あとさりげにコミケでは初となるのが、うすくち醤油マグネット。

昔々のコミケに出したこれを参照していただきたいんですが

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これの、マグネットの、うすくち醤油バージョンがあります。残念ながら今回は、アド街を見たと言ってももらえません。

あと、醤油手帖 Vol.6 幸せのポン酢醤油編、醤油手帖 mini フルーツ醤油編の2冊の在庫も少しだけあります。

というわけで、コミックマーケット90では

8月14日(日曜日、3日目)東5ホール「プ」-54a 醤油をこぼすと染みになる

で皆様のお越しをお待ちしております!

 

8月11日追記

すみません。お品書きの中のお値段にミスがありました。醤油手帖 mini フルーツ醤油編は600円ではなく400円が正しい頒布価格です。申し訳ありません。

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