醤油手帖

お醤油について書いていきます。 料理漫画に関してはhttp://mumu.hatenablog.comへ。お仕事の依頼とかはkei.sugimuraあっとgmail.comまでお願いします

醤油にまつわる誤解をきちんと解いてみよう

2016年にもなって、まだ醤油に関してこんなことを言っている人がいるとは……という記事がありました。

こちらなんですが、読まなくていいです。PVを稼がせるのもあれなんで、URLはhを取る昔ながらの手法です。
ttp://kininal.me/recommended-food01-soy-sauce/

 

全項目に関してツッコミどころが満載という、ものすごいひどい勉強不足の記事です。このサイトで醤油のことに関して書いているのはこれが初めてじゃなく、空気に触れない容器の醤油は危険とかいうこれまたひどい嘘記事を書いていたことがあったので、もうきちんと修正をしてやろうじゃないかと。

 

こういう記事に関して、どれだけ真に受ける人がいるのかはわからないんですが、世間一般に言われている醤油に関する誤解は一度きちんと解いておいた方がいいのではと思いました。よくよく考えてみたら、書籍や同人誌では書いていても、Webページ上ではっきりと書いた記憶が少ないので、いったんブログにがががっと書いてみます。長いですよ!!


■「市販の醤油が危険な理由1:遺伝子組み換え作物を使っている」の項目

醤油は確かに消費者庁で表示が義務づけられていません。その理由もまた、消費者庁のページで公開されています。

食品表示に関する共通Q&A(第3集:遺伝子組換え食品に関する表示について) | 食品表示 | 消費者庁

1 義務表示の対象となる遺伝子組換え食品の品目については、平成9年から11年までの2年余にわたり、消費者、生産・流通業者及び学識経験者からなる食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会において議論した結果、科学的・技術的な観点から、表示の信頼性及び実行可能性を確保することが重要であるとの観点から、組み換えられたDNAやこれによって生じたたん白質が、ひろく認められた最新の技術によっても検出できない油やしょうゆ等の食品については、義務表示の対象外とされたところです。

2 なお、義務表示の対象品目については、組み換えられたDNA等の検出方法の進歩等に関する新たな知見、消費者の関心等を踏まえ、毎年見直しを行うこととしています。平成13年度にばれいしょ加工品6食品群が、平成17年度にアルファルファが、平成18年度にてん菜が、平成23年度にパパイヤが新たに義務表示の対象品目に追加されました。

毎年見直しが行われている義務表示の対象品目において、たんぱく質が検出できないので表示しなくてもいいよとされているわけです。

じゃあやっぱり遺伝子組換えのものを使っているんじゃないのと思う人もいるかもしれません。でも、よく手元の醤油を見てください。スーパーで売られているものも含め、ほとんどの醤油には「原材料:大豆(遺伝子組換えでない)」と書かれています。うちの手元にある200本ぐらいの醤油でもほとんど書いてありました。

市販の醤油のほとんどに使っていないと明記してあり、醤油加工品ですら「原材料に醤油(大豆(遺伝子組換えでない)・小麦を含む)」という表記のものが多いという現状で、遺伝子組換え作物を使っている! と強弁するのは生まれてこの方醤油を買ったことが無い人なのでしょうか。


■「市販の醤油が危険な理由2:ペットボトルに入っている」の項目

醤油は発酵食品です。
酵素が生きているのが本来の状態ですが、ペットボトルに入った醤油は全てこの酵素が死んでいます。

この項目で正しいのは、一行目の「醤油は発酵食品です」だけです。

まず発酵を行うのは酵素ではないです。酵母菌や乳酸菌などの微生物です。酵素は触媒なので、死んでいるという表現は妥当ではありません。生物が持っているのが酵素というたんぱく質であり、死ぬの生きるのという話ではないのです。

とまあ、スタート地点から間違えているので、以下の表現も間違いだらけなのですが、根本的に「ペットボトルの醤油=加熱」「瓶の醤油=非加熱」というのが間違いです。

醤油は酵母菌などが生きていると発酵が進んでしまうため、取り除かなければなりません。その際に一番多く行われているのが火入れと呼ばれる加熱殺菌です。牛乳でも加熱殺菌していますよね。あれと同じです。

加熱殺菌以外の方法だと、マイクロフィルターを使って酵母菌などをろ過で取り除きます。酵母菌が入っていなかったら、発酵は進みません。そうやって、加熱をせずにマイクロフィルターで取り除いたものが「生醤油」として販売されているものです。

で、この生醤油も火入れ醤油も、ペットボトルでも瓶でも両方売られています。瓶だから生きている、というのは間違いで、世の中に出回っている100%の「醤油」は菌がいない状態です。

じゃあ瓶の中で酵母が生きているものはないの、と思う方もいるでしょう。あります。ありますが、これはJAS法(日本農業規格)の中では「醤油」として扱われていないのです。「生揚げ(きあげ)」もしくは「生揚醤油」として、「醤油」とは別の扱いになります。ラベルを見ると商品名のところに「醤油」って書いていないのですね。それは、賞味期限が1ヶ月もないものであるから、普通の醤油とは別にしているのです。

 

もひとつ。

さらに、本来は1年かかる製造工程を大幅に短縮するために、人工的な菌を加え、高温で発酵させる等して、製造期間をなんと3ヶ月~半年程度に短縮。

すごい! ここだけ「菌」という言葉を使えている!
ということはさておき。これもちょっと違います。

まず人工的な菌というのは何なのかという話になっちゃうのですが、醤油で使われている菌も自然界に生きている菌であることは間違いありません。ただ、自然界にはあまりにも多くの菌が存在します。そこで、何も管理をせずにそのまま醤油を造るための発酵をさせようとしても、醤油造りに適した菌ではない菌が繁殖してしまう危険性があります。

ここでポイントになるのは、菌の世界は多数決で早い者勝ちということ。どんな菌でも、その場において過半数をとれれば他の菌を圧倒できます。なので、醤油造りに適した菌を過半数にしなければならないのです。

そこで、醤油造りに適した菌を採取し、選り分けて、それを培養してあらかじめ増やしておくわけです。そうしたらそれを醤油の材料に加えることで、過半数を取りやすくなり、失敗せずに醤油を造ることができるというわけですね。これを人工的な菌と呼ぶのだったら、世の中のほとんどの発酵食品(お酒も含む)を食べられなくなっちゃいますよ。

製造期間が短いのも、他の菌が入らない環境をつくり、空調を整え、理想的な環境にするからです。牛や豚だって、外敵から身を守る柵を作って守り、エサや水を十分に与え、丁寧に扱っていけばすくすくと成長していきますよね。それと同じことを発酵でやっているというわけです。ちなみに3ヶ月は短すぎかなー。大手メーカーでも3ヶ月で造ることはほぼ不可能です。

というわけで、この記事の人がいっているこの項目に関しては全部間違い。


■「良い醤油の選び方1:国産のオーガニック原料を使用したもの」の項目

上記で挙げた遺伝子組み換え大豆や、農薬を大量に使用して栽培された原料では、
栄養そのものがない上に、様々な病気を引き起こす可能性があり、食べること自体に非常に大きなリスクが伴います。

ちなみに、市販の醤油のほとんどは、大豆そのものではなく脱脂加工大豆を使用しています。
脱脂加工大豆は大豆から油を搾り取ったあとの残りカスのようなもの。栄養も大豆本来の風味もほぼ残っていません。

オーガニックを否定するわけじゃないんですが、必要以上に普通のものをおとしめる必要はないと思います。栄養も十分にありますし、さまざまな病気を引き起こす可能性もありません。

そして脱脂加工大豆に関して。

これは大豆から大豆油を取り除いたものですが、残りカスでは決してありません。そもそも最初は戦後の物資がないときに大豆油を別な用途で使った後の脱脂加工大豆しか手に入らなかったというものであったのも確かです。

ところが、大豆油を取り除いた後には、いい具合に隙間ができていて、菌が入り込んで発酵させやすく、普通の丸大豆(大豆油を搾っていない状態の大豆)で造るよりも旨味が強くなるということがわかったのです。ちなみに醤油の旨味は、大豆のたんぱく質を菌が発酵でアミノ酸にすることで生じます。発酵を最後の最後まで行えるので、旨味が多くなったというわけですね。

なので、現在では、わざわざ醤油を造るための脱脂加工大豆を作っています。もちろん大豆油は別の用途で用いますが、搾った後の残りカスというよりも、わざわざ醤油のための専用のものが作られている、そしてそれは味のためということを理解するといいでしょう。

そして、脱脂加工大豆は油と一緒に栄養素が抜けちゃうという主張があるようです。でも、丸大豆で作った醤油でも、最後に「醤油油(しょうゆあぶら)」がたくさん出てきます。そしてこれ、取り除いちゃうんですよ。理由は簡単で、おいしくないから。いやー、本当にこれがおいしくないんですね。取り除いた油は魚の飼料に使われたりします。飼料に使われるほどには栄養がたっぷりと含まれているからですね。

なので丸大豆の方が栄養がいっぱいある、それは油を取り除いていないから。という主張は、丸大豆でも結局最後に油を取り除くんだよということを覚えておくと今後恥をかかなくてすむと思います。

 

■「良い醤油の選び方2:伝統的な木樽発酵法で作られたもの」の項目

ここはタイトルから間違えています。

木樽って言い方、しないんですよ。桶なんです。樽は運搬用の容器で、蓋をするものです。桶は蓋を閉じません。

醤油は、かんたんに言うと木樽で材料を混ぜ合わせ、1年以上かけて発酵させ作られます。
この『木樽で仕込む』ということが重要で、木樽には原料を発酵させるために必要不可欠な“菌”が棲みつき、
彼らが材料を発酵させてくれるため、複数の栄養が含まれる美味しい醤油ができあがるのです。

一方、大手メーカーが採用しているのは木樽ではなくステンレスのタンク。
この製法では、菌がいないため本来は発酵しません。そのため、前述したように人工の菌を入れているのです。

 こういうとすごく簡単に聞こえますが、実際にはそうではありません。木桶には菌が住み着いているのも確かですが、それは醤油に有用なものから有用でないものまで住み着いています。従って、醤油を造ろうと思うと、木桶は他の菌が繁殖したりしないように注意深く見て、管理をする必要があるのです。それが最近木桶で造るところが減ってきている理由のひとつです。

で、大手メーカーは木桶を使っていないでステンレスという話もありますが、これも間違いでして。ステンレスもあれば、FRP製、コンクリート槽もありますし、木桶を使っているところだってあります。醤油のシェアの半分以上を持っている五大メーカーのひとつ、盛田の中のマルキン忠勇なんかは小豆島に300本以上の木桶を持っています。

 

■「良い醤油の選び方3:添加物を一切使用していないもの」の項目

市販の醤油は、実に様々な食品添加物が入っています。
香りづけのための、かつおぶしエキスや昆布エキス。うま味成分がないため、これを補うためのアミノ酸等の調味添加物。殺菌・防腐のためのアルコール。

食品添加物は、本来醤油を作る上では全く必要のないものです。
それどころか、食品添加物は様々な病気を私たち人間にもたらすことも分かっています。

 

うわ、だし醤油を全否定しちゃった……めんつゆとか食べられるのこの人……ということはさておいて。

「醤油」として販売されているものの中で、上記の添加物が入っているものはあります。それは濃口醤油の中の、混合醸造方式とか混合方式とか呼ばれるものです。混合方式は濃口醤油全体の3%ほどのシェアを占めているもので、発酵が終わって搾った後の醤油にアミノ酸液を加えたものです。

混合醸造方式は濃口醤油全体の18%ほどのシェアで、発酵しているもろみの中にアミノ酸液を加え、発酵。その後に搾ったものです。

これらも、戦後の資源がない時代に編み出された製法です。でも、現在まで使われている理由は旨味成分がないためではありません。地域の食文化に合った結果、現在でも使われて続けているのです。

混合方式や混合醸造方式でアミノ酸液を加えると、旨味もさることながら甘味が加わります。そう、甘い醤油というやつの正体はこれらの醤油なのです。九州の醤油は甘いという話を聞いたことがある人も多いと思いますが、その甘い醤油の正体のうちのいくつかはこれらの醤油というわけなのです。

甘い醤油の食文化の話を始めるとまたかなーり長くなるので割愛しますが、地域の食文化に根ざしたものであり、これらの醤油を使っている地域の人達がとりわけ病気にかかりやすいという話や統計データを見たことがありません。

ちなみに、アミノ酸液が入っていないものを選びたい場合には本醸造方式のものを選びましょう。ラベルに「こいくちしょうゆ(本醸造)」と書いてあるものです。

かつおぶしのダシとかが入っているのは、醤油ではなく「醤油加工品」ですね。

また、アルコールは、醤油の表面に白い膜、この正体は白カビなんですが、それができるのを防ぐためです。減塩ブームとかで、塩分控えめにした場合など、醤油本体で十分な殺菌力がない場合にアルコールを加えます。ちなみに発酵の過程でアルコールは生成される(醤油の香りの成分にアルコール由来のものもあります)ので、アルコールが入っているからダメというわけではもちろんありません。

 


と、まあ、こんな感じで全編に渡ってツッコミどころ満載な記事。
あっているのは、紹介されている醤油がすばらしいということだけでしょうか。

もとからこの記事を書いた人は勉強不足だし、細かい用語すらもしっかり調べていない、全体的にサイト自体が他の記事も含めてうさんくさい、というあれな感じですが、ああいう嘘記事に影響される人が一人でも少なくなることを祈ります。

もっと詳しいことを知りたいという人は、こちらを読んでみてください

 

醤油手帖 基礎知識編

醤油手帖 基礎知識編

 
醤油手帖

醤油手帖

 

 

8月25日0:40追記

わー! 300ブクマもいってしまいました。ありがとうございます!!

生揚醤油について興味を持ってくださっている方が多いので追記します。実は元記事の中でも紹介されている、弓削多醤油(埼玉県日高市)の醤遊王国で生揚醤油を購入することができます。

yugeta.com

吟醸純生しょうゆ」という商品です。要冷蔵で賞味期限が1ヶ月ほどしかないので、手に入れる際にはご注意ください。

また、東京圏の方は、松屋銀座の「職人醤油」さんで量り売りをやっていますので、そちらに行ってみるのがいいかと。

職人醤油の直営店 - 松屋銀座店

たぶん今は、上記の弓削多醤油さんの濃口醤油と、香川県のヤマロク醤油さんのさいしこみ醤油の生揚げ醤油を量り売りで買うことができると思います(しぼりたてを扱っているので、ときどきどの蔵かは変わります)

上記のリンクを見て、職人醤油って何!? と思った方は、是非ともこの夏のコミケで頒布した「醤油手帖 職人醤油のすべて」を読んでいただけるとうれしいです。

shouyutechou.hatenablog.com

購入はこちらからできます。

COMIC ZIN 通信販売/商品詳細 醤油手帖 職人醤油のすべて

その他の地域の方は要相談ということで。よろしくお願いいたします。

 

8月27日追記

友人より、「お茶は酵素での発酵だよ」と言われました。そうでした。酸化酵素によってカテキンポリフェノールを酸化させる「発酵」を行って紅茶などをつくるのでした。

最初に書いたのは、狭義の発酵の意味でした。醤油の発酵には麹菌などの菌がもっているたんぱく質分解酵素(プロテアーゼ)やアミラーゼ(でんぷんを分解してブドウ糖にする酵素)が用いられるので、菌が発酵、菌の持っている酵素がそれを助けている、酵素が死ぬ生きるじゃないという記述そのものの大意には間違いがありませんが、誤解を招く表現で大変申し訳ありません。

コミックマーケット90に来てくれた皆様ありがとうございました!

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遅ればせながら、コミックマーケット90で「醤油をこぼすと染みになる」ブースに来てくださった皆様ありがとうございました!

新刊の『醤油手帖 職人醤油のすべて』は、手に取った皆様に「分厚い」「厚い」「え、同人誌なの?」と大好評でした。

ちょっと頑張ったのは、POPチラシを新刊の間に挟んだことです。1枚1枚お渡しするよりも、その方がなんとなく読んでいる途中に急にチラシが出てくる商業誌っぽいかなあとか思ったので。売り子さん達に「え、そんなの聞いていない」と言われながらも頑張って挟みましたし、挟んでもらいました。

今回のブースは、やっぱり新刊の存在感がでかい!

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見てください。この分厚さの差を。

新刊は最初のうちは3ヶ所に積み上げていたのですが、一番左側の醤油手帖 mini フルーツ醤油編を同じ高さまで積み上げてみたところ、フルーツ醤油編の方が多分数は多いんじゃないかと。いやー、厚さって、恐ろしいですね。

今回初めて作ったグッズでは、ミニ甚吉袋が大好評でした。

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ミニ甚吉袋はかなりの数を持っていったのですが、午前中に完売。手ぬぐいは2時頃、マグネットは3時頃に完売していた気がします。

再版要望も多いので、甚吉袋は遅くても冬コミに向けて再版したいなあと思っています。何か要望があるなら(紐の長さをもうちょっとだけ長くとか?)今のうちにTwitterとかでつぶやくと、我々の目に入って組み込まれるかもしれません!

今後の参加予定ですが、C91には申し込みました。

コミティアはどうしようか悩み中です。8月のコミティア117は参加できませんし、10月のコミティア118も多分その日は福岡あたりにいる気が……

10月末のおもしろ同人誌バザールには参加したいなとは思っているものの、10月30日ってすでに予定が入っちゃっていた可能性が高いので確認中です。

というわけで、参加できたら10月30日、そうでなかったら冬コミという感じです。

今回の本を買い逃しちゃって、そんなに待てない! という人は、是非通販をご利用ください。とりあえずCOMIC ZINさんでは通販を開始してもらっています。

COMIC ZIN 通信販売/商品詳細 醤油手帖 職人醤油のすべて

その他のところはごめんなさい。これから手続きを開始します。

今回のコミケは、気温的にはそうではなかったかもですが、湿度が高くて汗が止まらずやっぱり大変でした。あと、ホールごとの一方通行などの導線が変わったりして、ちょっとよくわからないところもありました。蒸し暑い中来てくださって本当にありがとうございます。

『醤油手帖 職人醤油のすべて』はとても分厚いので最後まで読み終わるのが大変だとは思うのですが、しばらくの間はがんばってエゴサーチとかしようと思っていますので、読み終わり次第でかまわないので感想とかをどこかに書いていただけたらうれしいです。

よろしくお願いします!

C90 東5ホール「プ」-54a 「醤油をこぼすと染みになる」でお待ちしております

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日付が変わって本日になりましたが、最後の告知です。

サークル「醤油をこぼすと染みになる」は、東5ホール「プ」-54aにて皆様をお待ちしております。

今回の目玉はやっぱり新刊の『醤油手帖 職人醤油編』でしょうか。

shouyutechou.hatenablog.com

先ほど本を受け取ったのですが、あれです。

分厚いです。1cm超えています。

208ページは伊達じゃありませんでした。持ち帰りに、ちょっと分厚い本が加わるなーというのをあらかじめご了承いただけたらと。

もちろん内容も大充実です。職人さんが手がけた昔ながらの醤油を、42蔵76本紹介しています。

校正を手伝ってくれたhageatamaさんが、一般書籍とかと分厚さを比べた写真を載せてくれました。

うん。どこからどう見ても分厚いですね。おかしいな……

そして、手ぬぐいですが、ちょこっと写真を撮ってみました。綺麗に撮るスタジオとか用意できなかったので、普通に畳みの上です。

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見てください。このあふれんばかりの「のれん」感!

甚吉袋とデザインを合わせております。

よろしかったら両方お求めになっていただけだらと!

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ちなみにこの手ぬぐいですが、注染という染め方をしております。

以前にも掲載したQ&Aの再掲ですが、こんな感じの注意事項があります。

Q. 使っていいの? 飾った方がいい?

A. 使いまくってください。実用性を重視して注染(ちゅうせん)という染め方で作りました。

 

Q. そもそも注染って何?

A. 注染とは、液体の染料を注ぎかけて作る染め方です。もし手ぬぐいをお持ちの方は、見てみてください。表面がきっちり染まっていて、裏面が染まっていない手ぬぐいの場合。それは手捺染と呼ばれる染め方です。

すごく簡単に言うと、注染は生地をたくさん重ねて染料を上から注いで作るつくりかたです。染料が浸潤していくので、表も裏も同じように染まります。その代わり細かい絵とかはとても苦手です。

一方の手捺染の場合、インクジェットプリンタみたいに布の表面に印刷するイメージを持つといいでしょう。

 

Q. え? じゃあ注染のいいところってどこなの?

A. 注染の場合、正確には生地に染料を注いで染めていきます。染料を浸潤させるこのやり方でやると、糸を傷めることなく、生地の目もつぶさないで染め上がるのですね。さらに、染まったところも液体の染料を使っているのでゴワゴワしなく、肌触りがとても良くなります。でも、染めにむらがあるというか、にじみがでちゃったりするので、1枚1枚が全く同じになるというわけではありません。

手捺染の場合は生地に印刷をするという作業のため、繊維がつぶれて吸水性に劣ったりします。肌触りも印刷部分がちょっとゴワゴワしちゃうのですね。その代わり、どんな柄でも印刷できますし、仕上がりは均一になります。注染の場合は色と色の間にどれぐらい隙間を空けなければならないとか、線の太さはどれぐらいにしなきゃいけないとかある(型を作るので)のですが、手捺染の場合はそれが無いんですよね。あと、あまり色落ちしないのもメリットです。してもちょっとです。注染は色落ちします。それとまあ、お安くてたくさん作れるのが最大のメリットです。

 

Q. じゃあ醤油手ぬぐいは使いまくった方がいい?

A. その通りです!

注染なので、使えば使うほど手触りはふわふわになり、色もなじんでいい具合になっていくと思います。まさに自分だけの「手ぬぐい」を育てることができるのです! もりもり使ってください。

 

Q. 洗うときはどうしたらいいの?

A. 基本的には水洗い推奨です。特に最初に使うときは水洗いをしてください。どうしても糸になじまなかった染料が落ちていい感じになります。

あと、もし丁寧に使っていただけるのであれば、基本的には洗剤やお湯を使わず、たっぷりの水で水洗いしてください。洗剤を使った場合、洗剤の漂白効果で急激に色落ちしてしまうことがあります。お湯も染料がよく落ちてしまう場合があります。

まあでも面倒だったら洗濯機でいいと思います。最初のうちだけは色落ちする可能性があるので、他の物とは別に洗ってください。

 

Q. なんか端っこがほつれてきたんだけどどうすればいいの?

A. 実はよくよく見てもらうと、手ぬぐいの端っこは切りっぱなしになっています。端を縫っていないのですね。これは、ここから水がぽたぽた落ちるようになっているため、汚れやほこりがたまらないのと、乾きを早くするための知恵だったりします。さらに、結んだり切って使ったりする場合にも扱いやすいのですね。はい、手ぬぐいはとことん実用本位なんです。

そのせいで端がほつれてきますが、あまり気にしないで大丈夫です。長く出た糸だけをはさみで切るようにすれば、そのうち落ち着いてほつれなくなります。

 

Q. あと何か質問が思い浮かんだらどうすればいいの?

A. こちらにコメントいただいたり、Twitterとかで聞いてください。わかる範囲で答えさせていただきます。

 

というわけで、かなり実用本位な手ぬぐいです。

新刊も手ぬぐいも甚吉袋も用意できました!

本日は「東5ホール プ-54a 『醤油をこぼすと染みになる』」で皆様をお待ちしております!

C90で『白熱ビール教室』POPチラシを3サークルで配布します!

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7月26日に発売された『白熱ビール教室』(星海社新書)

おかげさまで好評のようです。皆様ありがとうございます!

今回のコミックマーケット90において、この『白熱ビール教室』に関わった3サークルでイラストPOPを配布することにしました!

まだ白熱ビール教室を持っていないよという方、ご安心ください。QRコードにアクセスすれば、あら不思議。書店さんのリンクへ飛びますので、その場で購入することができます。

サークル「醤油をこぼすと染みになる」では、上記のむむ先生バージョンを配布いたします。新刊にもりもり挟み込んでおきますので、新刊を買うと自動的にPOPがもらえるという画期的なシステムを採用いたしました。

全部で三種類ありますので、コンプリートを目指して、おうちで書店さんごっこをするのもいいかもしれません。

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それぞれの配布場所は以下の通りです。

  • 助手バージョン:酩酊女子制作委員会 3日目 西あ-39a
  • 悪人ちゃんバージョン:悪人酒場 3日目 東プ-30b
  • むむ先生バージョン:醤油をこぼすと染みになる 3日目 東プ-54a

ちょっと大変かもしれませんが、是非3サークルを回って集めてみてください!

いやいや。

POPチラシとかなくても買っちゃうよ!? という方は、是非ともご購入ください! 試し読みとかはこちらからどうぞ! ついでに書店さんのリンクもちょこっとだけ貼っておきます。

ji-sedai.jp

 

白熱ビール教室 (星海社新書)

白熱ビール教室 (星海社新書)

 

 

 

C90「醤油をこぼすと染みになる」おしながき

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コミックマーケット90に、8月14日(日)東5ホール「プ」-54aで参加する「醤油をこぼすと染みになる」のお品書きができました!

今回のラインナップはこんな感じです。

まず新刊は「醤油手帖 職人醤油のすべて」

shouyutechou.hatenablog.com

職人が手がける、昔ながらの手仕事の醤油。そんな醤油を日本全国から42蔵76本分集めたものです。

地元の醤油って、引っ越したりしても、無性に恋しくなったり、これじゃなきゃダメだと実家から送ってもらったりしたことがある人は少なくないと思います。今回の本では、そんな地元の人達に愛される、地元の味わいの基礎となっている、そんな醤油だらけ。

誰かにとっての大切な醤油は、自分にとってもすばらしい味になるかもしれません。そんな醤油を探す旅に一緒に出てみましょう。

手帖サイズ(新書サイズ)208P。頒布価格1000円です。

 

そして、お次が、ミニ甚吉袋

shouyutechou.hatenablog.com

醤油手帖のロゴが煌めく、小さいサイズの甚吉袋です。甚吉袋とは、もともとお醤油やお酒を運ぶためのもの。今回は、職人醤油さんが手がける100mlサイズの醤油小瓶2本がすっぽり入るものを作ってみました。

とはいっても、醤油だけが入るわけではありません。スマートフォンだったら、モバイルバッテリーと一緒に入ります。Nintendo 3DS LLだって入っちゃう。

この甚吉袋はまた、紐を140cmまで伸ばしてもらいました。

肩からかけるもよし、首からかけるも良し。

イベントでは首から下げて、中に小銭入れとか小間物を入れると利便性抜群です。

ミニ甚吉袋は頒布価格500円です。

 

そして、甚吉袋だけじゃなくて、手ぬぐいも作ってしまいました。

同じ柄ですが、縦長にするとまたいい味わいが出ているんじゃないかと思います。ちょっと、のれんっぽさもありますね。

醤油手ぬぐい2016は頒布価格1000円です。

 

あとは、在庫もいくつか持って行きます。

電子書籍版が好評な、醤油手帖基礎知識編。

 

醤油手帖 基礎知識編

醤油手帖 基礎知識編

 

こちら、やっぱり紙じゃないとね!

という方のために若干数用意してあります。

あとさりげにコミケでは初となるのが、うすくち醤油マグネット。

昔々のコミケに出したこれを参照していただきたいんですが

shouyutechou.hatenablog.com

これの、マグネットの、うすくち醤油バージョンがあります。残念ながら今回は、アド街を見たと言ってももらえません。

あと、醤油手帖 Vol.6 幸せのポン酢醤油編、醤油手帖 mini フルーツ醤油編の2冊の在庫も少しだけあります。

というわけで、コミックマーケット90では

8月14日(日曜日、3日目)東5ホール「プ」-54a 醤油をこぼすと染みになる

で皆様のお越しをお待ちしております!

 

8月11日追記

すみません。お品書きの中のお値段にミスがありました。醤油手帖 mini フルーツ醤油編は600円ではなく400円が正しい頒布価格です。申し訳ありません。

C90で『醤油手帖 職人醤油のすべて』が出ます!

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サークル「醤油をこぼすと染みになる」は、コミックマーケット90で3日目(14日)東5ホール「プ」-54aにて新刊『醤油手帖 職人醤油のすべて』を頒布します! 大きなトラブルがなければ!

醤油は料理の味付けの基本となる調味料です。引っ越したり、旅行をしたりして、料理の味わいが思っていたものと微妙に違うなんてこと、経験ありませんでしょうか。それはもしかしたら、料理に使われている醤油の味が、いつもと異なっているからかもしれません。そう、人は誰しも、自分の中にマイ醤油を持っているのです。

今回紹介する職人醤油さんは、醤油の醸造元ではありません。醤油を販売する醤油屋さんです。誰かの心の中のマイ醤油になりうる、地元との人達に長年愛され続けている、職人さん達が丹精込めて造り上げる醤油。そんな職人技の粋のような醤油を扱っている、素敵な醤油屋さんなのです。

職人醤油 - こだわる人の醤油専門サイト

東急ハンズやロフト、百貨店や雑貨屋で、小さい瓶に入った醤油が売られているのを見たことがないでしょうか。あれは全て、職人醤油さんが手がけている醤油なのです。

今回の本では、そんな職人醤油さんが手がけている42蔵76本を余すことなく紹介しています。

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はい、見えますでしょうか。

200ページという文字が。

なんか、分厚くなっちゃいました。厚さも1cmぐらいあります。

しっかり読んでいただけるよう、今回も手帖サイズ(新書サイズ)にしています。電車の中で読んでいても同人誌を読んでいるとはとてもじゃないけど、見破れません。「あの人新書を読んでいるな。読書家なんだな」としか思われないことでしょう。

今回の本では、各醤油ごとというよりも、蔵元ごとに紹介する構成にしてみました。この蔵元が、こういう醤油を造っているよというものです。

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サンプルをまだ見ていないというか、現在印刷所の皆様が大絶賛作業中だと思いますので、どんな感じかは確認できていないのですが、いつものようにやりたいことを全てこめましたので、かなりいい本に仕上がっているのではないかと思います。カバーなしでもかっこいいですよ!

でも、全てを込めすぎてしまったために、頒布価格はお高くなってしまいました。前作キッコーマンのすべてでもギリギリだったんですが、とうとう原価が爆発いたしました……まさか今までと同じ価格で頒布すると、売れば売るだけ赤字になるとは。

それはさておき。

重要なことといたしましては、今回の本から読み始めた人でも楽しめるようになっています。醤油の造りや、醤油にまつわるあれこれなど、いくつかの記事に散りばめてありますので、通して読むだけで醤油知識も増します。スーパーなどで醤油を見る目もきっと変わるでしょう。

もっと知りたいという人は、醤油手帖 基礎知識編を合わせてお読みください。電子書籍版が絶賛発売中ですが、今回のC90でも何冊か持って行きます。

醤油手帖 基礎知識編

醤油手帖 基礎知識編

 

 

地元ならではの味わいを支えている、職人さんが手がける醤油。誰かの心にあるマイ醤油。なんだかんだ言っても、慣れ親しんだ味が一番。それはもうよくわかります。

でも、よくよく考えてみてください。誰かが、引っ越したときにわざわざ取り寄せたり、これじゃなきゃダメなんだというぐらい、人を虜にするおいしい醤油。それが、日本中にはたくさんあるのです。

考え方をちょっと変えてみましょう。そこまで人を夢中にさせるおいしいものを、味わってみないのはとてももったいないと思いませんか。

職人醤油さんの醤油は、そんな、地元の人達の味の原点のような醤油だらけです。いくつか味わっていくうちに、きっと自分にとっても「これだ!」と思う醤油に出会えるでしょう。でも、数が多いので、どれがどういう味わいなのか、どういう料理に合うのか、把握するのはとても大変です。本書は、その一助になるように書きました。

醤油について知りたい人。醤油が大好きな人。東急ハンズや百貨店で見かける、あのたくさんの醤油は何? と知りたい人。職人さんが手がける昔ながらの醤油とはどういうものか知りたい人。そして、職人さんが造り上げるものが好きな人。そんな人に、是非読んで欲しいと思います。一緒に、誰かにとって大切な、自分にとってもすばらしい味を探す旅に出てみませんか。

『醤油手帖 職人醤油のすべて』は新書サイズ208Pで頒布価格1000円

C90 14日(日) 東5ホール「プ」-54a 醤油をこぼすと染みになる

で頒布いたします。よろしくお願いいたします。

醤油手帖 基礎知識編 電子書籍版第一版でのミスとおわび

 

醤油手帖 基礎知識編

醤油手帖 基礎知識編

 

 醤油手帖基礎知識編の電子書籍版、おかげさまで好評のようです。

ただ、もとの同人誌版からKindleリフロー型(Kindle上で文字の大きさを変更できたりあれこれできる形式)に再編集する際にいくつかミスが出てしまいました。大変申し訳ありません。

現在見つかっている修正点は以下の通りです。

第一章:醤油はどのようにして造られるのかの項

 火入れ・ろ過の部分で文章に重複が見られる(後の方を削除します)

第二章:醤油の成分を示す「特撰」「特級」「上級」の項

 冒頭の段落が、最後にも重複して出ている(最後の方を削除します)

第二章:実は種類が細かい醤油醸造法の項

 冒頭の2段落目「ところが現在は〜」というたまり醤油の文章が混入している(削除します)

第二章:混合方式の項

 2段落目「このように、大変な手間暇が〜」の段落が混入している(削除します)

第二章:意外と日本中で見られる甘い醤油の項

 全国に広まっている甘い醤油の項。2段落目「現在では全国に広まって使われています〜」というさいしこみ醤油の文章が混入している(削除します)

第二章:醤油の県別出荷量と大手メーカーの項

 図版のあと3段落目「現在では全国に広まって使われています〜」というさいしこみ醤油の文章が混入している(削除します)

第二章:空気に触れない醤油という大革命の項

 容器によってガスバリア性能が違うの項。冒頭で「こでガスバリア性能〜」が「ここでガスバリア性能〜」となる

第三章:醤油がベースの醤油加工品の項

 2パラグラフ目のタイトルが『大豆をそのまま使う「丸大豆醤油」』になっていますが、これは『醤油加工品と醤油風調味料』のミスです(差し替えます)

第三章:大豆を使わない、魚が原材料な魚醤の項

 冒頭の最後の段落「醤油は醤油漬けのように〜」という空気に触れない醤油の文章が混入している(削除します)

 

まだ他にも文章の混入・重複があるかもしれません。できるだけ精査し、なるべく早く第二版を出したいと思います。ご迷惑をおかけしますが、少しだけお待ちいただくようよろしくお願いいたします

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